165/402

ネバネバ冷麺

夏のフェアメニューに切り替わった異世界キッチン。

そんな夏のフェアメニューではかき氷も合わせて始めている。

リーズナブルなものから豪華なものまであるかき氷。

そして夏のフェアメニューは冷たい料理や辛い料理が多く出る。

「この辺りかな、噂の料理屋は」

「様々な異国の料理が食べられるらしいけど」

「それならぜひとも行ってみなくてはね」

「お、ここか、ではいざ」

彼の名はオースティン、森の多い国で猟師をしている青年だ。

この国に仕事で来た帰りにせっかくだからという事で寄ったらしい。

「防犯はされているんだね」

「中は涼しいな、暑くなってきたから嬉しいや」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人だよ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いや、吸わないよ」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」

「店員は若いんだな」

そうして席に案内される。

そこで一通りの説明を受ける。

説明は問題なく理解した模様。

続いてタブレットの説明に移る。

「タブレットの説明をしますね、まずは画面にタッチしてください」

「こうかな」

「続いて食べたい料理をタッチします」

「こうだね」

「そしてよろしければここをタッチ、そして確定をタッチします」

「こうかな」

「一旦リセットして…では説明は以上になります、それでは」

そうしてエトは一旦下がり別の料理を運びに行く。

オースティンは一旦水を取りに行く事に。

「さて、水を取りに行くかな」

「ここにコップを当てて…美味しい水とは大した名前だね」

「あとは氷と手拭き…それにしても氷がこんなにあるとは」

「さて、注文を決めてしまおうかな、いろいろあるね」

「何にするかな…お、これがいい、これとこれとこれで確定っと」

「このタブレットっていうのは凄いキカイだな」

そうしてオースティンはドリンクバーに飲み物を取りに行く事に。

一通り見て選んだものはサイダーだった。

炭酸水はこちらの世界ではそのまま飲む事は珍しい。

なのでコーラなどの炭酸飲料は珍しいのだ。

「ん、これは美味しいな、甘い炭酸水か」

「炭酸水の飲み物というのは新鮮な感じだ」

「甘い炭酸水、そういうものもありなのか」

「ここは飲み物も不思議な感じがするね」

そうしているとネバネバ冷麺が運ばれてくる。

オクラやとろろなどを載せた夏には美味しい冷麺だ。

「お待たせしました、ネバネバ冷麺になります」

「どうも」

「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」

「さて、ではいただこうかな」

ネバネバ冷麺、とろろやオクラを主に乗せた冷麺。

他には根菜やキムチ、蒸し鶏なども乗せてある。

スープはチキンベースに生姜の風味を加えた冷製スープ。

麺はアヌークの贔屓にしている製麺所に依頼したものを使っている。

ちなみに麺はひやむぎ程度の細さの麺であり食べやすい。

冷製スープは夏の熱くなった体にもよく効くいい感じの冷たさ。

それに加え生姜のおかげで消化も助けてくれる。

アヌークが言うにはひやむぎ程度の太さの麺が一番食べやすいとのこと。

また細い麺でも量がかさむ事を想定した上での麺の量にしているらしい。

なので大盛りと普通盛りの中間ぐらいの量を設定するとのことのようだ。

「ん、これは本当にネバネバしているね、でも不思議と食べやすいや」

「こっちは野菜でこっちは肉、あとは玉子かな、それと辛い味のする野菜だね」

「麺もいい感じに太くて食べやすさがあるし」

「太すぎず細すぎずな感じの麺が冷たいスープとよく合ってるし」

「こういう冷たい料理は暑くなってきた季節にはいいかも」

「冷たい麺料理か、ここでは普通なんだろうけど珍しい気がする」

「でも冷たいからなのかスルスルと入っていくのがいいな」

そうしているうちにネバネバ冷麺を完食する。

続いてデザートを頼む事に。

「お待たせしました、デザートですか」

「うん、お願いします」

「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」

それから少ししてアイスの盛り合わせが運ばれてくる。

バニラアイスと季節のアイスを乗せた盛り合わせだ。

「お待たせしました、アイスの盛り合わせになります」

「どうも」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただこうかな」

アイスの盛り合わせ、バニラアイスと季節のアイスの盛り合わせ。

ちなみに夏のアイスはオレンジのアイスである。

「ん、これは美味しいな、冷たくてなのに食べやすい」

「ミルクに味付けして甘くしてある感じの氷菓子かな」

「暑い季節には食べたくなる味だね、これは」

そうしているうちにアイスの盛り合わせを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いをお願いします」

「はい、ネバネバ冷麺とアイスの盛り合わせとドリンクバーですね」

「全部で銀貨一枚と銅貨一枚になります」

「これでお願い」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけマシタか」

「あなたがシェフですか」

「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」

「とても美味しかったですよ」

「それは何よりデス」

「ここでは冷たい料理というのは普通なんですか」

「割と普通デスよ、冷たいからこそ美味しい料理というのもあるのデス」

「なるほど、冷たいからこそ美味しい料理ですか」

「最初から冷たくして食べる事を想定した料理などもありマスから」

「つまり冷たくして食べる事を前提としているものがあるんですね」

「ハイ、そういう食べ物もあるという事ですよ」

「世の中は広いですね、勉強になります」

「食文化とはそういうものデスよ」

「冷たくして食べるもの、料理の世界は大したものです」

「まあそこは保存の技術とセットになってこそデスよ」

「保存…おっと、そろそろ行きます、それでは」

「服装からして森のある地域に住んでる人かな」

「弓を持っていマシタから、恐らくは」

そうしてオースティンは満足そうに帰っていった。

料理の世界は広いものである。

夏はかき氷も美味しいよ！