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大盛り牛丼

夏のフェアが始まった異世界キッチン。

その一方で宅配も順調に注文が入りつつある。

まとめて注文される場合などもあり、立派な売上になっている宅配。

今回はまとめた数の注文が入ったようで。


「今回の届け先って工事現場だっけ」


「はい、大盛り牛丼を10人分ですね」


「工事現場の人達はたくさん食べそうだよねぇ」


「そういうリーザさんも結構食べる方だと思いますよ」


今回は工事現場からの注文で、まとまった数らしい。


こちらの世界は機械はあるとはいえ、向こうに比べると技術は遅れている。


「それにしても工事現場の人達は10人程度なんだね」


「小規模な現場なんじゃないですか?」


「小規模かぁ」


「大規模な現場だと100人規模で動員されるのも普通って聞きますから」


「ふーん、そんなものなんだ」


「そういえばリーザさんの家ってどこなんですか」


「あー、なんていうかな、少し事情があって」


「聞かない方がいいんでしょうか」


「別にいいよ、あたしの家はこの街の外にある離島なんだよね」


「離島ですか?」


「うん、でも閉鎖的な空間に耐えられなくなって飛び出しちゃった」


「はぁ」


「それに元々探検とかが好きなのもあるしさ、閉じこもってるのは嫌なんだよ」


「なるほど、冒険の資金が欲しいっていうのはそういう」


「うん、それで今はこの街の借家で生活しながらお金を貯めてるの」


「なんか頼もしいんですね」


「昔から行動力だけはあるって散々言われてたからねぇ」


「リーザさんって凄くアクティブな人だったんですね」


「島の人達に散々言われてた事だから、もう慣れたよ」


「私とは真逆な感じですね」


「それよりその工事現場って何番街なの」


「十一番街ですね」


「少し遠いね、時間もあるし急いだ方がいいかな」


「多少の余裕はありますし、時間はなんとかなりますよ」


「分かった、ならそれに合わせようか」


「はい」


リーザの家、というか実家は街の外にある離島なのだとか。

そこの閉鎖的な空間に耐えられなくなって飛び出した。


要するに閉鎖的で排他的な田舎の村が自分には耐えられなかった。

元々探検などが好きだったため、冒険に出たいという野望を持ったらしい。


そうした結果島を飛び出してこの街に来て、借家暮らしだ。

店で働きながら冒険に出るための資金を貯めている。


キッチンハウスは稼ぎがいいので、借家の家賃を払っても余裕で余るらしい。

とはいえ目標額にはまだまだ届かないらしいが。


「ここが十一番街だね」


「現場は北東の方ですね」


「分かった」


「見れば分かると思います、早く届けてあげましょう」


そのまま工事現場に向かう。

10人分という事から、小規模な工事現場と思われる。


とはいえそういう現場の人はたくさん食べるのだろう。

だからこそ大盛りの牛丼なのだ。


エネルギーという意味でも肉と米は最適だ。

やはり男の飯というイメージはあるのだろう。


「ここみたいだね」


「すみませーん、キッチンハウスの宅配です!」


「おう!今行く!」


「代表者はジミーさんだね」


「待たせたな」


「はい、こちらご注文の大盛り牛丼10人分になります」


「ひーふーみー、おう、サンキュな」


「全部で金貨1枚になります」


「はいよ、丁度だ」


「…はい、確かに」


「こいつが宅配ってやつか、これなら腹も膨れそうだな」


「ここって新しい家でも建てるんですか」


「ああ、新築に関しては補助金も出るからな」


「新しく住む人の家って事ですか」


「結婚したからせっかくだし家を買おうって事らしい、それで建ててるのさ」


「なるほど、ならおめでたいって事ですね」


「家ってのは長く付き合うものだからな、いい家にしてやるさ」


「仕事にも気合が入りますね」


「おう、そんじゃこいつを食って仕事しないとな」


「おーい!飯だぞー!」


「はい!」


「あ、それと器は紙なので可燃ごみで処分してください」


「おう、分かった」


「一応行政区分には従ってくださいね」


「分かった、サンキュな」


「それでは失礼します」


「また機会があればご利用してくださいね」


そうして現場をあとにする。

この王都は広く、区画は全部で36番街まである広さだ。


キッチンハウスがあるのは6番街になり、30番辺りの区画となると遠くなる。

とはいえそれでも宅配の範囲としてはこの街全体をカバーする。


乗り物とかも考えたが、バイクなどは流石に無理がある。

二人で行かせる事は絶対なので、自転車もすぐにはきつい。


乗り物は考えているが今は、二人で使えるいい感じのものが浮かばない。

なので地理に詳しいソアレを頼りつつ、それもなんとかしようと考えている。


「でも36番街まであるこの街全域を宅配でカバーするって大変だね」


「アヌークさんは届けるのに必要な乗り物も考えているそうですが」


「二人で使える乗り物って意外と厳しいのかな」


「そんな感じの事は言ってました」


「でもアヌークならなんとかしそうだよね」


「まんざらでもないから困りますね」


そのまま店に帰還する。

売上は由菜に渡して、売上に計上してもらう。


「お疲れ様デス」


「うん、また手が空いてたら手伝うから」


「注文が入ったら任せてくださいね」


「では少し休んだら仕事に戻ってクダサイ」


「はーい」


「はい」


そうして宅配の届け先にも事情は様々。

数をまとめて頼むところはそれだけ人もいるという事。


助けられている人は多いのだろう。

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