表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
235/402

魯肉飯

すっかり秋の気候になり制服も衣替えになった。

店も冷房は使わなくなり、それぐらいに涼しくはなった様子。

秋が過ぎて冬が来るまでは冬服などに変える必要もなさそうだ。

そんな秋のフェアメニューも汁物以外は大体は宅配に対応している。


「今回の届け先ってどこかしら」


「15番街のディクシーさんの家ですね」


「ならさっさと届けちゃいましょ」


「ですね、行きましょう」


今回の届け先は15番街。


そこまで遠くはないので待たせない程度に届ける事に。


「それで今回の注文ってなんなのよ」


「魯肉飯ですね」


「魯肉飯?何よそれ」


「ライスに柔らかくなるまで煮込んだ肉と卵を乗せた丼みたいなものですね」


「ふーん、つまり丼ものの一種って事でいいのかしら」


「それに近いものではあるみたいですね」


「なるほどね、でもそこまで肉って柔らかくなるものなのねぇ」


「肉にはタレもかかっているので美味しいそうですよ」


「いいわね、そういう肉は好きだわ」


「エトさんって肉とかチーズが好きですよね」


「まあ肉は好きよね、お店だといろんな肉が食べられるのも助かるわ」


「まかないでいろいろ作ってくれますからね」


「肉って美味しいもの、それに肉に付けるタレも美味しいからなおさらにね」


「焼いてそのまま食べても結構イケるものですけどね」


「でもタレがあった方が美味しいのは事実よね」


「漬け込んだ肉とかも美味しいですよね」


「分かるわ、生姜焼きとかなんであんなに美味しいのかしらね」


「エトさんが肉好きなのは伝わりますね」


「でも魯肉飯って不思議な名前ね、どこか異国の料理なのかしら」


「みたいですね、台湾っていうところの料理みたいです」


「知らない地名ね、そもそもアヌーク達はどこの国の人なのかしら」


「悪い人ではなさそうですから、まあいいのでは」


「そうね、美味しい料理を作る人に悪い人はいないわ」


「そういう理由なんですか」


「こっちね、行くわよ」


「急がなくても間に合いますよ」


エトは肉やチーズが好きなので味覚は割と分かりやすい。

肉は焼いてそのまま食べても思っているより美味しいものだ。


だがタレがあればもっと美味しくなるというのも確か。

エトは焼き鳥なども塩よりも圧倒的にタレ派である。


タレのあの美味しさは肉を食べる上で何よりも欠かせないという。

エトも偏食家ではないが、好みは結構はっきりしている人でもある。


「丼ものって肉のタレとかがライスに染み込むから美味しいのよね」


「エトさんはライスも結構好きですよね」


「好きね、前はパンの方が好きだったけど、今はすっかりライスが好きよ」


「ライスに焼肉のたれとかをかけて食べるのが好きみたいですけど」


「ライスはそのままでも美味しいけど、醤油とかタレとかをかけるともっと美味しいのよね」


「そういえば卵かけご飯とかもありましたっけ」


「ライスに何かをかけて食べるのはそうだけど、生卵って美味しいのね」


「あれはお店で扱っている卵だから出来るって言ってましたけど」


「他の卵でやったら確実にお腹を壊すのかしら」


「卵がそれだけ綺麗にされているからこそですよね」


「だからこそ生卵が食べられる、技術って凄いのね」


「生卵を食べられるって実は凄いんですよね」


「こっちみたいね」


「もう少しですね」


そのまま15番街に入っていく。

ディクシーさんの家はすぐそこだ。


「ここね」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、えっと、先に銅貨一枚と青銅貨二枚いただきます」


「これで」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文の魯肉飯になります」


「どうも」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いしますね」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、いただきますか」


魯肉飯、ライスに柔らかくなるまで煮込んだ肉と卵を乗せた料理。

丼ものに近いが、どちらかと言えばプレート料理になる。


要するに肉の煮汁ごと米にかけたかけご飯である。

本場では台湾米だが、店では普通の白米で提供している。


なお本来の魯肉飯は丼ものではないので、どちらかというとおかずに近い料理でもある。

なのでこの魯肉飯は丼ものに近い盛り付けになっている。


「うん、これは美味しいですね、肉がほろっと崩れていく」


「肉もそうですが、この卵も美味しいですね、味付けのゆで卵ですか」


「ライスにも肉のタレが染み込んでいて食べやすいですね」


「肉と卵とライス、この組み合わせが実にいい」


「ライスと一緒に食べるというのはこうも美味しいものなんですね」


「肉の味が染み込んだライスの美味しさが実に素晴らしい」


その頃のエト達は帰り際に休憩していた。

冷たい麦茶が体に染み渡る。


「麦茶って美味しいわねぇ」


「不思議な味の飲み物ではありますよね」


「最初は変な飲み物だと思ったけど」


「今ではすっかり慣れてしまいましたね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「外はすっかり涼しい感じデスかね」


「そうね、もう暑いっていう感じはないわ」


「なら衣替えして正解だったかな」


「そうですね、問題ないと思います」


「冬はもう少しかかりそうデスしね」


そうして秋も本格化している様子。

冬が来るのはまだ先なので、今はそのまま行く事に。


秋の涼しさが体に染みる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ