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90 卒業……そして

 今回で最終回です。

 今日、ついに小学生最後の日を──卒業式を迎えた。

 私達は今、その式典に参加している。

 これが終われば私達は、小学生ではなくなってしまう。


 というか、今は中等部の制服──セーラー服を着ているので、もう半分は中学生みたいなものだと思うのだけどね。

 

 とはいえ、私達はすぐ近くにある学園の女子中等部へ上がるだけなので、友達と離ればなれになる訳でもないし、気分的には学年が変わるだけだ。

 ……だけど、これから別れを告げる校舎に愛着もある。

 少し寂しいのも事実だ。

 

 いろんなことがあったなぁ……。 

 ……大抵はお母さん絡みの、問題だったけれど……。

 だから泣くほどのことでもないかな……。


 しかしそのお母さんは、ボロボロと泣いていた。


「先生、がんばってー!」


 誰かから、励ましの掛け声がかけられた。

 児童よりも泣いてどうするのさ……。

 このままじゃ、式典の進行にも影響が出ちゃうよ……。


 ……でもまあ、私との学校生活も終わるのだから、当然の反応か……。


 もうエネルギー切れになっても、違う校舎に通う私は協力してやれないから、なんとか耐えられるように子離れしてほしい。

 ……そう思っていたんだけどなぁ……。




 そして女子中等部の入学式の日──。

 教室に行くと、既にみんながいた。

 6年生の時に仲が良かった子は全員いるね。

 そして相変わらず、こぶしちゃんと久遠(くどう)さんは隣のクラスだ。


「おはよー」


「綺美、おはよー」


「おはようですわ」


「おはようデース」

 

 改めてセーラー服を着ているみんなを見ていると、大人っぽく見えるなぁ。

 まあ、さくらちゃんと羽田さんは、大人がコスプレしているようにみえなくもないけれど……。

 なんというか、胸がね……。


 あと、私も別の意味でコスプレに見えていることだろう……。

 その……背がね……。


「かわ、かわわわわ……」


「あ、福井さんおはよう。

 落ち着いて?」


「……あ、はい。

 珠戸(たまこ)さんの制服姿、可愛らしいですね」


「ありがとう。

 福井さんもね」


「あ、ありがとうございます!」

  

 福井さんも黙っていれば美人なので、制服姿は絵になるなぁ。

 まあ、喋り出すと結構ボロが出るけれど。

 いつかお母さんみたいに、完璧な外面に擬態できるようになるのだろうか?


 お、予鈴が鳴った。

 そろそろ担任が来るな。

 で、中学の担任は誰なのかというと──。


「みなさん、おはようございます。

 担任の珠戸(けい)です」


 ……知ってた。

 なんか卒業式以来、意外とお母さんが落ち着いていたので、おかしいと思っていたんだよ……。

 私と学校が離ればなれになるのに、お母さんが平気でいられるなんておかしいもん。

 そうかぁ……小学校の教員から、中学校の教員に乗り換えたかぁ……。


 まさかお母さんって、中等部の校長先生にも弱味を握っているの!?

 いや……もしかしたら、学園の理事の方なのかも……。

 相変わらず底が知れないななぁ……。


 まあ、さすがに高校や大学の教員免許は持っていないだろうから、こういうことは中等部の間だけだろうけれど……。


「それでは学級委員長を決めたいと思います。

 立候補者はいますか?」


 手を上げる者はいない。

 となると、ここは──、


「……はい」


「では珠戸さんに、委員長をお願いしますね」


 うん、どうせ私がやることになるのだろうから、自ら立候補するよ。


「それでは副委員長に──」


「はいっ!」


 福井さんが被り気味に手を上げた。

 まあ、小学生の頃と変わらないね、こりゃ。

 私としてはやりやすいから、それでいいけど。


 いずれにしても、これからの3年間──お母さんがいつも一緒という状況は、おそらく変わらないと思う。


 結局私達の日常は、これまでと同じだ。

 でも、これは平和な(あかし)なんだから、それでもいいか──そう思うのは、妥協なのかな?


 そんなことを考えながら、また新しい1年が始まるのだった。

 


   おかあさんがいつも一緒──完

 今まで応援ありがとうございました。

 今後は他に連載している、『百合転生』もどうかよろしくお願いします。

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