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焼き鳥盛り合わせ

春のフェアメニューも順調な滑り出しを始めた異世界キッチン。

その一方で宅配やテイクアウトも順調に売れ行きを伸ばしている。

家でも食べられるというのは何気に大きいのだろう。

こっちの世界だからこそ需要も大きいのかもしれない。


「今回の届け先ってどこだっけ」


「11番街のベルクさんの家ですね」


「11番街か、それならそんなに遠くないかな」


「はい、早く終わらせてしまいましょう」


今回の届け先は11番街。


この王都もなかなかに広いので、遠くからの注文は迅速に届けねばならない。


「今回頼まれたものってなんだっけ」


「焼き鳥の盛り合わせをタレでですね」


「焼き鳥かぁ、鶏肉って安く手に入るものなんだっけ」


「庶民の味方みたいな肉ではありますね」


「あと鳥の骨からはスープも取れるってアヌークは言ってたっけ」


「ラーメンのスープなんかは鶏から取ったスープも使ってますからね」


「あたしの故郷でも養鶏とかはやってたな、離島だからそれぐらいしかないし」


「リーザさんの故郷って農業とかは割とやってるんですか?」


「うん、トマトが名産なのと家畜も飼ってる人は多いかな」


「それは以前も言ってましたね」


「家畜だと多いのは鶏かな、卵と肉と両方に使えるからね」


「牛なんかも飼ってたりはしますよね」


「うん、牛や豚もやってる人はいるよ」


「肉を島の外に輸出してたりもするんですよね」


「そういうのもやってるよ、島だから土地が広いわけでもないからね」


「畜産や農業が主な収入源、そういうのは田舎の離島らしいというか」


「なんにしても鶏肉って安くていろいろ使えて便利なんだよね」


「そういうのもアヌークさんのおかげでしょうか」


「以前までなら鶏肉はクズ肉みたいな扱いだったもんね」


「王都の肉屋でも鶏肉の扱いが増えたりしてますからね」


「鶏肉も結構定着してきたよね、料理とかも増えてるし」


「アヌークさんに感謝ですね」


「そろそろかな」


「もう少しですよ、行きましょう」


そのまま11番街に入っていく。

鶏肉は以前までならクズ肉のような扱いだった。


その理由としては骨の処理が面倒であったということ。

またその骨を使うという発想もなかった。


店に来た客がアヌークから聞いた事によりその知識が広まった結果でもある。

それにより鶏肉は一気に庶民の肉として広まったようである。


「でも鶏肉ってただ焼いて塩をまぶすだけでも美味しいからいいよね」


「骨付きのままでも食べられますからね」


「骨付きのままだと綺麗に食べるのは少し難しいけどね」


「でもそれが広まった結果は確実に出てると思います」


「骨は犬に与えるといいみたいなのも広まってるしね」


「鶏肉は骨まで有効に使えるのは大きいみたいだし」


「なんにせよ今では鶏肉も庶民の肉として認知され始めてますよ」


「安くて使い道も多くて骨まで使える、万能すぎない」


「それも正しい知識が伝わった結果ですよ、料理人の知識ですからね」


「あ、この先だね」


「早く届けてしまいましょう」


そのまま11番街に入っていく。

街の広さはその区画によって様々でもある。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、先に代金として銅貨一枚をいただきます」


「これで」


「はい、ではこちらがご注文の焼き鳥盛り合わせになります」


「ありがとうございます」


「容器は行政区分に従った可燃ごみで、串は紙などに包んで可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、それじゃ食べようかな」


焼き鳥盛り合わせ、言うまでもなくそのままの料理。

味はタレと塩を選ぶ事が出来る。


売れ行きはタレの方が多いと店の売上データに出ていたらしい。

客の好みはタレ派が多いとのことをデータは示しているのだ。


その理由としては塩よりタレの方がこっちの世界では珍しいからなのだろう。

それによりタレの方が多く売れているようだと分析している。


「ん、これはなかなかに美味しいね」


「串に書いてあるのは肉の部位の名前かな」


「鶏肉はここ最近で広まった肉だけど、こうやって食べるのもいいね」


「一つの肉に様々な部位があって味も様々、鶏肉は意外とどこでも食べられるのか」


「こういういろいろな部位が食べられる食べ方は焼き鳥だからなのかも」


「クズ肉って言われてた鶏肉がこんないろいろあったなんて面白いものだね」


その頃のリーザ達は帰り際に休憩していた。

飲み物を持たせてくれるのもスタッフへの配慮なのだろう。


「ふぅ、この麦茶って美味しいよね」


「不思議な感じのするお茶ですよね」


「でも夏は特に美味しいんだよね」


「冷たくして飲むのが一番美味しいと言っていましたね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったよ」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「宅配やテイクアウトも増えているので持ち帰り需要も定着していマスね」


「家族のいる人とかは持ち帰りをしてくれる人も多いしね」


「お店に来てくれるのも嬉しいけど、持ち帰りでも売れる事に意味があるからね」


「夕食のおかずなどが豪華になりますから」


「では休んだら仕事に戻ってクダサイね」


持ち帰りや宅配の需要は確実に増えている。

家族がいる人などはそれにより子供が喜んでくれたりもするからだ。


子供にも人気のメニューが多いファミレスだからこそなのだろう。

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