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回鍋肉丼

夏のフェアも順調に売れている様子の異世界キッチン。

その一方で宅配も順調に注文が入ってくる。

サービス拡大は出来る範囲に限定しているとアヌークは言う。

メニューの幅が広いので、宅配も選択肢は多いのだ。


「今回の届け先ってどこなの」


「13番街のダミュエルさんの家ですね」


「この国だと国の役人が住んでるような区画もあるものね」


「意外と特別な感じはしないんですね」


この国は国の役人が住む区画もあるが、特別扱いはされていない。


基本的には家の規模が違うだけで国の役人も普通の住民である。


「今回注文されたのって回鍋肉丼だったわよね」


「はい、肉と野菜の辛味噌炒めだって言ってました」


「姫は野菜は苦手なのよね、でも回鍋肉みたいなものだと美味しく食べられるのよ」


「それはたぶん味付けの問題なのでは?」


「かもしれない、ドレッシングがあれば生野菜もなんとか食べられるし」


「エトさんは味覚が幼いんでしょうか」


「でも大人でも野菜嫌いなんて普通にいるのよね」


「だとしたら野菜自体が美味しくないというのが答えですか?」


「そんな気はするわね、ドレッシングがない生野菜なんて美味しくもなんともないし」


「お店のドレッシングコーナーを見たらそれはたぶん正解な気がします」


「回鍋肉みたいな調理法の野菜は普通に美味しいと思うから、そうなのかしらね」


「味覚の問題なのか、野菜自体がそもそも美味しくないのか」


エト曰く回鍋肉みたいな感じなら野菜も普通に食べられるらしい。

店のドレッシングコーナーが生野菜という食べ物へのアンサーなのかもしれない。


実際エトは火を通してある野菜なら温野菜なども普通に食べている。

イクスラが言うには、エトは昔から生野菜が苦手で温野菜は普通に食べていたと。


つまりそれは野菜が苦手なのではなく、生野菜が苦手なのだろう。

ドレッシングがあれば生野菜も食べているので、やはり生野菜とはそういうものなのか。


「でも回鍋肉って美味しいわよね、辛味噌って言ってもそんな辛くないし」


「エトさんは火を通してある野菜は普通に食べてますよね」


「ええ、野菜にこんな美味しい食べ方があるんだなとは思ったわよ」


「王族でも野菜を美味しいと思っていないのは意外な感じでしたね」


「別に不味いとは言ってないのよ、調理法次第ってだけよ」


「お店で働いてるといろんな料理を見られますからね」


「そうなのよね、だから野菜自体は好きになったんだけど、生野菜は今でも無理」


「私も野菜はそんな得意じゃなかったです、そこはエトさんと似てると思います」


「あんたもなのね、生産者には悪いけど、調理して美味しくいただいてるわ」


「あと野菜は火を通すとかさが減るってアヌークさんが言ってましたよ」


「そういえば確かに生で多いと思う野菜が火を通すと凄い小さくなってるわよね」


「野菜を美味しく食べるってたぶんそういう事なのかもしれません」


「姫は野菜自体は嫌いじゃないからこそ、調理法の大切さも知ったわよ」


「回鍋肉みたいな調理法の凄さが分かった気がします」


野菜は火を通すとかさが減る。

それはつまり火を通す事で野菜の重さが軽くなるという事。


生野菜と火を通した野菜では同じ量でも全然違うように見える。

同じ200グラムの野菜で比較しても分かるみたいな感じだ。


野菜は火を通した方がたくさん食べられる。

それはかさが減るという現象によるものなのだろう。


「ここみたいね、すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「お届けに上がりました!」


「今出ます!」


「お待たせしました、待っていましたよ」


「こちらご注文の回鍋肉丼になります」


「うん、ありがとう」


「代金は銅貨一枚と青銅貨一枚になります」


「これで」


「ちょうどいただきます」


「器は紙なので可燃ごみでお願いします、一応行政区分には従ってください」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています」


「それでは失礼します」


「さて、では早速いただきますか」


回鍋肉丼、シンプルに白米に回鍋肉を乗せた丼。

宅配に向けたメニューではあるが店のメニューにもある。


回鍋肉の辛味噌の味が白米に染み込んでご飯がすすむ。

肉も野菜も美味しい定番にして美味なるものだ。


「おぉ、これは美味しそうですね」


「ライスの上に乗せて食べるものだとなっていたのでそうしていただきますか」


「ん、これは美味しい、ピリッとした味と肉と野菜がとてもよく合っている」


「ライスもその汁が染み込んでとても美味しいですね」


「シンプルなのに美味しい、こういうものもあるんですね」


「これは本当に止まりませんね、また機会があれば頼まなくては」


一方のエト達は水分補給をしていた。

今はこちらも夏なので、水分補給は大切だ。


「ふぅ、この塩レモン水美味しいわね」


「暑い時はこれが一番いいんだそうです」


「ふーん、でもなんで塩とレモンなのかしら」


「汗をかくと体の外に出る栄養素が補給出来るからだとか」


「そういうのはきちんとしたデータがあるのねぇ」


「飲んだら帰りますか」


水分補給を終えた後店へと帰還する。

夏の宅配は衛生面などの事もあり、何かと大変だ。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、冷たいおしぼり」


「ありがとうございます」


「夏は衛生面もあるので気を使わないとデスね」


「夏は生物とかすぐ腐っちゃうものね」


「宅配の料理も基本的にはすぐに食べる事を想定して作っていマスから」


「そうしないと食中毒とかが起こりかねないからですね」


「ハイ、そういう事デス」


「休んだらすぐに戻ってね」


「了解よ」


「はい、分かりました」


夏場の宅配は食中毒なども起こる危険がある。

そのため出来るだけ早く食べて欲しいというのが宅配における基本だ。


テイクアウトも同じで、出来るだけ早く食べるようには言っている。


食中毒は怖いという事はエトの協力で啓蒙してもらっているぐらいなのだから。

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