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明太ポテトピザ

すっかり夏の気候になったようで、制服も薄着に変わった季節。

宅配に出る際もなるべく水分補給などはするように言ってある。

ただアヌーク達の世界の夏に比べればまだ全然涼しい。

この国は内陸にある国なので、雨雲や海風が届きにくいのが難点か。


「今回の届け先ってどこだっけ」


「12番街のユウキさんの家ですね」


「12番街だね、ならそんなに時間はかからないかな」


「暑さもあるので早めに届けてしまいますか」


今回の届け先は12番街。


そこまで遠くないのでサクッ届けてしまう事に。


「そういえば今回の注文って何かな」


「明太ポテトピザですね」


「明太子って確か魚の卵だっけ」


「はい、それに辛味の味付けをしたものだとか」


「魚の卵かぁ、島だと魚は食べてたけど魚の卵は食べてなかったね」


「魚の卵を食べるっていうのは海沿いの街とかでも聞かない話ですし」


「そういえばお店のピザって自由に作ってもらえるシステムがあるよね」


「ええ、完成品もメニューにはありますけどね」


「ベースの生地にソースと具材を選んで好きに作ってくれるとか凄いね」


「ただそれになると完成品より少々割高になる事が多いみたいですよ」


「好きに作れる分お高い具材とかも迷わず使うからなのかな」


「シンプルなピザを食べたいならマルゲリータでも頼めば足りますしね」


「つまり贅沢なピザを食べたいみたいな人向けのシステムなのかな」


「あと完成品で苦手な食材がある場合なんかはそのシステムで抜くとかも出来ますね」


「トマトが苦手ならトマト抜きにするみたいな事だね」


「カスタマイズのピザはそういう苦手な食材があるとか豪華にして食べたいという人向けかと」


「なんにせよピザはそういうカスタムが出来るメニューなんだね」


「ええ、特に宅配の場合はカスタマイズのピザが結構頼まれてますね」


「なんか可能性を感じさせるなぁ」


「元々お店でも料理は好みのアレンジで食べていいっていうスタンスですし」


「そういえば調味料コーナーがあってそこからタダで自由に使えるもんね」


「元々がそういうスタンスである以上ピザのような自由な料理も当然あるわけで」


「料理に対する自由さを感じさせるなぁ」


「そういう事が出来るのは懐の深さもあるからかと」


「こっちかな」


「暑いので早めに行きますか」


ピザは可能性の料理とも言える。

カスタマイズも出来るし完成品も扱っているのでそこは自由だ。


カスタマイズのピザは主にテイクアウトや宅配でよく出るという。

もちろんカスタマイズすると完成品に比べると多少割高になる。


ピザは可能性の料理なので、基本的に何を乗せても美味しいのだ。

肉の魚介も野菜もなんでも自由なのがピザなのだ。


「それにしてもピザって何を乗せても美味しいのは凄いよね」


「フルーツを乗せる事もあるそうですし」


「パイナップルのピザとかあるもんね」


「ええ、まあフルーツのピザは一部の人には許せないものだとは言われているとか」


「そうなの?」


「ええ、国によっては信じられないみたいなところもあるそうです」


「そういうのは国の文化とかそういうのが関係してるのかな」


「かもしれません、食文化というのはまさに異国の象徴ですから」


「なるほどね、外国ではこんな食べ方をするのかみたいな」


「パイナップルのピザやナポリタンなんかはそれに当たるそうですし」


「そこはまさに食文化か」


「パイナップルのピザとかナポリタンとか外国生まれという感じですからね」


「こっちだね、行こう」


「もうそこですね」


そのまま12番街に入っていく。

ユウキさんの家はすぐそこだ。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、先に銅貨一枚と青銅貨二枚をいただきます」


「これで」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文の明太ポテトピザになります」


「ありがとうね」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、いただこうかな」


明太ポテトピザ、明太子と角切りポテトを乗せたホワイトソースのピザだ。

明太子はそこそこいいものを使っていたりする。


ポテトもピザに合うものをチョイスして使っているので、食べごたえもある。

明太子のピリ辛さがポテトの甘さをさらに引き立てるのも美味しさの理由だ。


そもそも魚の卵を食べるというのはこっちの世界にはない文化。

なのでたらこや明太子だけでなくいくらも珍しかったりする。


「うん、こいつは美味しいね、故郷の味そのままだ」


「まさか異国の地で明太子が食べられるとはね」


「明太子とじゃがいも、この組み合わせはやっぱり至高だね」


「こうしてピザで食べられるっていうのは異国だからこそかな」


「明太子はこのピリっとした味が何よりも美味しいのさ」


「んー、チーズとの相性もよくて実にいい」


その頃のリーザ達は帰り際に休憩していた。

塩タブレットを噛み砕き冷たい麦茶を飲む。


「はぁ、癒されるねぇ」


「暑い日は塩分と水分を補給するのが大切だそうですし」


「それで麦茶と塩タブレットなんだね」


「水はきちんと飲まないとですからね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったよ」


「お帰り、はい、冷たいおしぼり」


「ありがとうございます」


「外の暑さはどんな感じデス?」


「暑いには暑いけど、暑すぎる感じはないかな」


「なら今は平気かな」


「気温は毎日変わるので、暑さ対策だけはしていただければ」


「分かりマシタ、ではそれでいろいろしておきマス」


暑いが暑すぎるという事はない。

とはいえ対策はしっかりとしておく必要がある。


夏は油断は出来ないのだから。

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