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Re:麻婆丼

すっかり冬の寒さがやってきた様子。

冬のフェアメニューも体が温まる料理が多く揃っている。

そんな冬のフェアメニューも汁物以外は基本的に宅配に対応している。

それもあり家で温かい宅配が食べられるのは何かと助かっているようだ。


「今回の届け先ってどこかしら」


「15番街のパンファさんの家ですね」


「15番街ね、少し離れてるしさっさと届けましょ」


「ですね、行きましょう」


今回の届け先は15番街。


少し遠いので飛ばす事にした。


「それで今回の注文って何かしら」


「麻婆丼ですね」


「麻婆丼ってあれよね?麻婆豆腐をライスに乗っけた丼よね」


「はい、そうですよ」


「でもライスと一緒に食べてる人もいるけど、丼とはまた違うのよね」


「あれは定食でしょうからね、食べ方も様々という事でいいのでは」


「それもそうね、丼なら素早く食べられるし」


「それに麻婆豆腐は体が温まる料理ですしね」


「確か麻婆豆腐ってスパイスを使ってる料理なのよね」


「ええ、山椒っていうスパイスを使っててあとは唐辛子ですね」


「山椒って確か痺れるような辛さのやつよね」


「ええ、ピリッとする辛さが特徴らしいです」


「姫は辛い料理ってそこまで好きじゃないのよね」


「辛い料理自体好みは結構分かれますからね」


「でも旨辛みたいな辛い料理は結構好きなのよね」


「要するに辛さが強い料理が苦手みたいな事なんでしょうか」


「だと思うわ、辛いものが苦手だけど食べられないってわけじゃないし」


「でも寒い時は辛い料理は体が温まるそうですよ」


「辛い料理って食べると汗をかくじゃない、それも含めてなのかしら」


「汗をかくとその汗ごと体が冷えますからね」


「とはいえ辛いもので体が温まるのなら、辛すぎない程度の辛いものはいいのかしら」


「だと思いますよ」


「お店だとこの季節は一人鍋とかも提供してるしね」


「ああいうのも一興ですよね」


「この季節のお鍋は美味しいものね」


「みんなで囲めるのもいいですしね」


「こっちかしら、行くわよ」


「そろそろ11番街ですね」


エトも好き嫌いはそこまででもないが偏食なところはあったりする。

そもそも好みがはっきりしてるタイプなのがエトである。


なので好きなものや食べられるものは普通に美味しそうに食べる。

その一方で嫌いなものは頑なに食べようとしない一面もある。


国の仕事で出されたのなら食べるが、日常ではそんな事は一切ない。

嫌いなものに関しては徹底して食べようとしないのだ。


「にしても麻婆丼ってこの季節にはよさそうよね」


「麻婆豆腐自体が唐辛子を使っているので体も温まりますしね」


「豆腐も結構姫は好きよ、いろんな食べ方も出来るしね」


「豆腐は麻婆豆腐はもちろん、お酒の肴なんかにもいいって言ってましたね」


「お酒ねぇ、お酒を美味しそうに飲む大人の事はよく分からないわよ」


「お酒は大人にならないと飲めないのもありますからね」


「難しい話ね、でもお酒のおつまみはお酒を飲まなくても美味しいと思うけど」


「それはアヌークさんも言ってましたね、お酒のおつまみは子供にも人気だって」


「でも豆腐の可能性は割と感じるわよね」


「焼いて食べたりしても美味しいらしいですから」


「豆腐でステーキを作るみたいな料理もあるものね」


「ええ、なので豆腐は菜食な人にはおすすめなんだとか」


「ふーん、肉の代わりにもなったりするのかしら」


「豆腐の原料の大豆は畑の肉と言われるそうですから」


「豆なのに肉みたいなの?」


「栄養価的にも肉に近いものがあるんでしょうか」


「難しいわね」


「でも畑の肉という例えは面白いと思います」


「こっちかしら」


「はい、もうすぐそこですね」


そのまま15番街に入っていく。

パンファさんの家はすぐそこだ。


「ここね」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせネ」


「えっと、先に銅貨一枚をいただきます」


「これでお願いネ」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文の麻婆丼になります」


「ありがとネ」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いしますね」


「了解ネ」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「ではいただくネ」


麻婆丼、麻婆豆腐を乗せた丼だ。

麻婆豆腐も山椒と唐辛子による辛さが匙を進ませる。


辛い料理ではあるが、辛すぎるという事もなく子供でも食べやすい。

どちらかといえば旨辛な料理に分類されるものだ。


なので美味しいという感覚が先にくる。

ライスと一緒に食べればたちまち完食出来てしまう。


「うん、これは美味しいネ、実に美味しいヨ」


「故郷の味に近くて、それなのに故郷の味より美味しいネ」


「麻婆豆腐もそうだけど、ライスと一緒に食べると美味しいネ」


「麻婆丼、これはクセになりそうヨ」


「こんな美味しい食べ方があるのははじめて知ったネ」


「これはまた食べたくなる味ネ」


その頃のエト達は帰り際に休憩していた。

温かい麦茶が体に染みる。


「はぁ、美味しいわね」


「麦茶は温かくても美味しいですからね」


「ええ、寒い冬にはいいわ」


「ポカポカですね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、温かいおしぼり」


「ありがとうございます」


「外はもう寒くなっているみたいデスか?」


「ええ、防寒着があって助かってるわ」


「ならちょうど間に合った感じかな」


「はい、そんな感じです」


「ならよかったデス、何か必要なら言ってクダサイ」


そんな外はすっかり冬の寒さになっている。

宅配も防寒着が必要になり、店でも冬服に変わった。


寒い日でも宅配は容赦なく注文が来るのだ。

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