222/402

ミックスグリル

夏も本番に入り冷たい料理も売れ行きが伸びてきた異世界キッチン。

そんな夏の中でも様々な料理が出ている。

フェアメニューも夏だけに冷たい料理やスタミナ料理が多い。

その一方で定番メニューもきちんと売れているようである。

「ふむ、やはりこっそり来るのはいいものだな」

「孫娘の働きぶりをこっそりと見ているのもまたいい」

「そして何より料理が美味しいのでな」

「では行くとするか」

彼の名はラムゼス、今は隠居しているかつては有名だった人だ。

隠居してからは意外とバレていないようでもある。

「こうした防犯意識は素晴らしいな」

「うむ、この涼しさはまさに夏という感じだ」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人だよ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いや、吸わないな」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「孫もしっかり働いているようだな」

そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。

簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。

「タブレットの使い方は分かりますね」

「ああ、問題ないよ」

「分かりました、では何かあればお呼びください」

「さて、水を取りに行くか」

そうしてリーザは一旦下がり別の料理を運びに行く。

ラムゼスは先に水を取りに行く事に。

「ここの水はシンプルに美味しくていいな」

「あとは氷と手拭き、それにしてもこうして自由に使えるのもまた素晴らしい」

「さて、注文を決めてしまうか」

「フェアメニューなどにも目は行くが、やはりこれに限るな」

「これとこれとこれで確定だ」

「このタブレットというのは便利なものだな」

そうしてラムゼスはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはほうじ茶だった。

お茶が気に入っているようで、特にほうじ茶を気に入っている様子。

冷たくても温かくても美味しいお茶は何かと便利だ。

「ふぅ、このほうじ茶というのはいい」

「独特な味もそうだが、何より飲みやすいからな」

「冷たくても飲めるお茶というのは便利なものだ」

「様々な茶があるというのは迷ってしまうな」

そうしているとミックスグリルが運ばれてくる。

様々な肉料理を乗せたプレート料理だ。

「お待たせしました、ミックスグリルのライスセットになります」

「すまないな」

「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」

「さて、いただくとするか」

ミックスグリル、様々な肉料理を乗せたプレート料理だ。

ハンバーグやソーセージ、フライドポテトにグリルチキンなどが一枚のプレートに乗る。

ハンバーグは結構大きいので食べごたえもある。

グリルチキンはトマトソースで焼き上げてある。

ソーセージも熱した鉄板でしっかりと焼き上げられている。

フライドポテトはハンバーグのソースが染みて美味しくなっている。

あとはミックスベジタブルも乗っているのでソースと合わさっていい味になっている。

ミックスグリルではあるが主役はやはりハンバーグだろう。

デミグラスソースのハンバーグはシンプルにして美味。

ミックスグリルは美味しいもののいいとこ取りなのである。

「うむ、やはりこの味が最高だな」

「肉料理を様々味わえるというのは実にいい」

「そしてフライドポテトや野菜もこうも美味しいとは」

「大人でも好きだが、子供には人気があるのだろうな」

「こうして美味しい肉が食べられるのは実にいい」

「いくつになっても美味しいものは美味しいのだからな」

「この歳になってこれだけ美味しい肉を食べられるとはな」

「やはり歳を重ねても好きなものは好きだという事だな」

そうしているうちにミックスグリルを完食する。

続いてデザートを頼む事に。

「お待たせしました、デザートですか」

「ああ、頼む」

「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」

それから少ししてイタリアンプリンが運ばれてくる。

マスカルポーネチーズが効いた少し固めのプリンだ。

「お待たせしました、イタリアンプリンになります」

「すまない」

「こちらは伝票になります、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただこうか」

イタリアンプリン、マスカルポーネチーズが効いた固めのプリンだ。

チーズの味とカラメルがいい感じにマッチする。

「うむ、やはりこの味だな」

「この甘いのだがほんのり感じるチーズの味がいい」

「苦くも甘いソースが美味しいのもプリンだな」

そうしているうちにイタリアンプリンを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いを頼む」

「はい、ミックスグリルのライスセットとイタリアンプリンとドリンクバーですね」

「全部で銀貨一枚と青銅貨四枚になります」

「これで頼む」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけているようデスね」

「おや、シェフの方」

「それにしても変装も気づかれないものデスね」

「孫娘の様子を見に来るのも慣れたものですよ」

「そのシンプルな変装の方が実は気が付かないものなのデスかね」

「ヒゲは剃っておらんし、シンプルに私服で来ているだけなのだがな」

「エトサンも意外とそっちの方がかえって気が付かないのかもデスね」

「まあ今は私はただのご隠居様だ、変に気を使われても困るのでな」

「それにしてもまさか先代がお忍びで来るとは思いマセンよ」

「ほっほっほ、孫娘の可愛い姿は見たくもなるだろう」

「エトサンがお好きなのデスね」

「上には男ばかりの兄弟だからな、誰かが可愛がってやらねばなと」

「いいお爺様デスね」

「まあバレないのもそれはそれで寂しくはあるが」

「仕事上気がついてても言ってこないだけかもしれマセンが」

「それはそれで仕方ないとは思うがな」

「親の心は複雑デスね」

「おっと、ではそろそろ行くとするよ、孫娘をよろしく頼みます」

「先代も元気なんだよねぇ」

「ああいうご老体は見ていて気持ちいいデスよね」

そうしてラムゼスは満足そうに帰っていった。

エトも気づいているのかどうなのか。

隠居しても元気バリバリである。