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イタリアンハンバーグ

秋のフェアに切り替わりまた新たな限定メニューが並ぶようになった。

限定メニューは人の気持ちに作用するのか、よく注文が入る。

限定という言葉に弱いのは異世界でも変わらないという事だ。

そして汁物以外は宅配やテイクアウトに対応しているのもまた大きい。


「今回の届け先ってどこかしら」


「15番街のユリアンさんの家ですね」


「15番街ね」


「ええ、では行きましょう」


今回の届け先は15番街。


最近はすっかり涼しくなってきたようだ。


「そういえば今回の注文って何かしら」


「イタリアンハンバーグですね」


「それってイタリアっていう国のスタイルのハンバーグってこと?」


「ボロネーゼソースとチーズで食べるみたいな感じらしいですよ」


「へぇ、そういう食べ方もあるのね」


「パスタやチーズがたくさんある国らしいですよ」


「食が美味しい国って感じなのかしら」


「アヌークさんが言うにはそんな感じらしいです」


「パスタやチーズがたくさんあるなんていいわね」


「ピッツァやパスタ、他にもデザートなんかもたくさんある国らしいですね」


「それでハンバーグなんかもあったりするのね」


「メニューにあるなんとか風っていうのは現地にその料理はない事が多いそうですね」


「そうなの?それなのにその土地の名前を使ってるのね」


「言うにはその土地で好まれる味付けで作った料理だからなんとか風なんだとか」


「だから現地にその料理はないけど、味付けはその土地で好まれる感じなのね」


「ミラノ風とかシシリー風とかいろいろ言いますけど、現地にその料理はないんだそうです」


「へぇ、なんか不思議な感じね」


「ナポリにナポリタンはないですし、天津に天津飯はないみたいな話ですからね」


「土地の名前をつけてるけど、その土地の料理にそんなものは存在しない、いいのかしらそれ」


「イタリアンハンバーグもイタリア風の味付けをしたハンバーグって事らしいですね」


「ボロネーゼソースとかチーズとかはイタリアの料理でよく使われるからなのね」


「ええ、そういう事です」


「料理のネーミングってなんとも言えないのね」


「土地の名前がついてるものは基本的に外国で生まれてるとか」


「なんか変な話ね」


「こっちです、行きますよ」


なんとか風という料理は基本的には現地にその料理はない。

あくまでもその土地で好まれている味付けで作った創作料理のようなものだ。


とはいえそれが逆輸入されて評価されたりしているのもまた事実。

外国で生まれた料理が本国に逆輸入されるケースもある。


世の中というのは意外と分からないものであるという事なのだろう。

美味しいと感じる感覚は国などたやすく飛び越えるのだ。


「でもそういう料理って外国への憧れみたいな話なのかしら」


「憧れというか、その味に感動して再現したいと思ったとかでしょうね」


「外国の料理に感銘を受けたとかそういう話はいいわね」


「とはいえ食材がなくて再現出来なかったから別の料理になったみたいな話もありますね」


「まあ外国の食材が本国で手に入る保証もないものね」


「ええ、だからそれが結果として定着したみたいな話もあるんだそうです」


「料理って面白いわねぇ、奥が深いというか」


「異国の味に感銘を受けた事がきっかけで生まれた料理、まさに求道者ですね」


「姫も外国の料理とかもう少し触れてみるべきなのかしらね」


「お店のもの以外でも異国の料理はたくさんありますからね」


「この先みたいね」


「早く届けてしまいますか」


そのまま15番街に入っていく。

ユリアンさんの家はすぐそこだ。


「ここね」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、先に支払いとして銅貨一枚と青銅貨一枚をいただきます」


「これでお願いします」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文のイタリアンハンバーグになります」


「ありがとうございます」


「容器は行政区分に従った上で可燃ごみでお願いしますね」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「ではいただきますか」


イタリアンハンバーグ、ボロネーゼソースとチーズを使ったハンバーグだ。

肉の美味しさはもちろん、ソースとチーズもまた美味しい。


肉に肉のソースというのがその美味しさを際立たせる。

チーズもいい具合に溶けているのがまたいいのだ。


ハンバーグの肉も柔らかくとても食べやすいのがいい。

しっかりと焼き上げられたハンバーグは肉の旨味もたっぷりである。


「うん、これは実に美味しいな、チーズがかかったハンバーグか」


「肉も美味しいし、ライスにもよく合う」


「ソースをライスにかけて食べるのもまた美味しくていいな」


「ハンバーグのソースをライスにかける、それもまた美味しい食べ方だな」


「肉がこんなに美味しいと感じたのも久しぶりだ」


「美味しい肉ってこういうものの事を言うんだね」


その頃のエト達は帰り際に休憩していた。

すっかり涼しくなったものの麦茶は変わらずに美味しい。


「ふぅ、落ち着くわ」


「涼しくなっても麦茶は美味しいですね」


「美味しいものは季節とか関係ないわよね」


「麦茶というのも不思議な飲み物ですよ、本当に」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「外も涼しくなっているみたいデスね」


「ええ、すっかり秋模様よ」


「秋の味覚を使ったフェアメニューも売れてるしね」


「また注文も増えそうですね」


「限定に弱いのはどこも変わらないデスね」


秋のフェアメニューも好評を博している。

それはフェアメニューも宅配やテイクアウトに対応している事が大きい。


店で食べなくても食べられるというのはメリットなのだ。

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