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いちごづくしパフェ

春のフェアメニューも順調なスタートを切った異世界キッチン。

そんな春のフェアメニューは春の食材が基本的には使われている。

その一方でデザートは春らしくないものもあったりする。

だがそれでも人気の高いメニューもあったりする。

「この辺りかしら、噂の料理屋って」

「何でも凄く美味しい甘味があるらしいけど」

「そう言われると食べたくなるわよね」

「あ、ここね、行きましょう」

彼女の名はミランダ、世界を旅する冒険家だ。

世界の美味しいものを食べてきた彼女は生粋の甘党である。

「防犯はされているみたいね」

「中は人も多いわね、入りやすいお店なのかしら」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人よ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「吸わないわよ」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「店員は若いのね」

そうして席に案内される。

そこで一通りの説明を受ける。

説明は問題なく理解した様子。

続いてタブレットの説明に移る。

「タブレットの説明をしますね、まずは画面にタッチしてください」

「こうね」

「続いて食べたい料理をタッチします」

「こうかしら」

「そしてよろしければここをタッチ、そして確定をタッチします」

「こうね」

「一旦リセットして…では説明は以上になります、それでは」

そうしてリーザは一旦下がり別の料理を運びに行く。

ミランダは一旦水を取りに行く事に。

「さて、水を取りに行かないと」

「ここにコップを当てて…美味しい水なんて大層な謳い文句ね」

「あとは氷と手拭き…それにしてもいろいろあるのね」

「さて、注文を決めないと、甘いもの…たくさんあるわね」

「あ、これなんかよさそうね、これとこれで確定っと」

「このタブレットっていうのは凄いキカイなのね」

そうしてミランダはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

一通り見て選んだものはメロンソーダだった。

甘党なだけにそういうものには嗅覚が働くのか。

なおメロンソーダはメロンパンのようなものでもある。

「ん、これ美味しいわね、甘い炭酸水なのね」

「それにしても緑色で甘い炭酸水なんて不思議なものね」

「でもこんな美味しいものがあったのね」

「色は毒々しいけど美味しいからいいわ」

そうしているといちごづくしパフェが運ばれてくる。

使っているアイスやクリーム、シリアルやヨーグルトまで全ていちご味のパフェだ。

「お待たせしました、いちごづくしパフェになります」

「ありがとう」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただきましょうか」

いちごづくしパフェ、その名の通りいちご味がこれでもかと使われたパフェだ。

いちごをこれでもかと使ってあるのは言うまでもない。

それにいちご味のクリームにソフトクリーム、シリアルやヨーグルトも使ってある。

さらにソースも言うまでもなくいちごソースであり、まさにいちごづくしだ。

フェアメニューではあるのだが、いちご好きにはたまらないものでもある。

いちごメニュー自体は定番にもオールシーズンで存在する。

このいちごづくしパフェはフェアメニューだからこそ実現出来るものでもある。

どこまでもいちご味という徹底したいちごの暴力でもある。

甘党の人にとってはもちろん、甘い物好きなら一度は食べておきたいものである。

いちごの暴力とも言うべきいちごづくしのパフェなのである。

「ん、これは美味しいわね、果物の甘さが凄い」

「この赤い果物って似たようなものは知ってるけどそれなのかしら」

「使ってあるものが徹底してこの赤い果物の味になってるのね」

「いちごづくしって言ってたからいちごっていう果物なのよね」

「甘くて美味しいのはもちろんだけど、まさにいちごの暴力だわ」

「でも不思議な器を使っているのね、縦に長くてスプーンも長いなんて」

「この甘い味は本当にたまらないわ、甘いものは大正義ね」

「ここまで美味しいなんて来てよかったわね」

そうしているうちにいちごづくしパフェを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いをお願い」

「はい、いちごづくしパフェとドリンクバーで銅貨一枚と青銅貨二枚になります」

「これでお願い」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけマシタか」

「あなたがシェフかしら」

「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」

「とても美味しかったわ、あんなに美味しいのははじめてよ」

「それは何よりデス」

「ここはあんなに安い値段で提供出来るなんて凄いのね」

「あれは精一杯の値段なのデスよ」

「そうなの？ならなおさら凄いわね」

「それにフェアメニューは少しいいものを使うので少し高めになるのデス」

「ふーん、でも甘いものは美味しそうだからいいわ」

「甘いものは定番メニューでも人気のものは多いデスから」

「そりゃあれだけ美味しそうならね」

「甘党にはたまらないとみなサン言っていマスからね」

「あ、そろそろ行くわね、また近くに寄ったら食べに来るから」

「格好からして冒険家とかかな」

「そういう人でも来てくれるのは嬉しいデスよ」

そうしてミランダは満足そうに帰っていった。

定住しない人でも好きになる味なのだろう。

今では他国にも伝わっているとか。