ハンバーグステーキ
新通貨が発行されシステムもいじった異世界キッチン。
最初は客も戸惑っていた様子だったが、意外と早くに慣れた様子。
スタッフも使い方の説明がきちんと出来ているようで一応は安心。
そんな今日も新たな客がやってきた様子。
「この辺りですか、噂の料理屋は」
「なんでも美味しい肉料理が食べられるとか」
「ならぜひともいただかねばなりませんね」
「む?ここですか、では」
彼の名はエドワード、隣国の技術者だ。
この国に仕事で来たついでに噂の店と聞き立ち寄ったらしい。
「ふむ、防犯はされていますね」
「中は客も多いですね、噂通りのようだ」
「いらっしゃいませ!何名様ですか!」
「一人ですよ」
「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」
「いえ、吸いません」
「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」
「店員は若いんですね」
そうして席に案内される。
そこで一通りの説明を受ける。
説明については問題なく理解してくれた様子。
ついでにタブレットについても説明する。
「注文の仕方について説明しますね、これを指でタッチしてください」
「こうですか?」
「はい、あとは食べたい料理をタッチ、指で弾くようにするとスライド出来ます」
「こうですね」
「はい、決まったらここにある確認ボタンをタッチします」
「ここですね」
「それで本当によろしければ注文を確定してください」
「分かりました、ありがとうございます」
「一旦リセットして…では一旦失礼します」
そうしてリーザは他の客に運ぶ料理を取りに行く。
エドワードは水を取りに行く事に。
「水はセルフでしたね、さて」
「ここにコップを当てて…しかし見た事もない設備ばかりだ」
「あとは氷と手拭き…ここのキカイ類はどこから手に入れているのか」
「さて、注文を決めますか」
「肉料理…ふむ、いろいろありますね、む?これがよさそうだ」
「このタブレットで…肉料理、ハンバーグステーキ、これですね、あとライスもですね」
「あとはセットドリンク、これで確認、確定っと」
「これで注文が完了したという事でしょうか、凄いですね」
「さて、飲み物を取りに行きますか」
そうして飲み物を取りに行く。
一通り見て選んだのはジャスミンティーだった。
元々お茶は好きなエドワード。
珍しいお茶という事もあったのだろう。
「ん、これは美味しいですね、はじめて飲むお茶だ」
「味からしてハーブでしょうか」
「でも不思議と落ち着く味ですね」
「こういうお茶もいいものです」
そうしているとハンバーグステーキが運ばれてくる。
今回はライスもセットで頼んである。
「お待たせしました、ハンバーグステーキのライスセットになります」
「どうも」
「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」
「さて、ではいただきますか」
ハンバーグステーキ、ここでは牛肉のみを使って作ってある。
ビーフハンバーグステーキなので、少し値段は高い。
それでも料理の中ではリーズナブルな部類になるので、結構売れている。
子供にも人気なので、やはりハンバーグステーキは人気なのだ。
付け合せは皮付きポテトとミックスベジタブル。
ミックスベジタブルのグリーンピースは意外と子供も食べてくれるらしい。
ハンバーグの方もナイフで簡単に切れるので、顎が弱くても安心である。
子連れ客などは子供にせがまれるという事もあるようで、それも売れる理由だ。
こっちの世界でも子供はハンバーグやエビフライが好きなのは変わらない様子。
そういう売上を見ているとアヌークもほっこりしているという。
「ん、これは美味しいですね、ナイフでサッと切れる」
「肉の美味しさはもちろん、柔らかくて食べやすい」
「これは細かくした肉を整形してあるようですね」
「ソースも美味しいですし、付け合せも美味しい」
「このポテトもそうですが、野菜も美味しいとは」
「大人はもちろん、子供にも人気が出そうな料理ですね、これは」
「ライスにも合いますし、これはとても食べやすい、実にいいです」
そうしているうちにハンバーグステーキとライスを完食する。
飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。
「支払いをお願い出来ますか」
「はい、ハンバーグステーキにライスとドリンクバーですね」
「銅貨一枚と青銅貨三枚になります」
「ではこれで」
「銀貨一枚いただきます、お釣りの青銅貨二枚になります」
「確かに」
「満足していただけマシタか」
「あなたがシェフですか」
「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」
「とても美味しかったですよ」
「それは何よりデス」
「それよりあのタブレットというのはどこで手に入れたのですか」
「きちんとした業者に発注したものデスが」
「つまりそれを扱っている取引先があると」
「ハイ、そうなりマス」
「ふむ、他にもここの設備はどこから手に入れているのですか」
「きちんとした業者から仕入れていマス、正規品デスよ」
「ふむ、まあいいです、しかしここの料理は美味しいですね」
「開店当初は不安もありマシタけどね、受け入れられたようで何よりデス」
「おっと、ではそろそろ失礼します、機会があればまた来ますね」
「たぶんだけど、技術者かな」
「だと思いマスよ」
こうしてエドワードは満足そうに帰っていった。
ここで見た技術などは国の開発関係の職場に報告されたらしい。
機械のあるこの世界でもここの技術は凄いのだから。




