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新じゃがのグラタン

秋のフェアメニューも順調に売れている異世界キッチン。

フェアメニューは三ヶ月ごとに更新されていくのでそれを求める人もいる。

その一方で宅配も順調に売れているようだ。

サービスは宅配とテイクアウトで充分売上に貢献しているようである。


「この辺りかしら、噂の料理屋は」


「なんでも美味しいじゃがいもの料理が食べられるらしいけど」


「それなら食べてみるしかないわよね」


「あ、ここね、それじゃ行くわよ」


彼女の名はマグノリア、国に仕える宮廷魔道士だ。


じゃがいもが好きらしく、その話を聞いてやってきたようだ。


「防犯はされてるのね」


「中は暖かいわね、最近は冷えてきたから嬉しいわ」


「いらっしゃいませ!何名様ですか!」


「…姫様?」


「何よ、マグノリアじゃない、まあいいわ今はそういうのはなしよ」


「はい、えっと、一人です」


「かしこまりました、おタバコは…」


「吸わないわよ」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」


「姫様が働いていたのってここだったのね」


そうして席に案内される。

そこで一通りの説明を受ける。


説明は問題なく理解した様子。

続いてタブレットの説明に移る。


「タブレットの説明をしますね、まずは画面にタッチしてください」


「こうね」


「続いて食べたい料理をタッチします」


「こうかしら」


「選択の際はこうしてスライドします」


「こうね」


「それでよろしければここをタッチ、そのあと確定をタッチして完了です」


「こうでいいのね」


「一旦リセットして…説明は以上になります、それでは」


そうしてエトは一旦下がり別の料理を運びに行く。

マグノリアは水を取りに行く事に。


「さて、水を取りに行きましょうか」


「ここにコップを当てて…便利な設備ね」


「あとは氷と手拭き、それにしても氷を保存出来る設備なんて凄いわね」


「さて、注文を決めちゃいましょうか」


「じゃがいも料理…あ、これがいいわね、これとこれとこれとこれ、はい確定」


「それにしても便利なキカイねぇ」


そうしてドリンクバーに飲み物を取りに行く事に。

一通り見て選んだのはメロンソーダだった。


元々甘いものが好きなようではある。

それもあってなのかメロンソーダに目が行ったようだ。


「ん、これ美味しいわね、甘い炭酸水なのね」


「色は毒々しいけど、甘くて美味しいわ」


「こういうものもあるなんて凄いわね」


「はぁ、落ち着くわ」


そうしていると新じゃがのグラタンとプチフォッカが運ばれてくる。

北の国で採れた新じゃがを使ったフェアメニューのポテトグラタンだ。


「お待たせしました、新じゃがのグラタンとプチフォッカになります」


「どうもね」


「パンはグラタンのソースにつけても美味しいのでそちらもどうぞ」


「ええ、分かったわ」


「ではデザートが必要な際はお呼びください、それでは」


「さて、いただくとしましょうか」


新じゃがのグラタン、フェアメニューのポテトグラタンだ。

定番メニューにもポテトグラタンはあるがそれとは別のものになる。


定番メニューのポテトグラタンは単なるシンプルなポテトグラタンになる。

一方でこれは新じゃがのグラタンである。


新じゃがは季節によって産地が変わる、その季節に採れたばかりのもの。

じゃがいもは季節に応じて産地が北上する食べ物である。


定番メニューのポテトグラタンはそんな季節に応じた産地のもの。

この新じゃがのグラタンはあくまでも新じゃがというのがミソである。


なので採れたてのそれこそ季節の味を使ったポテトグラタンだ。

秋のフェアメニューになっているのは秋に美味しい産地で採れるからだそうな。


「ん、これは美味しいわね、じゃがいもが凄くホクホクだわ」


「あとこれは塩漬けにした肉よね、これも美味しいわ」


「新じゃがって言ってたから採れたてのものを使っているって事かしら」


「そのパンをグラタンのソースにつけて…うん、確かに美味しいわね」


「パンをソースにつけて食べるっていうのは新鮮だわ」


「じゃがいもはホクホク、肉も美味しい、シンプルだけど美味しいわ」


「パンとグラタン、いい組み合わせじゃない」


そうしているうちに新じゃがのグラタンとプチフォッカを完食する。

続いてデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですね」


「ええ、お願い」


「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」


それから少しして白桃サンデーが運ばれてくる。

こちらも秋のフェアメニューのデザートだ。


「お待たせしました、白桃サンデーになります」


「ええ、どうも」


「こちらは伝票になります、会計の際にお持ちください、それでは」


「さて、いただきましょ」


白桃サンデー、秋のフェアメニューの桃のデザートだ。

ソフトクリームとコーンフレークや白桃を始めとする果物のサンデーである。


「ん、これ凄く美味しいわね、果物が凄く甘いわ」


「この冷たいクリームは氷菓子かしら、これも凄く美味しい」


「こんな贅沢なのに本当にいいのかしら」


そうしているうちに白桃サンデーを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いをお願い」


「はい、新じゃがのグラタンとプチフォッカ、白桃サンデーとドリンクバーですね」


「全部で銀貨一枚になります」


「これでお願い」


「ちょうどいただきます」


「満足していただけマシタか」


「あなたがシェフかしら」


「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」


「とても美味しかったわ、でもあんなに安くていいものなの」


「一応出来る限りの値段なのデスよ」


「でもきっとそれは努力してできてる値段なのよね」


「食材なんかも信頼出来る相手から仕入れていマスから」


「まさに繋がりが成せる技ね」


「ハイ、専属契約の農家なんかもありマスから」


「流石の経営ね、あの値段も納得だわ」


「お客様を満足させるのが仕事デスから」


「さて、そろそろ行くわね、また食べに来るから」


「好きなものを食べてもらいもんね」


「それが経営方針デスよ」


そうしてマグノリアは満足そうに帰っていった。

それからもじゃがいも料理を食べにちょくちょくやってくるらしい。


好きがあるのは素晴らしいものです。

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