表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/402

カツサンド

秋のフェアメニューも順調に売れている異世界キッチン。

その一方で12月から冬のフェアが始まる予定でもある。

そっちに向けてのメニューをアヌークは考えているようだ。

また宅配も冬場は増えるかもしれないと予測する。


「今回の届け先ってどこかしら」


「5番街のゲイリーさんの家ですね」


「なら近くね、さっさと終わらせましょう」


「はい、行きますよ」


今回の届け先は5番街。


なので店のある区画とは目と鼻の先である。


「今回の注文ってなんなの」


「カツサンドですね」


「それってあれよね、とんかつをパンに挟んだサンドイッチよね」


「はい、ソースやマスタードなんかも塗ってありますね」


「サンドイッチ自体はこっちでも珍しくないけど、カツサンドは珍しいわよね」


「肉をパンに挟むっていう発想はそんなにないですからね」


「揚げ物もそれなりに家庭料理としては浸透してるみたいだけど」


「ただ揚げ物は手間がかかるので家庭料理としては面倒な方ですよ」


「油の処理とかが面倒ってアレッシオもアヌークも言ってたわよね」


「美味しい料理ではあるんですけどね」


「アヌークが言うには一気に大量に作れるから店で売るものとして成り立つとか」


「家庭と商業ではそういうところも違ってきますからね」


「でもカツサンドは姫も好きよ、手軽なのにお腹が満腹になるから」


「そういうところは肉とパンっていう組み合わせの強さですよね」


「そうなのよね、城でもイクスラが作ったんだけど評判はよかったわよ」


「サンドイッチ自体は王族でもよく食べるものなんですか?」


「仕事が忙しい時なんかは普通にサンドイッチだったりする事は多いわね」


「確かに片手間に食べられるからそういう時は便利ですね」


「アヌークの国だとトランプをしながら食べられるから生まれたって言ってたわ」


「そういうところはこっちとそんなに変わらないんですね」


「ライスは一応手に入るからおにぎりなんかも最近は兄上や父上に人気ね」


「おにぎりですか、確かに具のバリエーションも豊富なので人気にはなりそうです」


「そろそろね、行くわよ」


「はい」


そのまま5番街に入っていく。

近くだと宅配も楽なものである。


サンドイッチやおにぎりは仕事で忙しい時には嬉しいものだ。

それは王族でも変わらないものなのだとエトは言う。


だからこそ店で覚えたカツサンドは国王や王子にも人気になったとか。

肉とパンというのはそれだけ栄養価も摂取出来るからなのだろう。


「でもカツサンドって好きなんだけどマスタードはどうにも苦手だわ」


「エトさんは辛いものは苦手なんですか?」


「辛いもの自体は別に嫌いじゃないのよ、ただ好んで食べないだけよ」


「なるほど」


「マスタードも食べられなくはないのよ、舐めたりするのは無理なだけでね」


「お店のメニューに激辛っていうカテゴリがありましたけど」


「あれは自己責任ですっていう事から独自ジャンルにしてるらしいわね」


「文句を言われても困りますしね」


「カツサンドのやつはソースの甘さでマイルドになってるから平気なんだけど」


「そういうところは料理の素晴らしさですね」


「この辺りかしら?」


「みたいです、この先ですね」


エトは割と偏食家ではあるが、嫌いな味というのはそこまでない。

なので味付けは大体は問題なく食べるが、偏食家なので好き嫌いは激しいとか。


「ここみたいね」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はーい!」


「お待たせしました」


「はい、まず先に代金として銅貨一枚をいただきます」


「これでお願いします」


「青銅貨五枚、はい、確かに金額としては足りているので問題ありませんよ」


「すみません、細かいのが溜まっていたので」


「いえ、それでも金額として合っているのなら何も問題はありません」


「はい、ありがとうございます」


「ではこちらがご注文のカツサンドになります」


「どうも」


「容器は行政区分に従った上での可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、食べようかな」


カツサンド、キッチンハウスではヒレカツでカツサンドを作っている。

またとんかつに使う肉も基本的にはヒレ肉だ。


そういうところはアヌークなりの考えがあるのだろう。

鶏肉でも胸肉をよく使う傾向があるアヌーク。


それは育った国の違いなのかもしれない。

美味しさを分かっているのか、育ちの関係なのかはよく分からないが。


「さて、いただきますか」


「ん、これは美味しいですね、ふわふわのパンにカツのソースが染みてる」


「肉も結構肉厚で温かいのも嬉しいですね」


「これで銅貨一枚で食べられるというのは素晴らしい」


「ピリッとした辛さがあるのも味としては素晴らしいですね」


その頃のエト達は帰り際に休憩していた。

近くではあるが、そういうのはアヌークに許可されている。


「ふぅ、落ち着くわね」


「近くでもこういうのを許可してくれるのは嬉しいですね」


「落ち着いたら帰りましょ」


「ですね」


そのまま店に帰還する。

少し休んでそのまま仕事に復帰する事になる。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「休んで落ち着いたら仕事に戻ってクダサイね」


「ええ、言われなくても分かってるわ」


「頼もしい限りで何よりだね」


宅配は近くから遠くまでどこまでも。

ただ王都の外は流石にカバー出来ないので仕方ない。


住民は多いのでそれでも利益は出ているとのこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ