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ビーフシチューハンバーグ

秋のフェアメニューも順調に売れている異世界キッチン。

その一方で冬のフェアはアヌーク達の世界での12月から始まる。

なので今月いっぱいで秋のフェアメニューは終了となる。

限定に弱いのは異世界でもあるあるのようだ。


「また来てしまった、美味しいのが悪いのだ」


「しかしここを教えてくれた仕事仲間には感謝せねばな」


「行商という立場故に国を離れている間は来れないのが悔しいが」


「さて、行くとするか」


彼の名はルイージ、旅の行商で今はこの国に滞在している。


仕事仲間に誘われて来てからその美味しさに感動したようだ。


「この扉は商店とかでも使えないものか」


「この賑やかさが一般的なレストランとの違いだな、実にいい」


「いらっしゃいませ!何名様ですか!」


「一人だ」


「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」


「いや、吸わない」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」


「スタッフも比較的若いのがこの店の特色か」


そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。


簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。


「タブレットの使い方は分かりますね」


「ああ、問題ない」


「かしこまりました、では何かあればお呼びください」


「さて、水を取りに行くか」


そうしてエトは一旦下がり別の料理を運びに行く。

ルイージは先に水を取りに行く事に。


「美味しい水というのも間違っていないな」


「氷と手拭き、氷で冷やした水がこうも美味しいとは」


「さて、注文を決めるか、何にするかな」


「やはりフェアメニューというのは手が伸びてしまうな」


「とりあえずこれとこれとこれで確定、と」


「このタブレットというのはどういう仕組みなのやら」


そうしてルイージはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはサイダーだった。


炭酸飲料が気に入ったのもあるが、その味も気に入ったようだ。

こっちの世界では炭酸水はあるが、炭酸飲料は珍しいのもある。


「ふぅ、炭酸飲料というのは実にいい」


「炭酸水は酒を割るぐらいにしか使わないからな」


「こうした甘い炭酸水というのは実に興味深い」


「これも炭酸水の飲み方なのだろうな」


そうしているとビーフシチューハンバーグが運ばれてくる。

ビーフハンバーグにビーフシチューをかけたハンバーグだ。


「お待たせしました、ビーフシチューハンバーグライスセットになります」


「すまない」


「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」


「さて、いただくか」


ビーフシチューハンバーグ、ビーフハンバーグにビーフシチューをかけたもの。

ハンバーグはビーフ100%であり、肉にもアヌークのこだわりがある。


また添えられているにんじんのグラッセはアヌークの自慢の一品だ。

ハンバーグはもちろんだが、にんじんのグラッセはぜひそのまま食べて欲しいという。


ハンバーグにかかっているビーフシチューもしっかりと煮込まれた肉の味が溢れている。

またハンバーグのソースに使うという事もあり、今回は一緒に煮込んでいる。


アヌーク曰く本当に美味しいビーフシチューは肉と野菜は別に煮込むものだという。

流石にそれをすると値段が銀貨一枚を越えてしまうので今回はしなかったという。


それでも肉の旨味とエキスが詰まったビーフシチューはそれだけでも美味しい。

ハンバーグもビーフの味がしっかりした肉の美味しさの塊である。


「うむ、このハンバーグというのは実に美味しい、肉の味がしっかりしている」


「ソースもビーフシチューという事は肉の味をしっかり出しているのだろう」


「まさに肉の味の暴力というべき料理だな」


「そしてライスにも実に合うというのがまた美味しさを引き立てているな」


「ビーフシチューが染みたライスはそれだけでいくらでもいける」


「ハンバーグとソース、そしてライスの黄金バランスだな」


「肉とライスの組み合わせはまさに美味しさを倍にするといったところか」


そうしているうちにビーフシチューハンバーグを完食する。

続いてデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですか」


「ああ、頼む」


「かしこまりました、器はお下げしますね、少々お待ちください」


それから少ししてぶどうアンニンが運ばれてくる。

ぶどうの果肉を乗せた杏仁豆腐だ。


「お待たせしました、ぶどうアンニンになります」


「すまない」


「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」


「さて、いただこうか」


ぶどうアンニン、種なしぶどうの果肉を乗せた杏仁豆腐だ。

シンプルではあるが、この季節は美味しいものである。


「うむ、美味しいな、ぶどうも甘くて食べやすい」


「種がないというのも面白いな、そういうものなのか」


「杏仁豆腐というのも豆腐とは言いつつも甘味なのだな」


そうしているうちにぶどうアンニンを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いを頼む」


「はい、ビーフシチューハンバーグライスセットとぶどうアンニンとドリンクバーですね」


「全部で銀貨一枚と青銅貨二枚になります」


「これで頼む」


「ちょうどいただきます」


「満足いただけていてるようデスね」


「ああ、実に満足している」


「美味しいと言ってくれる事は料理人にとっては名誉デスから」


「料理人は料理を美味しいと言ってくれる事が何よりも嬉しいという事か」


「ハイ、だから料理人はやめられないのデスよ」


「私も商売をする身としては信用は何よりも大切だからな」


「商売デスか」


「行商という立場故にその国や土地で仕入れるのが基本だからな」


「珍しい食べ物とかも知っているのデスか」


「そうだな、食というのは国の文化そのものだと私は思う」


「なるほど」


「この店も多様な国の料理を出しているからな、そうした混沌としたのもまたいい」


「ファミレスとはそういうものデスからね」


「さて、ではそろそろ行く、またこの国に来た時は寄らせてもらう」


「食は国の文化ってまんざらでもないよね」


「そして美味しいは正義なのデスよ」


そうしてルイージは次の国に向けて旅立っていった。

旅をする人達もこの国に来た時にはまた来てくれる。


リピーターは大切なのだ。

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