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特製スパイスカレー

夏のフェアメニューも順調に売れている異世界キッチン。

そんな中リピーターもそこそこ増えているのは嬉しい限り。

新しい客も増え、リピーターも獲得しているのは流石というべきか。

ちなみに定番メニューと似て非なるメニューもフェアメニューにはある。


「さて、また来てしまったわけだが」


「国の方から許可はきちんと出ている以上認めるしかないからな」


「家の味とは違うが、ここのカリーはどうにもクセになってしまう」


「さて、行くか」


彼はバース、以前偵察に来てそのまま国に許可を届け出てくれた人だ。


あれからも定期的にリピートしてくれていて、カレーの他にも美味しく食べてくれている。


「このベルの音は食い逃げ防止にはいいものだな」


「夏は涼しく冬は暖かい、この空調システムも心地良い」


「いらっしゃいませ!ってバースじゃない」


「姫様、今は公人ではなく私人です」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」


「承知しました」


こういうところは見知った関係という事か。

説明は言うまでもなく分かっているものの、そこはマニュアルである。


とりあえず常連になっている以上マニュアルはあれど多くは語らない。

エトは一旦下がり別の料理を運びに行く。


「さて、とりあえず水だな」


「水と氷、あとは手拭き、しかし調味料などがフリーというのも大したものだ」


「さて、注文を決めてしまうか」


「カリーもいいのだが、他にも食べてみたい料理は多いな」


「季節ごとにフェアという限定料理をたくさん出してくる辺り、憎らしいものだ」


「む?これは…特製スパイスカレー?普通のカリーとは違うのか?」


「一応聞いてから決めるべきだな」


少し気になったのか、聞いてみる事に。

ボタンを鳴らして少ししてからリーザが出てくる。


「何かご用でしょうか」


「すまないが、この特製スパイスカレーというのは普通のカリーとは違うのか?」


「ああ、それはうちのオーナーがスパイスを独自配合した南国風のカレーだそうです」


「南国風?南の地ではカリーを食べるという話はあまり聞かないが」


「なんでもジャワ地方という地域をイメージしているとかで、辛さが強いそうです」


「ジャワ地方…聞かない地名だな、要するに定番メニューのカリーより辛いのか」


「はい、辛いのに爽やかな味が特徴だと言っていました」


「分かった、手数をかけたな」


「いえ、では失礼します」


「辛いものは別に平気という事もあるし、せっかくだから頼んでみるか」


「しかしタブレットというものは便利だな、これで確定…では飲み物だな」


そのままドリンクバーに飲み物を選びに行く。

今回は辛いものという事もあり、選んだのはレモンスカッシュだ。


辛いものには味が濃いものよりスッキリしているものの方がいい。

ちなみにドリンクバーとは別メニューでラッシーがあったりもする。


「ふぅ、しかし炭酸水に味をつけるというのも面白い」


「炭酸水は基本的に酒を割るぐらいしか使わんからな」


「物好きはそのまま飲むらしいが、ここはそれに味をつけている」


「ここで聞いたのか、それを出している店も最近はあるらしい、出来るものだな」


そうしているうちに特製スパイスカレーが運ばれてくる。

今回は豚肉と小松菜で頼んである。


「お待たせしました、特製スパイスカレーの豚肉と小松菜です」


「すまない」


「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」


「さて、いただくとしようか」


特製スパイスカレー、市販品で言うところのジャワカレーのようなもの。

とはいえスパイスの配合などは全部アヌーク独自のものになる。


定番メニューのカレーに比べると辛さが強いのが特徴のカレーだ。

その一方で辛いのに爽やかな感じもあるのも特徴らしい。


確かに辛さは強いが、くどい辛さではないという。

実際食べた人は辛いのに不快感を感じない味と言っていた。


南国風という事もあり、それをイメージしているとの事。

シンプルに辛いだけのカレーではないというのがこのカレーの特徴とアヌークは言う。


そんな辛いのに爽やかなカレーがこの特製スパイスカレーである。

夏のフェア限定という事もあり、まさに南国風である。


「これは…確かに辛い、辛いのだが不思議と食べやすい味だ」


「夏は少し無理してでも食べないと体が持たんからな」


「確かにこの味は夏には嬉しいと言えるかもしれん」


「肉も美味しい、それにこの小松菜という野菜はカリーにもとてもよく合っている」


「南国風のカリーと言っていたが、確かに抜けるような辛さは南国風かもしれん」


「辛いのだが、鼻からそれが抜けていくような」


「まさに爽やかな辛さ、やってくれるな」


そうしているうちに特製スパイスカレーを完食する。

それからデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですね」


「ああ、頼む」


「かしこまりました、ではお皿はお下げしますね、少々お待ちください」


それから少ししてアイスケーキが運ばれてくる。

シンプルなバニラのアイスケーキだ。


「お待たせしました、アイスケーキになります」


「ああ、すまない」


「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」


「ではいただくとするか」


アイスケーキ、シンプルなバニラのアイスケーキ。

他の味もあるがバースはシンプルなものが一番美味しいと言っているとか。


「ふぅ、食後の甘いものはやめられん」


「きっちり食後は甘いものを食べるのが私の流儀だからな」


「うむ、やはり食後の甘味はいいものだ」


そうしているうちにアイスケーキも完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いを頼む」


「はい、特製スパイスカレーを豚肉と小松菜、アイスケーキとドリンクバーですね」


「全部で銀貨一枚と青銅貨二枚になります」


「ではこれで」


「ちょうどいただきます」


「いつもありがとうございマス」


「オーナーか、ああ、世話になっているよ」


「カレーをよく食べているようデスが」


「家の味とは違うが、家では休みの日は決まってカリーだったのでな」


「つまりノスタルジックデスか」


「そんなところだ」


「デスがリピーターになってくれているのは嬉しい限りデスよ」


「ここは値段の割に美味い料理が多い、それだけで価値がある」


「お客はみんなそんな感じデスね」


「平民でも気軽に入れるレストランというのは貴重だからな、それだけで意味がある」


「レストランの事情については聞いていマスが」


「なんにせよこの店の存在は大きいという事だ」


「そう心得ておきマス」


「ではそろそろ仕事に戻る、また食べに来る」


「リピーターも新規も獲得出来てるのは流石かな」


「味が受け入れられたという事デスね」


そうしてバースは仕事に戻っていった。

リピーターも新規もきっちり獲得する辺りは流石である。


平民でも気軽に入れるという事が大きいというのはエトも言っていたのだから。

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