表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/91

84 お正月と相談

 ブックマークをありがとうございました。

 あれから私とお母さんの間では、ぎこちない空気が(ただよ)っている。

 さすがにお母さんも反省したらしく、過度なスキンシップもしてこなくなった。


 一方私はというと、あんなことがあった所為で大掃除が中断してしまい、その遅れを取り戻す為に大忙しだった。

 大晦日はおせち料理も作らなきゃないけないしね。

 ……まあ、家事に集中することで、色々と忘れることができたので、私にとっては良かったのかもしれない。


 そして大晦日の晩は年越し蕎麦を食べて、私は早めに寝た。

 元々夜更かしは得意じゃないので、今までも除夜の鐘を聞いたことがない。

 それに都合の悪いことを忘れる為には、やっぱり眠るのが1番だ。




 そして翌日──。


「「あけましておめでとうございます」」


 私とお母さんは、新年の挨拶をかわした。

 そしてお母さんは、


「はい、綺美ちゃん、これ」


 と、お年玉を渡してきた。


「ありがとう」


 ポチ袋の中身を見てみると、いつもの倍額は入っていた。


「お母さん、これ……」


「ん~、なんのことかなぁ~?」


 取り合うつもりはないようだ。

 ……もしかして慰謝料のつもりなのかな?

 う~ん、クリスマスに無駄遣いしたばかりだから、家計に響かないかちょっと心配だけど、うちは親しい付き合いをしている親戚がほぼいないから、お年玉を貰える機会は少ないんだよねぇ。

 だからありがたく貰っておこう。


 その後、朝食……というか、正月なので昼近くまで惰眠を(むさぼ)っていた為、昼食と兼用でお雑煮を食べた。

 それが終わって片付けが終わったら、ゆりさんのところへ行くことにする。

 作ったおせちやお雑煮を、お裾分けする為だ。


「あけましておめでとうございます」


「おめでとー、綺美ちゃん。

 はい、お年玉」


「あ、そんな気を使わなくてもいいのに」


「いやぁ……、いつも差し入れをもらっているから、食費だと思ってよ」


「そういうことなら……」


 私は素直に受け取っておくことにした。


「ゆりさん、今……時間がある?」


 ゆりさんは作家なので、正月でも仕事がある。

 完全に休みならば、実家に帰省していてもいいはずなのに、それをしていないのが証拠だ。

 まあ、ゆりさんのことだから、そのうちさくらちゃんの顔は見に行くのだろうけれど……。


「今は大丈夫だよ。

 何か?」


「じゃあ話があるから、ちょっと上がらせてもらうね」


 私は百合さんの部屋に入り、テーブルの椅子に座った。

 ゆりさんも、その正面に座る。


「話があるって、何かな?

 綺美ちゃん」


「あのね……ゆりさん。

 ゆりさんがイベントで買ってきて、お母さんに渡したあの薄い本はどうなの?」


「!!」


 私の言葉を聞いた途端、ゆりさんの目が泳ぎ始める。

 その(ひたい)には、冷や汗が目立つ。


「えっと……それは……その……」


 ゆりさんはなんと答えていいのか分からないのか、まともな言葉はなかなか返ってこなかった。

 そしてようやく──、


「……もしかして綺美ちゃん、中身を見ちゃったの?」


「うん、まあ……」


 ゆりさんは、「あちゃー」という感じで、顔を片手で覆った。


「ごめん、ちゃんと管理しなかった先輩が悪いけど、私もごめん」


 そして平謝りだ。


「まあ……ゆりさんは悪くないから、そんなに謝らなくてもいいんだよ。

 それでね……私としては、あまりああいうのを、親には読んで欲しくないとは思うんだけど……。

 でも、大人には……お母さんには、どうしても必要な物なのかな……?

 その辺はどうなの、ゆりさん?」


 私がゆりさんにそう質問すると、今度はきっぱりと──、


「それは必要!」


 と、断言した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ