77 クリスマス会を開こう
修学旅行が終わると、目の前に冬休みが迫ってくる。
北国の学校だと、12月の中旬くらいには冬休みに入っているらしいけど(その代わり夏休みは短いらしい)、学園の創始者が道民だったというこの学校でも、さすがにそういうことはない。
土日で前後することもあるけれど、基本的には25日で2学期は終わりだ。
その2学期の終わりを、数日後に控えたある日の休み時間、
「冬休みはどこへ行く?」
と、さくらちゃんは言った。
「え~……修学旅行に行ったばかりだし、何処へも行きたくない……」
「まあ、綺美ならそうだろうな……」
「ええぇ……私、年末に師しょ……ゆりさんと、東京へ行くんですけど、一緒に行きませんか?」
「え、ゆりさんと!?」
福井さんから意外な報告があった。
「コミカルマーケット──通称コミマという漫画やゲームの祭典があってですね、それに連れて行ってもらえることになったんですよ」
「ああ……そういえば。
ゆりさんはいつも御盆と年末になったら、何処かへ行っていたっけ……。
でも、ゆりさんって小説家では?」
「小説の本も売っていますよ。
それにゆりさんの本の挿絵を描いている漫画家さんも参加しているそうで、挨拶しに行くんですよ」
へぇ……そうなんだ。
プロの漫画家はちょっと興味があるけど……。
「たしかそのイベントって、何十万人も人が来るって、前にニュースで見たよ……。
あんなに混雑しているところ、私は疲れちゃうかな……」
「そうですか……」
福井さんは残念そうだけど、こればかりは私の体質もあるから仕方が無い。
「というか、さくらちゃん家って神社だから、年末年始は休めないし、何処にも行けないんじゃ……?」
「そうなんだよね~」
じゃあ、なんでこの話題を振ったの……?
「せめて想像の中だけでも、どこか行きたいじゃ~ん!」
まあ、その気持ちも分かるけど……。
「それならば終業式の日に、クリスマス会をしませんか?
誰かの家に集まって、プレゼント交換とかをするんです」
「福ちゃん、それいい!」
福井さんの提案に、さくらちゃんが乗った。
まあ、私もその程度の催しならば、吝かではないが……。
「そういうことならば、我が家を会場として提供しますわ!」
と、丹治易さんが割り込んできた。
話を聞いていたの!?
……まあ、彼女の家は広いから、クリスマス会の会場としては丁度いいけれど……。
「それで委員長、材料費を出しますから、料理を作っていただけませんか?」
「智ちゃんのお母さんって忙しいから、さすがに人数分の料理を作るのは大変だと思うんだー」
と、丹治易さんと頭映さん。
「それはいいけど……。
一応お母さんに聞いてみるね」
私は料理が好きだし、暇を持て余している小学生だからね。
パーティーにコンビニとかで買った惣菜とかでは味気ないだろうから、作るのは望むところだけど、お金のやり取りが発生するのなら、一応親には報告しておいた方がいいだろう。
で、帰宅後にクリスマス会のことをお母さんへ話すと……、
「いいけど……。
私も行きたいなぁ……」
と、物欲しそうな顔でお母さんは言った。
「やめてよ、子供の集まりに……。
それに仕事があるでしょ?」
保護者同伴の子供の集まりなんて、嫌過ぎるんだよ……。
「仕方がないわねぇ……。
じゃあ、はい」
「え?」
お母さんは私に、2千円札を渡してきた。
千円札2枚ではなく、2千円札だ。
なんでこんなものを持っているの!?
「どうせもう月末だから、お小遣いは残っていないんでしょ?
これでプレゼント交換に使う物を買えばいいわ」
「う……うん、ありがと」
ありがたいけど、いやに物分かりがいいな……。
何か目論見があるんでしょ?
「その代わり、お願いがあるんだけどぉ~」
ほら、きたよ……。
先週は間に合いませんでしたが、なんとか今後の話の展開がぼんやりと決まりました。大雑把には、「卒業したら終わる」というところまでは決まっているのですけどね。




