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椎茸あんかけチャーハン

秋の寒風が吹き始め、外もかなり涼しくなった季節。

冬服への衣替えはまだ早いという事で、今は秋服を着ている。

そんな中スープメニューの注文が少しずつ増え始めているという。

それは冬が近づいているという事を示しているのだろう。


「今回の届け先ってどこかな」


「1番街のエドワルドさんの家ですね」


「1番街か、ならそこまで遠くないね」


「ええ、では行きますよ」


今回の届け先は1番街。


そこまで遠くないので、ゆるりと向かう事にした。


「それで今回の注文って何かな」


「椎茸あんかけチャーハンですね」


「しいたけってきのこの事だっけ」


「ええ、いい出汁が取れたりするらしいですよ」


「きのこかぁ、あたしの故郷でも栽培してる人とかいたなぁ」


「きのこの栽培もやってたんですか」


「うん、離島ではあるけど農業や漁業、酪農とかもやってたしね」


「意外と手広くやってるんですね」


「土地は結構あるみたいだからなのかもね」


「それでいろいろ出来るという事ですか」


「うん、あたしの家は農家だったけど」


「リーザさんの足腰が丈夫な理由が分かった気がしますね」


「あまり好きではなかったけど、手伝いはしてたからね」


「リーザさんってその島が嫌いだったりとかするんですか」


「うーん、嫌いというより退屈だから何か刺激的な事は求めてたかも」


「それで冒険に出たくて飛び出したという事ですか」


「まあお金がないから今はお金貯めてるけどね」


「それでお金は貯まったんですか」


「それなりにはね」


「でもリーザさん、結構食材の知識とかありますよね」


「まあ仮にも島育ちで農家とかを近くで見てきたのはあるからね」


「それで食材の知識はそれなりにあるという事ですか」


「うん、きのこもそれなりに詳しいし、美味しいきのこの見分けとか出来るよ」


「それは凄いですね」


「毒きのことかも分かるから、山で遭難しても少しは生き残れるかなと思うし」


「リーザさんの逞しさが分かった気がします」


「でもお店で見る食材とかは知らないのも多いかも」


「それは私もなんですけどね」


「こっちか、行こう」


「焦らなくても間に合いますよ」


リーザは離島育ちという事もあり、食材に関する知識はそれなりにある。

本人は退屈だと言っているが、そこで得た知識は本物でもある。


料理はそこまで得意ではないが、最低限食べられるものは作れる。

なのでこれで結構器用なのはみんなも感心している。


店で食べられるきのこ類はどれも美味しいと言っているのもリーザらしい。

リーザ曰くきのこは安い割に美味しいので重宝しているとか。


「あんかけチャーハンってチャーハンにとろみのあるスープをかけたやつだっけ」


「そうですよ、片栗粉という粉を使ってとろみを付けているんだとか」


「片栗粉ねぇ、世の中には知らない食材も多いね」


「あんかけというのはとろみが命なんだと言ってましたしね」


「でもきのこから取った出汁っていうのを使うと料理が凄く美味しくなるよね」


「出汁という食文化は東の国にはあると聞きましたけど」


「きのこの使い方もいろいろ知れたのは大きいかな」


「リーザさんってもしかしてきのこが好きなんですか?」


「好きだよ、きのこ料理は昔から好きだったから」


「離島育ちでいろいろやってると肉や魚を好きになりそうなイメージもあるんですが」


「肉や魚も好きだよ、でもきのこがなぜか気に入ったんだよね」


「はぁ、そうなんですね」


「それにきのこは安い割に美味しいし、何かと助かってるんだよね」


「きのこが好きなのも理由があるんでしょうか」


「こっちだね、行くよ」


「もう少しですね」


そのまま1番街に入っていく。

エドワルドさんの家はすぐそこだ。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「えっと、先に銅貨一枚と青銅貨四枚いだきます」


「これでお願いします」


「銀貨一枚いただきます、お釣りの青銅貨一枚とご注文の椎茸あんかけチャーハンになります」


「確かに」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、いただきますか」


椎茸あんかけチャーハン、しいたけの旨味がたっぷりと出たあんかけチャーハンだ。

あんかけチャーハンにしいたけもたっぷり乗せてあり、しいたけづくしなのである。


またあんかけもしいたけの出汁をたっぷりと使っている。

それに加えチャーハンも強い火力で炒めた卵チャーハンであんかけとよく合う。


そんなしいたけの旨味たっぷりのあんかけは熱々であり寒い日には美味しいものだ。

シンプルな卵チャーハンとしいたけを含む具たっぷりのあんかけが美味しさの秘訣だ。


「うん、これは美味しいですね、このあんかけと炒めたライスがよく合う」


「あんかけにも様々な肉や野菜、きのこが使われているのがいい」


「そして炒めたライスはシンプルに卵のみというのがいいですね」


「それにしてもこのしいたけというきのこは美味しいですね」


「歯ごたえはもちろん、噛むほどに美味しい味が溢れ出てくる」


「こんな美味しいきのこがあったとは、世界は広いものです」


その頃のリーザ達は帰り際に休憩していた。

麦茶も温かい麦茶に変わったようだ。


「ふぅ、美味しいね」


「温かい麦茶もそれはそれで美味しいですよね」


「でも冷たい方が美味しく感じるかも」


「麦茶というのは不思議な飲み物ですね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったよ」


「お帰り、はい、温かいおしぼり」


「ありがとうございます」


「外はもうすっかり涼しくなったみたいデスね」


「うん、でも冬はまだだから防寒具はまだ必要ないかな」


「なら冬が本格化しそうな時はあらかじめ言ってくれれば対応するからね」


「分かりました、お願いします」


「冬も近いとなると暖房もそろそろ稼働させマスか」


冬は少しずつ確実に近づいてきている。

寒い季節はスープ料理やラーメン系の料理がよく出る季節。


またお一人様鍋のフェアメニューも用意する事を考えている様子。

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