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黒毛和牛ハンバーグ

こっちの世界も夏が始まってきた異世界キッチン。

とはいえアヌーク達の世界に比べると涼しいようだ。

それでも暑い事に変わりはないようで、冷たい料理がよく売れている。

またかき氷を食べに来る客も結構いるようだ。


「今回の届け先ってどこだっけ」


「9番街のドレークさんの家ですね」


「9番街か、ならそこまで遠くないかな」


「はい、自転車にも慣れてきましたからね、早く届けてしまいましょう」


今回の届け先は9番街。


また練習で身についたのか、自転車も乗りこなせるようになった。


「それにしても自転車って慣れると快適でいいね」


「ただ裾の長い服は巻き込まれるからやめるように言われましたが」


「ソアレって普段はロングスカートのメイド服だもんね」


「まあ流石にお店では制服を着るのでいいんですけどね」


「それで今回の注文ってなんだっけ」


「黒毛和牛ハンバーグのセットですね」


「黒毛和牛って牛肉の種類の事でいいんだよね?」


「みたいです、なんでも少しお高いお肉みたいですね」


「高級な牛肉なんだね」


「だからなのか普通のハンバーグよりも高いみたいですね」


「でもそれだけ美味しいんだよね」


「だと思いますよ」


「僕も高級なものが普通のものより美味しいとは分かるけど、違いはよく分からないや」


「普通はそんなものですよ、高級なものと普通のものの美味しさの違いなんて」


「でも高いものが美味しいっていうのは確かなのかな」


「アヌークさんが言うには値段とは品質なんだと言っていましたね」


「値段は品質?」


「安いものには安い理由があって、高いものにも高い理由があるのだと」


「だから値段は品質って事なんだ」


「高いものは手間がかかっていたりするからその分も値段に含まれているそうです」


「手間賃って事か、安いものにも安い理由があるんだよね」


「安いものは基本的に量産品だったり、使い捨てが前提だったりとかですね」


「そういう理由があるんだね」


「だから長く使うものは少し無理をしてでも高いものを買えと言っていましたね」


「理由も何かとあるんだなぁ」


「この先が9番街ですね、行きますよ」


値段には相応の理由がある。

安いものにも高いものにも同じようにそうした理由がある。


だから長く使う道具なんかは高いものを買え。

使い捨ての道具などは安物でもいい。


高い食べ物も高いのには理由があり、値段は品質であるという事だ。

黒毛和牛ハンバーグもそんないい肉を使っているから高いのである。


「黒毛和牛っていうのはそういう牛の肉なんだよね?」


「みたいですね、それなりにいい肉でこの値段で出すのもギリギリらしいです」


「本来はもっと高くてもいい肉って事なんだ」


「お店で出すならこれが限界の値段だとは言っていましたよ」


「高いものも食べてみても違いがよく分からないのは平民だからなのかな」


「それはなんとも言えないと思いますよ」


「高いものなんてそもそも普段から食べないからなのかもね」


「私だって違いはよく分かってませんから」


「なら安心したよ」


「この先ですね、行きましょう」


そのまま9番街に入っていく。

目的のドレークさんの家へ真っすぐ向かう。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「えっと、先に代金として銅貨一枚と青銅貨四枚いただきます」


「これでお願いします」


「銀貨一枚いただきます、お釣りの青銅貨一枚です」


「はい、確かに」


「ではこちらがご注文の黒毛和牛ハンバーグセットになります」


「ありがとうございます」


「容器は行政区分に従った上で可燃ごみでお願いしますね」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしていますね」


「それでは失礼します」


「さて、いただくとしますか」


黒毛和牛ハンバーグ、文字通りの少しお高いお肉のハンバーグだ。

ソースは赤ワインソースを使っているのも少し贅沢感がある。


またマッシュポテトがついているのも値段に含まれている。

ハンバーグソースが染みたマッシュポテトもまた美味しい。


ちなみに単品でも頼めるが基本はセットである。

宅配の他にテイクアウトにも対応しているのは限定メニューでも基本である。


「ん、これは美味しいですね、肉の美味しさが凝縮されているようだ」


「ソースをライスに乗せて食べるとそれはそれでまた美味しいですね」


「こっちの白いやつは芋でしょうか、すり潰した芋という感じですね」


「肉が美味しいのはもちろん、ソースもいい味をしている」


「ソースの味からしてこれは葡萄酒でしょうか」


「葡萄酒を肉のソースに使うとはまた面白いですね」


その頃のアレッシオ達は帰り際に休憩していた。

この季節は冷たい麦茶が美味しい季節だ。


「ふぅ、麦茶が美味しいね」


「シンプルなお茶ですけど、冷たくして飲むとまた美味しいですね」


「夏はこれが美味しいってアヌークさんも言っていましたからね」


「本当に暑い季節には美味しいって分かりますね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻りました」


「お帰り、はい、冷たいおしぼり」


「ありがとうございます」


「自転車も乗りこなせるようになったみたいデスね」


「はい、もう少し上手く乗れるようには練習しますけど」


「とりあえずは乗れてるみたいならよかったかな」


「はい、おかげで時間も短縮出来ていますから」


「とりあえずは自転車を使いこなせていて安心デスね」


宅配用の自転車は仕事外の時間に練習させている。

飲み込みは早いようで、エト以外はすっかりマスターした様子。


エトも要領はいいのでもう少し練習すれば乗りこなせそうとのことだ。

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