カシスとベリーのパンナコッタ
春のフェアも順調に売れている異世界キッチン。
その一方で新通貨の発行に向けてメニューの差し替えの準備を行っている。
完成自体はしているとアレッシオとリーザから報告をすでに受けている。
値段の改定は元々考えていた事もあり、4月を目処に差し替えが行われる。
「この辺りかしら、噂の料理屋は」
「なんでも美味しい甘味が安く食べられるらしいけど」
「そんなに安いものなのかしら」
「あ、ここね、行きましょう」
彼女の名はバルバラ、異国の貴族だ。
療養でこの国に滞在している中ここの噂を聞いたらしい。
「防犯はされているのね」
「中は賑やかだわ、お客も多いし」
「いらっしゃいませ!何名様ですか!」
「一人よ」
「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」
「吸わないわよ」
「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」
「あんな若い子が働いているのね」
そうして席に案内される。
そこで一通りの説明を受ける。
説明は問題なく理解した様子。
アレッシオは一旦下がり別の注文を受けに行く。
「そういえば水はセルフと言っていたわね、さて」
「コップをここに当てて…それにしても知らないキカイだらけね」
「あとは氷と手拭き、手拭きが使い捨てというのはその方が清潔に保てるからかしら」
「さて、注文を決めてしまわないと」
「料理自体は凄いいろいろあるのね、とりあえずは甘味…」
「ふむ、これなんかよさそうね」
「確かこのボタンで」
ボタンを鳴らして店員を呼ぶ。
少ししてエトが出てくる。
「お待たせしました、ご注文はお決まりですか」
「えっと、これとこれ、あとセットドリンクをいただけるかしら」
「かしこまりました、ではオーダーを復唱させていただきます」
「カシスとベリーのパンナコッタとアイスの盛り合わせ、ドリンクバーです!」
「オーダー!カシスとベリーのパンナコッタとアイスの盛り合わせとドリンクバーです!」
「喜んで!」
「では少々お待ちください」
「料理人は奥なのね、まあ当然だけど」
「さて、飲み物を選びに行きましょう」
そうしてドリンクバーに飲み物を選びに行く。
一通り見て選んだものはアイスティーだった。
紅茶を冷たくして飲むというのはこちらでは珍しい。
それもあってかアイスティーとアイスコーヒーは人気でもある。
「ん、これは美味しいわね、冷たい紅茶なんてあるのね」
「最近は暖かくなってきてるし、これはいいわ」
「それにしても紅茶を冷たくして飲むなんて、はじめて」
「帰ったら話をしてみましょう」
そうしているとカシスとベリーのパンナコッタとアイスの盛り合わせが運ばれてくる。
パンナコッタにカシスとベリーのゼリーを乗せてベリーの実も乗せたものだ。
「お待たせしました、カシスとベリーのパンナコッタとアイスの盛り合わせになります」
「ええ、どうも」
「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」
「さて、いただきましょうか」
カシスとベリーのパンナコッタ、春のフェアメニューのデザートの一つ。
パンナコッタにカシスとベリーのゼリーとベリーの実を乗せたもの。
シンプルながら食べやすくするっと食べられる。
他にもいちごのパンナコッタがあり、子供に人気のメニューでもある。
大人にも子供にも人気のメニューというのは食べやすいというのがある。
そのためパンナコッタは手頃な値段で美味しいデザートなのだ。
そのためデザートとしても人気が高く大人にも子供にも人気のメニューになった。
このカシスとベリーのパンナコッタはフェアメニューだが、すでに人気になっている。
人気になる料理というのは食べやすく好きな人の多いものなのだろう。
パンナコッタはそんな人気を獲得したのだ。
「ん、これは美味しいわね、ソースも美味しいけど下のミルクのやつも美味しい」
「これはミルクと言うよりはクリームかしら」
「果実のソースと合わさってとても食べやすいわ」
「こっちのアイスというのは氷菓子よね、これも美味しい」
「常に氷菓子が食べられるなんて凄いのね、ここ」
「この甘味が安いなんて信じられないわ」
「これはいい息抜きになったわね、執事ナイスよ」
そうしているうちにカシスとベリーのパンナコッタとアイスの盛り合わせを完食する。
飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。
「支払いを頼めるかしら」
「はい、カシスとベリーのパンナコッタとアイスの盛り合わせとドリンクバーですね」
「全部で銅貨八枚になります」
「ならこれで」
「銀貨一枚いただきます、お釣りの銅貨二枚になります」
「確かに」
「満足していただけマシタか」
「あなたがシェフかしら」
「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」
「とても美味しかったわ、素晴らしいものをどうも」
「それは何よりデス」
「ここの料理は似たもの自体は普通にあるのに、みんな美味しそうに食べるのね」
「みなサンそう言いマスね」
「似ている料理は普段から散々食べてるはずなのに、ここはそれだけ美味しいのね」
「デザートなんかもデスか」
「ええ、周囲のお客の反応も見ててね」
「なるほど」
「値段もそうだけど、美味しいっていうのは何より嬉しいのよ」
「それは凄く分かりマス」
「さて、それじゃそろそろ帰るわね、また時間があったら食べに来るから」
「料理自体はこっちでも一般的なものが多いんだね」
「ファミレスのメニュー自体そんな感じデスからね」
そうしてバルバラは満足そうに帰っていった。
この店の料理はこっちの世界でもあるようなものばかりとの事。
それでも人が入るのは美味しいという事の証拠なのだろう。




