表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/402

ビスマルクピザ

冬のフェアメニューに切り替わるまでもう少し。

一方でスタッフの年末年始の予定も調整するため話を聞いておく事に。

宅配や営業時間も年末年始は少し時間の変動がある可能性もある。

そんな年末年始に向けての調整をしつつ営業は続く。


「また来てしまった、ここの料理が美味しいから悪いのだ」


「それにしても貴族の舌をあの値段の料理で満足させるとは」


「悔しいが美味しいものは美味しいと認めるしかないな」


「では参ろう」


彼女の名はアンナリーゼ、上流貴族にして数多の食を知る食通だ。


友人に誘われてきた事で想像以上のその味の虜になったようで。


「二重扉というのは防犯にはいいのだろうな」


「平民でも入りやすくそしてなおかつ美味しいというのは革新だな、これは」


「いらっしゃいませ!何名様ですか!」


「一人だ」


「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」


「食事の時には吸わないと決めている」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」


「若い者が働ける環境というのもまたいいのだろうな」


そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。


簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。


「タブレットの使い方は分かりますね」


「ああ、問題ない」


「かしこまりました、では何かあればお呼びください」


「さて、水を取りに行くか」


そうしてアレッシオは一旦下がり別の料理を運びに行く。

アンナリーゼは先に水を取りに行く事に。


「それにしても水だけでここまで美味しいっていうのは大したものだね」


「あとは氷と手拭き、しかし氷もこんなにあるとはね」


「さて、注文を決めるか」


「ふむ、どれもいいがフェアメニューはもう切り替わりの時期か」


「ならこれにするかな、これとこれとこれで確定と」


「このタブレットというのはどんな仕組みなんだろうね」


そうしてアンナリーゼはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはジャスミン茶だった。


香りのいいお茶が好きなようで、ジャスミン茶はその香りがいい。

だからこそ気に入ったのだろう。


「ふぅ、美味しいね、このお茶は」


「ジャスミンというのは花みたいだが、花で香り付けしたお茶か」


「香りもいいが味もいい、ここはそんなお茶を飲み放題とは」


「お茶以外もそのうち試してみようか」


そうしているとビスマルクピザが運ばれてくる。

チーズとプロシュートの匂いが食欲を掻き立てる。


「お待たせしました、ビスマルクピザになります」


「ありがとうね」


「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」


「さて、いただこうかな」


ビスマルクピザ、卵とハムを乗せたピザである。

主にプロシュートと目玉焼きや半熟卵を乗せた焼いたものを言う。


分かりやすく言うならハムエッグピザみたいな感じでもある。

とはいえ使うのはプロシュートなので、そこは違いでもある。


名前の由来はイタリアで実在したビスマルクという人の名前から取られている。

マルゲリータのように人の名前からつけられたのがこのビスマルクピザである。


ここの店では半熟卵を乗せて焼いている。

ビスマルクピザは使っている材料の関係からピザの中では少しお高い。


プロシュートはアヌークが選んだものを使っていてそれもまた美味しい。

プロシュートと卵のピザ、ちょっと贅沢なお高いピザである。


「んー、これは美味しいねぇ、トロッとした卵と塩気の効いたハムがいい」


「チーズも美味しいし、贅沢なピザって感じがしていいねぇ」


「それにしても半熟卵とは、それだけ卵が清潔なんだろうね」


「ピザの生地もサクサクで食べやすいし、トマトソースを取っても美味しい」


「このピザをカットする道具も面白いが、ピザは作れるものなのかね」


「その前にこのプロシュート、生ハムってやつを作らないといけないか」


「塩気があるものってなんでこんなに美味しいんだろうねぇ」


そうしているうちにビスマルクピザを完食する。

続いてデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですか」


「ああ、頼むよ」


「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」


それから少ししてイタリアンジェラートが運ばれてくる。

練って食べるのが美味しいミルクジェラートアイスだ。


「お待たせしました、イタリアンジェラートになります」


「ありがとうね」


「こちらは伝票になります、会計の際にお持ちください、それでは」


「さて、いただこうかな」


イタリアンジェラート、練って食べると美味しいミルクジェラート。

いろいろアレンジしても美味しいのだ。


「うん、やはりこのシンプルな味が何よりいい」


「練って食べるのも美味しいし、ミルクの味がとても濃い」


「牛の乳がここまで濃厚になるものなのだな」


そうしているうちにイタリアンジェラートを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いを頼む」


「はい!ビスマルクピザとイタリアンジェラートとドリンクバーですね」


「全部で銀貨一枚と青銅貨一枚になります」


「これで頼む」


「ちょうどいただきます」


「満足していただけているようデスね」


「ああ、とても満足しているよ」


「それは何よりデス」


「それにしてもここは完全に火が通らない卵でも食べられるんだね」


「それは卵が極めて新鮮だからデスね」


「ついでに言えばそれだけ綺麗にしてるんだろ」


「ハイ、普通の卵は生で食べると大変な事になりマスね」


「それだけ卵を綺麗に出来る、どうやってるんだろうね」


「半熟卵とかは気に入りマシタか」


「ああ、生卵や半熟卵を自分でも食べたいしね」


「なるほど、ただそれは難しいとは思いマス」


「やっぱりか」


「その分食べに来ていただけると嬉しいデスね」


「商売上手だね」


「オーナーデスから」


「まあいいさ、それじゃまた食べに来るよ」


「貴族の偉い人とかも来るようになったよね」


「美味しいというのを認めてくれるのは嬉しい限りデスよ」


そうしてアンナリーゼは嬉しそうに帰っていった。

美味しいものは素直に美味しいと認めるその姿勢。


食通だからこそ美味しいものには素直になるのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ