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ビーフシチュー牛丼

フェアメニューが切り替わる季節になった異世界キッチン。

それに伴い当然外も寒くなり、宅配にも防寒具が用意される。

また店内も暖房が稼働し始める。

それでも宅配を休むわけにはいかないのだ。


「今回の届け先はどこかな」


「3番街のソレルさんの家ですね」


「3番街か、なら早く終わらせようか」


「はい、行きますよ」


今回の届け先は3番街。


店があるのは6番街なのでそこまで遠くない場所だ。


「今回の注文ってなんなの」


「ビーフシチュー牛丼ですね」


「ビーフシチュー牛丼?牛丼って元々肉を煮込んだものじゃないの?」


「なんでもハヤシライスみたいな感じの煮込み方をした牛丼みたいですね」


「つまり肉は牛丼と同じだけど、シチューみたいに煮込んであるんだ」


「はい、ビーフシチューのように煮込んだ牛丼が今回の注文ですね」


「なるほどねぇ、そういうのは考えたなぁ」


「スプーンで食べる牛丼みたいなコンセプトらしいですよ」


「ふーん、でも美味しそう」


「なので牛丼と言うよりはハヤシライスが近いと思いますよ」


「牛丼の肉をハヤシライスみたいに煮込んだのか、考え方次第って感じかも」


「肉を美味しく食べるっていうのもコンセプトみたいですしね」


「でもあたしはそういうの好きかも」


「リーザさん、肉が好きですからね」


「好きだね、肉が一番だよ」


「ビーフシチューライスセットとかはありますけど、ライスにかけるというのが発想ですね」


「でもビーフシチューみたいって事はそれこそ普通の牛丼よりも煮込んでるんだろうね」


「ビーフシチューは定番メニューでも人気メニューの一つですしね」


「そういえばシチューだとクリームシチューってはじめて食べた味だったな」


「シチューと言えばビーフシチューが一般的ですからね」


「クリームシチューは美味しいから好きだけど、それをライスにかけたりもするし」


「パンでもライスでも美味しいというのはなかなかですよね」


「クリームシチューもそのうち広まったりするのかもね」


「家庭料理や食材の普及にも一役買ってますよね」


「よし、急ぐよ」


「ですね、急ぎましょう」


店で提供される料理はあくまでもファミレス的な料理である。

アヌーク自身は元三ツ星ホテルのシェフだが、家庭的な料理を作るのが好きという。


だからなのか技術やノウハウこそシェフ時代に培ったものはある。

そうした技術やノウハウを使ったファミレス的な料理を作りたいと思った。


同時に店の味でありながら家庭でも再現しやすいようにレシピを組んでいる。

フェアメニューなどのメニューを考える際もそこを重視しているとか。


「それにしてもアヌークの考える料理って家でも割と簡単に作れるよね」


「お店で使っている食材はそれなりにいいものですが、代用は多くの場合出来ますしね」


「そうなんだよね、安い食材でも料理自体は普通に作れちゃうし」


「食材自体は高くても安くても作れる、ただ味の質は少し落ちるという事ですね」


「そういうのは仕方ないよね、でもお店の料理が家で作れるだけで凄いと思うんだけど」


「アヌークさんが言うには再現可能なようにレシピを作っているとか」


「そういうところはプロの料理人って感じだよねぇ」


「食材の良し悪しで味の質こそ変わっても料理そのものは再現出来るんですよ」


「それでも大きく不味くなったりはしないからね」


「それがプロの考えるレシピという事なんでしょうね」


「よし、急ぐよ」


「すぐそこですからね」


そのまま3番街に入っていく。

ソレルさんの家はすぐそこだ。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、では先に銅貨一枚をいただきます」


「これで」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文のビーフシチュー牛丼になります」


「はい、確かに」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、いただこうかしら」


ビーフシチュー牛丼、牛丼の肉をビーフシチューのように煮込んだもの。

それをライスにかけて食べるので、ハヤシライスに近い料理だ。


赤ワインでホロホロになるまで煮込まれた牛肉と玉ねぎ。

肉の旨味がこれでもかと出ているからこその美味しさだ。


使っている具材は牛丼の肉にマッシュルームも使われている。

ビーフシチューのように煮込んだからこその美味しさがある。


「ん、これは美味しいわね、肉の味が凄くするわ」


「それにライスも美味しいし、それにかけて食べるのが凄く美味しい」


「肉も簡単に崩れていくし、玉ねぎも凄く甘くなってるわ」


「ここまで肉を柔らかく出来るなんて凄いわね」


「でもそんな柔らかい肉と肉の美味しさが染み込んだスープが凄いわ」


「どれだけ長く煮込んだのかしら、素晴らしい限りだわ」


その頃のリーザ達は帰り際に休憩していた。

麦茶も温かい麦茶に変わっている。


「ふぅ、美味しいね」


「温かい麦茶もまたいいものですね」


「うん、体がポカポカになるよ」


「麦茶は温かくても美味しいとは」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったよ」


「お帰り、はい、温かいおしぼり」


「ありがとうございます」


「外はすっかり冬になり始めているようデスね」


「まあこの国は雪は珍しいから、思ってるよりは寒くならないよね」


「でも防寒着は必要だね、着心地とかは教えてね」


「分かりました」


「もう冬デスね、暖房なんかもしっかりと稼働デスね」


寒くはなるが思ってるよりは寒くならないのがこの国らしい。

とはいえ防寒着は必要になってくる。


使い心地などもしっかりと聞いておく事に。

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