表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/402

台南担仔麺

夏のフェアも順調な滑り出しを始めた異世界キッチン。

宅配も順調に注文が入り、ソアレもなかなかに活躍してくれている。

宅配に関しては移動用の乗り物も検討している。

二人で使えて電気や油を使わないものを探しているようだが。


「この辺りかな?噂の料理屋は」


「話だと美味しい料理を安く食べられるらしいけど」


「レストランって会食に使うものだし、興味深いね」


「お、ここだね、では」


彼の名はドリス、国の省庁で働く役人だ。


同僚から聞いた話を確かめに来たようである。


「防犯はされているね」


「中は涼しいな、空調のキカイはまだ貴重なはずなんだけど」


「いらっしゃいませ!何名様ですか!」


「一人だよ」


「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」


「いや、吸わないけど」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」


「店員は全体的に若いんだね」


そうして席に案内される。

そこで一通りの説明を受ける。


説明は問題なく理解した様子。

続けてタブレットの説明に移る。


「タブレットの説明をしますね、まず画面にタッチしてください」


「こうかな」


「はい、続いて食べたい料理をタッチします」


「こうだね」


「それで選択する際はこうしてスライドさせます」


「うん」


「そして決まりましたらここをタッチ、最終確認が出ますので確定してください」


「分かった」


「では一旦リセットして…以上になります、それでは」


そうして由菜は一旦奥に下がる。

ドリスは先に水を取りに行く事に。


「そういえば水はセルフだったね、さて」


「ここにコップを当てて…この設備は凄いね」


「あとは氷と手拭き、ここの経営者は相当なお金持ちなのかな」


「さて、注文を決めないとね、何にしよう」


「ふむ…うん、これにしようかな、これとこれ、あとこれで…確定っと」


「さて、飲み物を取りに行こうかな」


そうしてドリンクバーに飲み物を取りに行く。

一通り見て選んだのはレモンスカッシュだった。


この季節は冷たいレモンスカッシュは美味しいものだ。

炭酸飲料も意外と人気があるのだ。


「ん、これは美味しいですね、果実の味がする炭酸水か」


「酸味がいい感じに美味しいね」


「味のする炭酸水、そういうものもあるのか」


「ここは知らないものがたくさんあるな」


そうしていると台南担仔麺が運ばれてくる。

夏のフェアメニューで台湾風のラーメンでエビの香りが食欲をそそる一品だ。


「お待たせしました、台南担仔麺になります」


「どうも」


「デザートが必要な際はお呼びください、それでは」


「さて、いただこうかな」


台南担仔麺、台湾風のラーメンで海老の旨味が特徴だ。

この手のものはあくまでもそれをイメージしたもので、現地のものではない。


材料もその土地のものを使っているという事でもない。

某イタリアンレストランのミラノ風ドリアみたいなものだ。


あくまでもその土地をイメージしているという事に過ぎない。

実際その土地にその料理はないという事も普通にある。


あくまでも風であり、その土地の料理ではない。

ナポリにナポリタンはないし、寧ろ現地の人は困惑するみたいな感じだ。


なので現地の料理というわけではなく、イメージして作っているに過ぎない。

何度も言うが、イメージした料理である。


「ん、これは美味しいな、麺も美味しいしスープも美味しい」


「野菜もいい感じに味が染みてて美味しいな」


「これはエビだよね、海の幸の料理なのかな」


「あと卵かな、これはゆで卵だね」


「うん、これは美味しい、本当に安くて美味しいんだね、ここは」


「会食に使うものっていうイメージを変えているのかも」


「こういうレストランがあるのもいいものだね」


そうしているうちに台南担仔麺を完食する。

続いてデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですか」


「うん、頼むよ」


「かしこまりました、では器はお下げしますね」


それから少ししてアイスの盛り合わせが運ばれてくる。

季節のアイスとバニラアイスの盛り合わせだ。


「お待たせしました、アイスの盛り合わせになります」


「どうも」


「こちらが伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」


「さて、食べようかな」


アイスの盛り合わせ、季節のアイスとバニラアイスの盛り合わせだ。

季節のアイスはその季節によって変わるので、季節のうちに食べたい一品でもある。


「ん、これは美味しいね、氷菓子か」


「甘いのはもちろん、冷たさがこの季節には嬉しいね」


「冷たい甘味はこの季節には助かるよ」


そうしているうちにアイスの盛り合わせを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いを頼む」


「はい、台南担仔麺とアイスの盛り合わせ、ドリンクバーですね」


「銀貨一枚と青銅貨一枚になります」


「これで」


「ちょうどいただきます」


「満足していただけマシタか」


「あなたがシェフかな」


「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」


「とても美味しかったよ」


「それは何よりデス」


「それにしても内陸の国なのに海産物が食べられるのは凄いね」


「保存の技術がありマスからね」


「保存か、こちらではまだ不完全なのに」


「保存というのは冷やしておけば大体のものは持ちマスから」


「冷やすだけでいいのかい」


「もちろんそれだけではないデス、でも冷やすというのは保存の基本デスね」


「なるほど」


「それが出来れば最低でも数日から一週間は保存が出来マスよ」


「冷やす、か」


「ハイ、冷やすのデス」


「おっと、そろそろ行くね、また食べに来るよ」


「服装からして国の人かな」


「役人はそれなりに身なりもいいデスからね」


そうしてドリスは満足そうに帰っていった。

保存の基本は冷やす事、たぶん間違ってない。


フェアメニューは再登板する事は稀なので、食べたいものを食べるのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ