お好み中華弁当
秋のフェアメニューも順調にスタートした異世界キッチン。
その一方で宅配も順調に知られているのか、売上が伸びている。
それもありこちらの世界での知名度はかなり高くなっている様子。
安く食べられて平民でも入りやすいレストランは確実に人気を得ている。
「今回の届け先ってどこかな」
「2番街のアルベルさんの家ですね」
「2番街か、それなら近いかな」
「はい、早く終わらせてしまいましょう」
今回の届け先は2番街との事。
ファミレスではあるがその料理は貴族などにも確実に浸透している。
「それで今回はなんの注文が入ったの」
「中華弁当ですね、ライスとおかずは自分で選んで注文するお弁当です」
「おかずは自分で選べるのか、そういうのいいね」
「食べたいものを食べられるというのは宅配としては面白いです、流石ですよ」
「でも中華料理って美味しいよね、ライスがあっという間に消えちゃうんだもん」
「話だと中華料理は油と火力の料理だそうで、一気に行くのが美味しさの理由だとか」
「油と火力って、また豪快なイメージだなぁ」
「味付けもそうなんですけど、たくさん食べる事を前提にされているとか」
「あー、それ分かるかも、あたしも中華料理は自分でも不思議なぐらい食べられるし」
「お店だと一人分とかですけど、基本的には大皿で取り分けて食べる事が多いそうですよ」
「なんか分かるかも、たくさん食べられるから一人分じゃ確実に足りないよね」
「それもあるからなのか家庭でも簡単にたくさん作れるみたいなのが多いそうです」
「料理にも何かとあるんだなぁ、でもそれをお弁当だと物足りないかも」
「お弁当はあくまでも一人分で計算されてますからね」
「確かに選べるおかずもたくさん食べるタイプではないね」
「料理にも様々という事ですよね」
中華弁当で選べるおかずは三つの枠がある。
1から3までの枠にそれぞれ決まったものが設定されている。
その決まったものの中から食べたいものを伝える仕組みだ。
選べるものは春巻きや焼売、青椒肉絲やエビチリなどがある。
好きなものを選べるというのは客にとっても嬉しいようではある。
それによりこの手の弁当はリピーターも多いそうだ。
「それにしてもたくさん食べる事が前提か、パーティー料理みたいな感じなのかな」
「正しくは一つのおかずを大皿でたくさん出す、という感じですね」
「そしてその大皿のおかずを何品も用意するんだね」
「はい、発祥の国ではたくさんでテーブルを囲むという習慣があるそうです」
「つまり家族揃って大きなテーブルを囲むみたいな?」
「はい、なので大皿で取り分けて食べるみたいな感じになったそうです」
「文化っていうのもいろいろあるんだね」
「その国は人口が凄く多いそうです、なので大家族も割と珍しくないとかで」
「あー、それならそういう食事の形態になるのも自然なのかもね」
「文化は国体ですから、料理もそんな国を表す感じなのかもしれませんね」
「料理は国を表す、なるほどなぁ」
「そろそろ2番街ですね、行きましょう」
そのまま2番街に足を踏み入れる。
その足で目的地のアルベルさんの家へと向かう。
「ここみたいだね」
「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」
「はーい!」
「おっとと、お待たせしました」
「ご注文の品のお届けに上がりました」
「先にお代をいただきます、銅貨一枚と青銅貨三枚になります」
「これでお願いします」
「ちょうどいただきます」
「ではこちらがご注文の中華弁当になります」
「うん、確かに、これは美味しそうだ」
「容器は行政区分に従った上での可燃ごみでお願いしますね」
「分かった、また機会があれば利用させてもらうね」
「それと出来るだけ早くに食べてください」
「うん、分かった」
「はい、ではまたのご利用をお待ちしていますね、それでは失礼します」
「失礼しました」
「さて、早速いただこうかな」
中華弁当、おかずは自分で選ぶタイプの宅配弁当。
おかずは春巻きと焼売、青椒肉絲とエビチリ、餃子と唐揚げがそれぞれ選べる。
ちなみにそれはおかずの量が多いタイプの弁当でもある。
おかずの量は減るが、それより安い似たタイプの弁当もある。
またそれとは別におかずが固定になっているタイプの弁当もある。
あくまでも選択肢は客にあるようにしているのが宅配では基本になる。
おかずが固定の弁当の場合は一例を出すと回鍋肉弁当みたいな名前になっている。
おかずの選択が可能な弁当はお好みと頭につくのが中華に限らず決まりだ。
「ん、これは美味しいな、おかずはそこまで多くないけどきちんと入ってる」
「ライスと一緒に食べるとまた美味しいものだね」
「今回選んだのは春巻きと青椒肉絲と餃子だったけど、どれも美味しいや」
「おかずが決まってるお弁当もあったし、そういうやり方なんだろうね」
「こっちの卵とかメンマっていうのも美味しいな、少ないけどおかずが多いのはいいよね」
「このコリコリしてるのはザーサイって言ってたっけ、これも美味しいし、当たりだね」
一方のリーザ達は帰路の途中で少し休憩していた。
夏の暑さもある程度は落ち着き、汗もそこまでかかなくなった程よい気候だ。
「最近はもうそこまで暑くないね」
「夏も落ち着いてきましたよね」
「お店も秋のフェアが始まったし、季節は変わっていくね」
「はい、休んだらお店に戻りますか」
そのまま休憩を終え店に帰還する。
店の冷房もそろそろ使わなくてもいい感じになるのだろう。
「ただいまー」
「戻りました」
「お帰り、はい、おしぼり」
「どうもね」
「もう流石に冷たいのは出ないんですね」
「ある程度は涼しくなりマシタからね」
「これからは秋でそして冬か、温かいお弁当も売れる季節かな」
「デスね、フェアメニューも体が温まるものを用意しマスよ」
「休んだら仕事に復帰してね」
「はーい」
「はい、分かりました」
そうして宅配も順調にその注文は増えていく。
弁当や丼ものが中心ではあるものの、メニューは少しずつ増やす予定らしい。
麺類などが宅配にも対応するのも近いうちに可能になるとの事だ。




