表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
233/402

シチューライス

秋のフェアメニューが始まり季節の移り変わりを感じる時期。

異世界の方も暑さは落ち着き少しずつ涼しくなり始めている。

それに伴い夏服や冷房などはそろそろお役御免になるか。

そうしたもののタイミングは意外と読みにくいようだ。


「今回の届け先ってどこかしら」


「17番街のアブドラさんの家ですね」


「17番街ね、なら早く行くわよ」


「焦らなくても間に合いますよ」


今回の届け先は17番街。


そこまで遠くはないもののなるべく急ぐ事にする。


「それで今回の注文ってなんなの」


「シチューライスですね」


「シチューライスってカレーライスの亜種かしら」


「シチューはご飯にかけても結構美味しいって言ってますし」


「料理って本当によく分からないものがたまにあるわよね」


「でもエトさんはシチューライスは結構好きですよね」


「美味しければいいのよ」


「とはいえシチューライスはドリアとかラザニアが割と近い料理らしいですね」


「あれはチーズを乗せて焼いたものじゃない、シチューライスは違うでしょ」


「シチューライスは基本的にクリームシチューですし、チーズとかも使ってますよ」


「クリームシチューって牛乳で作るんでしょ?」


「ええ、そこにチーズを加える事もアレンジではあるそうですよ」


「でも主張が強いのは牛乳じゃない」


「シチューライスは普通のクリームシチューより味を濃いめに作っているそうですから」


「そうなの?その辺は料理人としての感覚なのかしら」


「元々ライスに合わせるのは濃いめの味のものが多いとアヌークさんは言ってましたね」


「だからシチューも普段食べるものより濃いめに作ってるって事かしら」


「シチュー単品だとシチューライスのシチューより味が薄めだとか」


「そういえばライスで食べるタイプの定食とかも濃いめの味のおかずが多いわね」


「そういうのは昔の話で、お米は塩気の強いもので食べていた事の名残なんだとか」


「ふーん、だからライスは塩気の強いおかずがよくつくのね」


「シチューライスもライスに合わせるために味を普通のシチューより濃いめにしたとか」


「ライスの美味しい食べ方なのかしら、よく分からないわね」


「ライスには塩気が強いものが合うというのは確かみたいですが」


「こっちね、行くわよ」


「焦らなくても大丈夫ですよ」


シチューライスのシチューは普通のシチューより味は濃いめなのである。

アヌーク曰くライスには濃い味のおかずがよく合うのだとも。


シチューライスも単品メニューのシチューとは製法が違ったりする。

その辺の味の調節は料理人の舌で整えているのだろう。


シチューライスはカレーライスと似たように作るというのもあるという。

なのでシチューライスのシチューはカレーのような感じになっているのだと。


「それにしてもシチューライスなんて誰が考えついたのかしらね」


「恐らく家庭料理からの派生ではないかと」


「つまり平民がライスにシチューをかけて食べてたみたいな話なのかしら」


「そこから店で出せる料理に進化するみたいな話もあるでしょうし」


「料理って思わぬ所にヒントが落ちてたりするのねぇ」


「ただシチューライスもライスにシチューをかけたら美味しいと気がついたからこそでは」


「なるほどね、最初は誰だって美味しいとは思わないみたいな話なのかしら」


「料理だって最初にレシピを考えた人は偉大という事ですよ」


「美味しいからいいけど、シチューライスを考えた人も結構なものよね」


「ライスに何かをかけて食べると美味しいというのは種類も多様ですしね」


「ライスにそうやって何かをかけて食べるのも文化的なものだったりするのかしら」


「発展型の食文化かもしれませんね」


「美味しいを探究するのもまた料理人なのかしらね」


「少なくともアヌークさんはそんな感じですよね」


「あっちね、行きましょうか」


「もう少しですよ」


そのまま17番街に入っていく。

アブドラさんの家はすぐそこだ。


「ここね」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「えっと、先に銅貨一枚と青銅貨二枚をいただきます」


「これでお願いします」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文のシチューライスになります」


「どうも」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、いただきますか」


シチューライス、ライスにシチューをかけた料理。

言うならばカレーライスのシチュー版だ。


カレーのようにじゃがいもと人参、玉ねぎを使ってある。

肉はかかっているシチューがクリームシチューなので、鶏肉を使っている。


牛肉だとそれはビーフシチューになってしまうのである。

クリームシチューには鶏肉が合うというのはアヌークの試行錯誤の結果でもある。


「うん、これは美味しいですね、ライスにミルクのシチューの味がよく合う」


「ライスと一緒に食べる事でその美味しさがまた増しますね」


「こうしてライスに何かをかけて食べるというのも不思議ながらも美味しいものです」


「使っている肉は鶏肉でしょうか、ここ近年で人気になったという肉ですよね」


「野菜も様々使われているのがまたいいですね」


「肉も野菜もゴロゴロしているのが美味しさの理由なんでしょうか」


その頃のエト達は帰り際に休憩していた。

冷たい麦茶が体に染みる。


「はぁ、麦茶って美味しいわね」


「温かくても冷たくても美味しいですからね」


「冬は温かい麦茶も美味しいものね」


「ですね、それもまた美味しいですよ」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「外はまだ暑さが残っていたりしマスか」


「まだ暖かいけど、涼しくはなってるわよ」


「なら衣替えはもう少し先でいいかな」


「そうですね、まだ少し汗はかきますから」


「分かりマシタ、ではまだ夏服を継続しマスね」


そうして秋が本格化するのはもう少し先になりそうだ。

制服の衣替えはもう少し様子を見る事にした。


本格的に涼しくなるのはもう少し先になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ