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うな丼

夏のフェアメニューも順調に売れている異世界キッチン。

その一方で宅配も順調に売れ行きを伸ばしている。

イクスラやエトの協力はやはり大きいようではある。

そして一部の期間限定メニューが宅配に対応しているのも大きいと言える。


「今回の届け先はどこなのかしら」


「えっと、15番街のアインスさんの家ですね」


「15番街ね、ならさっさと行きましょ」


「ですね」


今回の届け先は15番街のようだ。


この王都自体かなりの広さなので、やはり乗り物が欲しくなる。


「そういえば今回届けるものって何かしら」


「うな丼ですね、うなぎをご飯に載せたものです」


「うなぎって、そんな珍しいものなの?」


「いえ、安い食べ物ですよね?魚屋とかでも見ますけど、高くても青銅貨三枚程度です」


「そんなものをライスに乗せただけで青銅貨三枚と銅貨一枚も取るの?」


「アヌークさん達の国では高級だって言ってました」


「ふーん、世界は広いのねぇ」


「この国だとそもそも魚は貴重品ですし、食べられるとしたら加工品がほとんどですし」


「少なくとも生魚なんてまず食べられないわよね」


「そもそも生魚を食べるというのは漁師の間にある独自の文化ですよ」


「それがアヌーク達の国では普通なんだから分からないものよね」


「でもうなぎの蒲焼は美味しかったですよ」


「あれってほとんどはタレの味なんじゃない?違うの?」


「でも白焼きっていう調理方法もあるらしいですから」


「ふーん、まあ姫は少なくとも美味しいって思ったわよ」


「こっちで食べるうなぎは大体美味しくないですからね」


「そう考えるとアヌークって間違いなくプロよねぇ」


「でもどんな食材でも美味しく食べる調理法があるっていう事ですよね」


「そうね、そこは学んどかなきゃならないわよ」


「食材を最大限に使う、そういう事ですね」


うなぎはこちらでは安物の食材だとの事。

やはりそういう意味でも日本が独特なのだろうかという事。


そもそもを言い出せば土用の丑の日を考案した平賀源内が悪いとなる。

そしてうなぎの旬は本来は冬であるという事もアヌークは知っている。


なのでうなぎのメニューは夏と冬に出す事にしている。

ちなみにうな丼に使う山椒はアヌークが信頼しているところから仕入れている。


うなぎ以外にも使うので調味料コーナーに常備はされているのだが。

そしてうな丼には自慢のお新香もついてくる。


「そういえばうな丼に一緒に付いてる野菜って漬物よね」


「そうですよ、お新香っていうみたいです」


「お新香ねぇ、でも漬物って基本的に和食につくものよね」


「そうですね、ピクルスとはまた違いますし」


「漬物も様々よね、お客も東の国から来た人には顔なじみの食べ物みたいだし」


「少量のお醤油をかけて食べると美味しいって言ってました」


「ふーん、でも姫は野菜が苦手だから食べやすくしてくれるのは助かるわ」


「エトさんって意外と偏食家だったりします?」


「うーん、大体のものは食べられるわよ?ただネバネバが苦手かしら」


「ネバネバですか」


「それより行くわよ」


「あ、はい」


そのまま15番街に入る。

そのしてそのまま真っすぐアインスさんの家に向かう。


「ここみたいね、すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「お届けに上がりました!」


「はーい!」


「お待たせしました」


「先にお代として銅貨一枚と青銅貨三枚をいただきます」


「これで」


「確かに、ではご注文のうな丼になります、なるべく早くお召し上がりになってください」


「分かりました」


「お新香はセットなのて一緒に食べてください、お好みでこちらのお醤油もお使いください」


「分かりました」


「あと器は紙なので行政区分に従った上での可燃ごみでお願いします」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています」


「それでは失礼します」


「さて、いただくとしようかな」


うな丼、夏のフェアメニューの一つで少々お高いメニューでもある。

本来のうなぎの旬は冬だが、土用の丑の日も兼ねて夏にも出している。


蒲焼きにしたうなぎを白米に乗せてタレもご飯にからませてある。

そこにお新香がセットで付いてくる仕様になっている。


こっちの世界では安くて人気もないうなぎでも世界が変われば変わってくる。

なので意外と美味しいとは評判になっている。


「さて、うん、美味しそうだ」


「この山椒っていうのをかけて食べるんだね」


「うん、確かに美味しいね、少しピリッとしてうなぎはふわふわだ」


「こっちのお新香も美味しいね、野菜がシャキシャキだ」


「うなぎっていうから少し抵抗はあったけど、こんな美味しいものなんだね」


「これは確かに値段ぐらいの価値はあるね」


一方のソアレ達は水分補給をしていた。

夏の日差しの下ではそれは大切だ。


「ふぅ、流石に夏はきついわよね」


「でもアヌークさんがきちんと冷えた麦茶と塩タブレットを持たせてくれますから」


「そうね、不思議な飲み物だけど夏には美味しいわ」


「はい、癒やされますね」


そのまま喉を潤して店へと帰還する。

次の注文を待ちつつ店の仕事に戻る事に。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、冷たいおしぼり」


「ありがとうございます」


「少し体を休めたらすぐに戻ってクダサイね」


「ええ、お店も忙しいものね」


「とりあえず休憩ね」


「はい、また注文が入ったら行きますから」


「もう一人ぐらい募集した方がいいかもしれマセンね」


そんなこんなで宅配は順調に売れている。

その一方でスタッフ不足も想定に入れている様子のアヌーク。


きついようならもう一人ぐらいは募集をかける事も考えているようではある。

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