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中華丼

こっちの世界もすっかり冬模様になった様子。

そんな中でも宅配の注文は容赦なく入ってくる。

防寒具は支給されているので、それを着込んで宅配に出る。

年末年始の調整もしつつきちんと仕事はこなすのである。


「今回の届け先ってどこなの」


「今回の届け先は10番街のスタークさんの家ですね」


「10番街だね、なら早く届けちゃおうか」


「ですね、では出発です」


今回の届け先は10番街。


店があるのは6番街なのでそこまで遠くはない。


「そういえば今回の注文って何かな」


「中華丼ですね」


「中華丼って確かトロッとした餡に野菜とか肉を入れたやつだっけ」


「ええ、それをライスにかけて食べるものですね」


「丼料理って食べるのには便利でいいよね」


「丼ものは元々は時間のない人に向けて考えられた料理らしいですからね」


「確かにライスに肉とか乗せてると一気にかき込めていいよね」


「まさに現場の人向けって感じの料理ですよね」


「でも中華丼か、僕はこういうの好きだな」


「アレッシオさんも割と年相応の味覚してて好みですよね」


「そういえば中華丼とか五目焼きそばに入ってる小さい卵って美味しいよね」


「あれはうずらという鳥の卵らしいですよ」


「うずらの卵…鶏の卵とは違う美味しさが好きだな」


「アレッシオさんは丼ものとか好きな人ですよね」


「うん、味もそうだけど割と簡単に作れるのがね」


「料理とかするようになったんでしたっけ」


「うん、そこまで大したものが作れるわけじゃないけど」


「私も料理はしますけど、基本的には自分が食べるものしか作りませんし」


「そういえばソアレって一人暮らしなんだっけ」


「そうですよ、私の出身は西に3つ隣の国なので」


「結構遠くの国から来てるんだね」


「服の勉強がしたいからもありますから、お店で働いてるのは稼ぎのよさもありますし」


「その割にはしっかり付き合ってくれてて助かるよ」


「働きながら勉強するというのは出来るものですからね」


「こっちだね、急ごう」


「道もすっかり覚えてしまいましたね」


丼ものはアレッシオなんかもたまに作るらしい。

材料はこっちで手に入るものでも意外となんとかなるのだろう。


ソアレが結構遠くの国の出身というのはなんとなく意外ではある。

店で働きながら服の勉強もしているのだという。


なお丼ものは今ではこっちでも現場で働く人には人気になっているとか。

現場から牛丼が大量に注文される事などもあるとのこと。


「それにしても丼ものって今では現場の人からも人気だよね」


「建設現場や外を動き回る人には素早く食べられて栄養になるのは強いですからね」


「やっぱりそういう理由なんだね」


「素早く食べられるって強いんだなぁ」


「丼ものの強みがしっかりと好かれているみたいですからね」


「素早く食べられて腹持ちもいいんだよね、ライスだから」


「ええ、ライスは腹持ちがいいのでそこに肉や野菜が入るのは大きいですよ」


「牛丼に限らず中華丼でもカツ丼でも丼ものは時間のない人にはありがたいんだなぁ」


「丼ものはそれが生まれた理由が分かった気がしますよね」


「こっちだね、行くよ」


「道を頭で覚える程度には慣れてきましたね」


そのまま10番街に入っていく。

スタークさんの家はすぐそこだ。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、では先に銅貨一枚と青銅貨一枚をいただきます」


「これで」


「確かに、ではこちらがご注文の中華丼になります」


「はい、確かに」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、いただくとしますか」


中華丼、野菜や肉のあんかけ丼といった感じの丼料理。

なお中華丼とは言うが中華料理に中華丼はない。


天津に天津飯はないみたいな話で、中華料理というわけではない。

それでも中華丼という名前なのは作った人に言ってくれという話だ。


ついでに言えば五目焼きそばの餡と中華丼の餡は同じものである。

要するに中華餡をかけるものがライスか中華麺かの違いである。


「ん、これは美味しいですね、ライスと餡というやつがよく絡んでいる」


「肉や海の幸も使われていて、野菜もしっかりと摂れるのですか」


「ライスと一緒に食べるものというだけに合うように作られているんですね」


「餡はとろみがあるからなのか熱が逃げないみたいですね」


「だから温かいままの餡とライスがしっかりと美味しいままだ」


「とろみをつけると熱が逃げないというのはなかなかに興味深い」


その頃のアレッシオ達は帰り際に休憩していた。

冬なので麦茶もホットになったのだ。


「ふぅ、温かい麦茶も美味しいね」


「ええ、体が温まりますよ」


「魔法瓶なら冷めないし、いいね」


「不思議な水筒ですよね、魔法瓶というのは」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻りました」


「お帰り、はい、温かいおしぼり」


「ありがとうございます」


「外はすっかり冬みたいデスね」


「はい、まあ雪が降るほど寒くなる事はめったにない土地なんだけどね」


「なら防寒具とかは今のままで足りるかな」


「そうですね、もっと寒くなったとしても今のままで足りるかと」


「分かりマシタ、ではしばらくは様子を見マスね」


寒くなっても寒すぎるぐらいにはならないのがこの国だという。

防寒具も今のままでとりあえずは足りそうだ。


それでも気候の変化は見ておく必要はある。

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