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照り焼きチキンサンド

12月の頭から冬のフェアメニューに切り替わる予定の異世界キッチン。

その一方で宅配メニューにも温かいメニューを増やして冬に備える。

グラタンなどのオーブン料理は冬には売れるのもデータはある。

宅配の対応メニューは今後も増やしていく予定だ。


「今回届けるのってどこの家かな」


「2番街のミレーナさんの家ですね」


「2番街か、あそこって割と貴族街だよね」


「そういうところからも注文が来るんですよ、行きましょう」


今回の届け先は2番街のミレーナという人の家。


この街には平民も貴族も同じ区画に住んでいるというのは珍しくはない。


「今回頼まれた料理って何?」


「照り焼きチキンサンドですね」


「照り焼きチキンサンドってあれだよね、甘めのタレで焼いた鶏肉の」


「はい、子供なんかにも人気のやつですね」


「照り焼きかぁ、あたしの故郷だと以前言ったトマトもだけど鶏肉もよく食べるよ」


「養鶏とかやってるんですか?」


「うん、ここに鶏肉を出荷してたりもするよ」


「そういう事もしてたんですね」


「鶏肉も島では結構食べてたんだけど、骨付き肉ははじめての経験だったかも」


「鶏肉って割と多くの部位が食べられるって言ってましたよね」


「うん、あと鳥の骨からスープを取るっていうのも新鮮だったかも」


「スープは牛骨が多いですよね、この国だと」


「でも牛骨からスープが取れるなら鳥の骨からも取れるのは当然なんだよね」


「そういうのは国の文化なんでしょうね」


「うん、他にも豚の骨も使ってたし、割となんでもイケるんだって思った」


「でも骨付き肉はどうにも苦手です、綺麗に食べられないので」


「あー、それはあたしもあるかも」


「美味しいんですけどね、ただ綺麗には食べられないです」


「鶏肉自体は美味しいんだけどね、手がベタベタになるし、骨付き肉は」


「やっぱり肉は骨付きは難しいですね」


「それも含めて肉の世界は広いね」


「ですね、そろそろ2番街なので行きますよ」


そのまま2番街に入っていく。

住んでいる人は平民や貴族が一緒というのは多いが、割と貴族多めの区画である。


「でも貴族でも照り焼きチキンサンドとか頼むんだね」


「エトさんから聞いたんですけど、食べている料理自体は平民とそんな変わらないとか」


「そうなの?なんか意外なイメージだなぁ」


「しいて言うなら食材がいいものというだけで、食べている料理は大差ないそうです」


「なるほど、だから照り焼きチキンサンドを頼んでも特に違和感はないのかも」


「でもお店の食材は高級なものは使っていないとアヌークさんは言っていましたね」


「それなのにあんなに美味しいっていうのは料理人の腕なのかな」


「かもしれません、本物の一流料理人は安い食材で高級料理を作るとか」


「一流って凄いね」


「それぐらいの事が出来てやっと一流なんでしょうね」


「一流の定義も何かとあるだろうけど、食材に関係なく美味しいものを作れると」


「少なくともアヌークさんの考える一流はそんな感じらしいですね」


「いい食材を使えば美味しいのは当然、かな」


「でしょうね」


「だからこそ安い食材で高級料理を作る、なるほど」


「アヌークさんらしい考えだと思いますね」


「この先かな?」


「ですね、行きましょう」


この国では貴族や王族も食べている料理は平民のそれと大差ないという。

あくまでも食材にいいものを使っているだけなのだとか。


それはアヌークの思う一流というものにも通ずるのだろう。

いい食材を使えば美味しくなるのは当然。


だからこそ本物の一流はスーパーの食材で高級料理を作るのだと。

それは用意されたもので最高のパフォーマンスをするというアヌークの信念なのだろう。


「ここだね」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はーい!」


「お待たせしました」


「はい、とりあえず先に代金として銅貨一枚をいただきます」


「これでいいかしら」


「確かにいただきました、ではこちらがご注文の照り焼きチキンサンドになります」


「ありがとう、あとささやかだけどこれももらってくれるかしら」


「飴玉…はい、あと容器は行政区分に従っての可燃ごみでお願いしますね」


「分かったわ」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは失礼しますね」


「さて、ではいただこうかしら」


照り焼きチキンサンド、店でも出している照り焼きチキンのサンドイッチ。

その照り焼きソースもアヌークが独自に作ったものだ。


肉もいい感じに焼き上げているのでその肉汁もギュッと詰まっている。

肉汁は肉の旨味の塊である。


そんな旨味をたっぷりと詰め込んで焼き上げた照り焼きチキン。

パンに染み込んだ照り焼きソースと合わさりその味は人気のメニューである。


「これが照り焼きチキンというものなのね、汚れないようにしないと」


「さて、うん、これは確かに美味しいわ」


「鶏肉に甘いソースで焼いてあるのね、パンにも染み込んでてそれがなお美味しいわ」


「それにしてもお肉も柔らかくて美味しいけど、パンも凄いふかふかなのね」


「これはとても美味しいから、今度はまた別の料理を頼んでみましょうか」


その頃のリーザ達は帰る途中に休憩していた。

適度に休むのは大切であるとアヌークにも言われている。


「ふぅ、落ち着くね」


「ですね、もらった飴玉はあとでなめておきますか」


「うん、まあこういうのがもらえるのも悪くないかもね」


「よほど高額なものでもなければ自分で決めていいと言っていましたからね」


休憩を終えてそのまま帰路につく。

帰ったら休んだ後に仕事に戻るのだ。


「ただいま戻ったよ」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「宅配も結構知られるようになったみたいデスね」


「そうだね、今までも結構出てるし」


「複数入ってる時はまとめて回ってもらえれば解決だしね」


「王都の広さを考えるとそれも大変ですが、一件ずつ店に戻るよりは楽ですしね」


「では休んだらまた頼みマスね」


注文が複数入った時はまとめて順に届けていく。

時間帯によって注文が多い時はそれでこなしていく。


土地勘があるというのは強いのである。

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