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唐揚げ丼

春のフェアメニューも無事に始まった異世界キッチン。

その一方で宅配やテイクアウトも順調に売れている。

それは店の味を家でも食べられるというメリットが強いのか。

時間のない人にもありがたいサービスでもある。


「今回の届け先ってどこだっけ」


「15番街のクラウスさんの家ですね」


「分かった、なら早く終わらせちゃおうか」


「はい、行きましょう」


今回の届け先は15番街。


この広い王都でも道はたくさんあるものである。


「それで今回届けるのってなんなの」


「唐揚げ丼ですね」


「唐揚げ丼って名前の通りだと思うけど、別々に食べた方が美味しくない?」


「丼もの自体が時間のない人が食べる為に生まれたものだそうですから」


「でも牛丼とかは分かるけど、唐揚げ丼は僕は別々に食べたいかも」


「まあ唐揚げはご飯と一緒に食べるものでもないですからね」


「唐揚げっておかずっていうイメージも強いから」


「丼ものにするイメージもそんなにないですよね」


「アヌークさんが言うには唐揚げやコロッケは手作りすると凄い手間なんだとか」


「揚げ物自体が手間のかかる料理ではあるんですけどね」


「それをキカイで一度にたくさん作ってるから安く提供出来るって言ってたね」


「それはつまりアヌークさんの仕入先はそういう施設もあるという事ですか」


「だと思う、唐揚げとかコロッケを安く提供出来る理由がそれらしいから」


「キカイで自動化して料理を作るっていうのも凄いですよね」


「お店では手作りもしてるけど、アヌークさんの国ではそういうものらしいね」


「揚げ物自体がそもそもの手間がかかるという事ですから」


「冷凍とかもそうだけど、そういうキカイはまだ高級品だもんね」


「冷蔵庫なんかは国が支給してくれるんですけどね」


「そろそろ15番街だね、行くよ」


「はい、行きましょう」


冷蔵庫などは国が家庭に支給してくれるもの。

それらのアフターケアなども保証は国持ちである。


ただし冷凍庫は自腹を切るしかないので、そこは仕方ない。

機械はこの世界でも確実に浸透しつつある。


隣国で生まれたその技術は世界を変えつつある。

イクスラもそんな技術で生まれた存在なのだ。


「でも揚げ物はやっぱり出来合いのものを買うのが一番なんだろうね」


「作るのはそれだけ手間だというのはプロでも言うぐらいですからね」


「だから出来合いのものの需要が大きいんだろうね、唐揚げとかコロッケは」


「手間がかかる料理を出来合いで安く買えるというのは大きいですからね」


「揚げ物はそれだけ手間がかかるっていうのも凄い話だとは思うけど」


「油の処理なんかも大変だとは言っていましたね」


「揚げ物が手間だって言われる理由がそういうところにあるのか」


「でしょうね、準備から後処理までの大変さが揚げ物は手間だと言わしめるんでしょう」


「そこまで含めて、か」


「だから出来合いのものの需要が大きいとも言えますね」


「この先かな?」


「ですね、行きましょう」


そのまま15番街に入っていく。

広い王都では家までの距離も様々だ。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「はい、まずは先に代金として銅貨一枚いただきます」


「これで」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文の唐揚げ丼になります」


「ありがとうございます」


「容器は行政区分に従った上での可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、早速いただきますか」


唐揚げ丼、宅配メニューとしては定番メニューの一つ。

下に敷いてあるライスに黄金色に揚げた唐揚げを乗せた一品。


またライスとの間には千切りキャベツが敷いてある。

そのキャベツはマヨネーズで和えてあり食べやすくもなっている。


他にも刻み海苔がついていて、それもかけて食べるもの。

刻み海苔は別の小袋なのでお好みでもある。


「ん、これは美味しいですね、肉が柔らかくて食べやすい味だ」


「下には野菜が敷いてあって、それを和えてあるんですね」


「その和えている調味料でライスにもいい感じに味が染みていて匙が進む」


「この海苔というのをかけるとそれはそれでまた別の美味しさがありますね」


「肉もライスも美味しいのに加えて、好きな人が多そうな味付けになっている」


「この唐揚げというのは肉の調理法としては素晴らしいのでしょう」


「ライスと刻んだ野菜も一緒に食べられるのはいいものですね」


その頃のアレッシオ達は帰り際に休憩していた。

こっちも春が始まっていていい感じに暖かくなりつつある。


「ふぅ、落ち着くな」


「この魔法瓶というのは不思議な技術ですよね」


「魔法瓶って名前なぐらいだから魔法なのかな」


「どうやって保温しているのか気になるものですね」


休憩を終えたらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻りました」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「外はすっかり春模様みたいデスね」


「はい、もうすっかり暖かくなってますね」


「春のフェアも順調みたいだし、季節の変わり目は料理も変わるからね」


「フェアメニューも宅配に対応している辺りは流石ですよ」


「サービスは利用したくならないといけマセンからね」


お店の味が自宅で食べられる。

宅配やテイクアウトは家族のある家庭では特に需要も多い。


仕事帰りにテイクアウトだけ買っていく人も最近は多くなっているのだから。

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