マルゲリータ
宅配サービスが始まって少し経ちちょくちょく宅配の依頼が入る様子。
そんな今日も宅配の依頼が入ったため、2人が外に出ている。
街の事に詳しいソアレと今回は手の空いていたアレッシオ。
2人がその届け先へと向かっていた。
「えっと、三番街のアルフィーさんだね」
「はい、三番街だとそんな遠くないですから」
「お店があるのは六番街だからね、そこから王都だけでもカバーするのか」
「街自体は広いですが、最短ルートならそんなかかりませんよ」
今回注文を受けたものはマルゲリータとフライドポテト。
それを三番街のアルフィーという人の家に届ける。
「そういえばソアレの家はどこなの」
「五番街の西の方ですね、そういうアレッシオさんの家は?」
「僕の家は七番街の南の方だよ」
「となるとお店がある六番街にはお互いそんな遠くないんですね」
「うん、まあこの王都だと自分の住むところの外に働きに行くのは普通だし」
「そうですね、私もお店に行く前は二番街で働いていましたから」
「ソアレってメイドにでもなりたかったの?」
「うーん、腕っぷしは強いので護衛とか私兵でもよかったんですけど」
「その歳でその仕事って雇ってくれる人いるの」
「まあ厳しいと思いますよ」
そんな話をしながら四番街を抜けていく。
商店の人などにも宅配のバッグは珍しく見えるようで。
「お、あんたもしかして宅配ってやつか」
「あ、はい」
「若いのに偉いね、あの店は美味しかったって娘も言ってたぞ」
「来た事はあったんですね」
「それじゃ早く届けてやんな」
「はい、それでは」
「失礼します」
商店の人に声をかけられたりもするが、とりあえずは目的地を目指す。
そのまま四番街を抜け三番街に入る。
アルフィーさんの家は三番街の北東の方らしい。
ソアレが場所は分かるそうなので、そのままついていく。
「ここですね」
「キッチンハウスのお届けに来ました!」
「ああ、待っていましたよ」
「こちらがご注文のマルゲリータとフライドポテトになります」
「代金として銅貨一枚と青銅貨三枚いただきます」
「はい、これでいいですね」
「はい、ちょうどいただきますね」
「器は可燃ごみに出してください、一応その地区の行政区分に従ってお願いします」
「分かりました、しかし紙の器というのは便利でいいですね」
「宅配用の器は食べ終わったら捨てられるようにしてあるそうですよ」
「なのでこの国の区分だと可燃ごみ、一応行政区分に従ってという事です」
「なるほど、覚えておきます」
「それでは確かにお届けしました、またのご利用お待ちしていますね」
「それでは失礼しました」
「宅配スタッフも若い子なんですね、今度お店にも行ってみますか」
その足で他の宅配も届けに向かう2人。
宅配は複数入った場合はまとめて届ける形になる。
「おぉ、これは美味しそうですね、本当に作り立てです」
「ではいただくとしましょうか」
「ん、これは美味しいですね、ふわふわのパンとチーズが素晴らしいです」
「こっちのポテトというのも食べやすいのに加えて結構な量がある」
「このケチャップというのはトマトソースみたいですね」
「ん、これであの値段ならとてもお得です」
「これは高級レストランなんかは強いライバルが出現してしまいましたね」
一方宅配を全部片付けた2人は街で飲み物を飲んでいた。
どの地区にも商店はあるものの、地区によって力を入れているものは違う。
例えば三番街なら野菜を売る店が多く、四番街は雑貨の店が多い。
そんな感じに地区によって強みと言えるものがあったりするのだ。
「それにしても結構頼んでくれるんですね」
「値段の割に量は結構あったりするもんね」
「あの値段であのボリュームなら他のレストランは涙目ですよ」
「でも客は少ししか減ってないって聞いたよ」
「あくまでも家族向けという事なんでしょうね」
「貴族の人とかはきちんと利用してるって事かな」
「あと六番街という立地もありそうですね」
「確かに一番街からだと少し距離があったりするもんね」
「噂は広まっているみたいですから、人の力って凄いです」
「だね、それはあるかも」
飲み物を片付けてその足で店に戻る。
少し休憩をして仕事に戻る事に。
「お疲れ様デス」
「はい、また注文が入ったら行ってきますから」
「それじゃ僕はホールに戻りますね」
「ソアレサンも少し休んで構いマセンよ」
「はい、ではそうしたらキッチンに戻りますね」
そんなこんなで宅配もそこそこ入り始めた様子ではある。
ソアレも大車輪での仕事になりそうだ。
宅配サービスの話は他のレストランにも当然伝わっているのは言うまでもない。




