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青菜チャーハン

秋のフェアメニューも順調に売れている異世界キッチン。

秋は主に山の幸が美味しい季節でもある。

その一方で秋に美味しい海の幸も当然ある。

美味しいものがたくさんある季節はいいものだ。


「今回の届け先ってどこなの」


「10番街のレスターさんの家ですね」


「10番外だね」


「はい、では行きますよ」


今回の届け先は10番街。


店のある場所からはそこまで遠くない場所だ。


「今回の注文ってなんなの」


「青菜チャーハンですね」


「青菜ってあれだよね、緑のシャキシャキした野菜」


「そうですね、炒め物とかにすると美味しいですよ」


「チャーハンも炒め料理だもんね」


「ええ、安い方の料理ではありますけど人気メニューですし」


「青菜って野菜を摂りたい人にはいいのかな」


「野菜は生だとかさがあるので、火を通すとたくさん食べられると言っていましたね」


「確かに野菜炒めに使ってる野菜を生で見せられると凄く多いよね」


「だから野菜はたくさん食べたいなら火を通した方がいいそうです」


「あたしの故郷だと野菜も作ってたけど、基本的に地産地消だったな」


「リーザさんの故郷っていろいろやってるんですね」


「田舎の離島だからねぇ、出荷とかもするけど自分達で食べる事の方が多いかも」


「でもリーザさんが意外と野菜が好きな人というのは驚いたというか」


「野菜は普通に好きだよ?新鮮な野菜とかはそれこそ美味しいしね」


「採れたてを知ってるから言える事ですよね」


「うん、ただ生で食べるのが美味しいのはあるけど水で洗わずに食べるのはおすすめしないね」


「アヌークさんもそんな事は言ってましたね」


「土地によっては生で食べると危険な菌とかがついてる事があるからなんだよね」


「だから洗ってから食べるですか」


「別に洗剤で洗えとは言ってないしね、あくまでも水で洗い流してからってだけだし」


「そういえば清流の水も綺麗に見えて実は危険があるって聞きましたけど」


「あー、清流の水ってどこで汚れが混ざってるか分からないから思ってるより汚いよ」


「離島で生きてきたからそういう事はしつこく言われてたんですか」


「うん、自然のものは見た目じゃ分からない汚れや菌がついてるものだって」


「なるほど、勉強になります」


「それより急ごう」


「はい」


リーザが言う清流や生野菜に潜む危険性。

生野菜は生で食べるなら最低でも水だけでいいので流してから食え。


アヌークも同じ事は言っていて、洗わずに食えるものはそれだけの努力があるから。

基本的には水にさらしてから食べた方がいいというのが基本認識である。


あくまでも洗わずに食べられるものはその生産者の努力の結晶だからと。

清流の水も生野菜も見た目以上に危険は多いものなのだ。


「そういえば青菜って炒めもの以外にもあんかけ料理とかにも使われてるよね」


「ええ、野菜としては炒めるのもいいですが煮てもイケますね」


「野菜の可能性って意外とあるよね、トマトを煮て食べるなんてはじめて知ったし」


「トマトソースとかは珍しくないですけど、トマトそのものを煮るというのは驚きました」


「他にも大根をすりおろすとかはあまり見ないし」


「東の国で食べられている食べ方なんだと思いますよ」


「東の国か、話は聞いた事があるけど、独特な文化のある国なんだっけ」


「アヌークさんはそれについて存じているみたいですが」


「東の国の料理も出してるし、調味料とかもあるもんね」


「食材とかの仕入先がそういう人との繋がりからなんでしょうね、きっと」


「目の前かな、急ごう」


「ですね、もう目の前です」


そのまま10番街に入っていく。

レスターさんの家はすぐそこだ。


「ここだね」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、先に代金として銅貨一枚と青銅貨三枚いただきます」


「これで」


「ちょうどいただきます、こちらがご注文の青菜チャーハンになります」


「はい、確かに」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、食べるか」


青菜チャーハン、レタスチャーハンに青菜を追加したもの。

チャーハンとの相性もいい青菜はしっかりと炒められてシャキシャキだ。


チャーハンの方も胡椒の味が効いていて匙が進む味になっている。

香辛料を使っているとはいえ子供でも全然平気な味ではある。


青菜チャーハンは言うならば野菜チャーハンみたいなもの。

レタスと青菜はチャーハンとの相性もバッチリである。


「ん、これは美味しいな、火が通っているのに野菜はシャキシャキだ」


「米の方もほんのりピリッとするが気にならない味、なるほど」


「香辛料で米を炒めるというのはなかなかに面白いものだな」


「使っている具材を見ると卵なんかも使っているのか」


「米を炒めてここまでの味を出せるとはな」


「これは匙が止まらん、実に美味い」


その頃のリーザ達は帰り際に休憩していた。

最近はすっかり涼しいがそれでも麦茶は美味しい。


「ふぅ、美味しいね」


「麦茶は季節に関係なく美味しいものですね」


「冬は温かい麦茶も美味しいって言ってたしね」


「それはそれで楽しみですね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいまー」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「外はすっかり涼しくなっているのデスね」


「うん、もうすっかり秋だよ」


「宅配の時も一枚羽織る上着を用意した方がよさそうだね」


「用意してくれるのならありがたく使わせてもらいますよ」


「デスね、暖かいやつを用意しておきマス」


寒くなったら宅配も上着がないと寒くなる。

アヌークもそんな上着を用意する事にした。


冬の前には届くように手配するという。

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