53 夏のお誘い
ブックマーク、ありがとうございました。
我が家に来た福井さんは、よく分からないけれどご満悦だった。
そして私の部屋に入ると、
「わあ、綺麗なお部屋ですねぇ!」
……という具合に、テンションが妙に高い。
ここににはそんなに珍しいものなんて、無いはずなんだけどなぁ……。
ともかく福井さんは興奮の所為か、忙しなく呼吸したりしていて……それ、過呼吸にならない?──と、心配になる。
「大丈夫? ベッドでちょっと休む?」
「え……?
珠戸さんの……ですか?
珠戸さんの香りに包まれて──」
福井さんの動きが止まった。
そして次の瞬間、鼻から大量の血が溢れ出す。
「わあっ!?
ちょっ……また、どうしたの!?」
「済みません……。
よくあることなのて、気にしないでください……」
「気にするよ!?」
福井さんって、なにか病気を抱えているのだろうか……?
そんな風に私が心配していると、
「綺美ちゃんって、ラブコメの鈍感無自覚系主人公っぽいよね……」
ゆりさんがそんなことを言った。
何故、今そんなことを!?
ともかくそんなアクシデントもあったけど、その後はなんとか出血が止まった福井さんやゆりさんと一緒に、据え置き型の家庭用ゲーム機での遊ぶことで落ち着いた。
しかしこのゲームをやりこんでいるのはお母さんで、私はたまに付き合ってプレイしているだけなので、そんなに上手くない。
接待を意識するまでもなく、私は負け続けていた……。
ただ福井さんも、あまりこのようなゲームをプレイしたことはないらしい。
家がこういう物に対しては結構厳しいそうだ。
そんな訳で、彼女もそんなにゲームは強くないようで、結果的にゆりさんが一人勝ちしている。
「ゆりさん……子供相手に手加減しないって、どうなの……?」
「なにごとも全力を尽くすのは、大事なことだと思うよ。
そうすることで、いざ本番になっても、実力を出し切れるというものさ」
「さすが先生です!」
……福井さんは感心しているけど、ゲームの本番っていつさ……?
そもそもゆりさんって、好きなさくらちゃんの前だと結構へたれている気がするし、絶対に本番に弱いよね?
そんなことを考えていたその時、電話のベルが鳴った。
「ん、誰だろう?」
電話に出ると、相手は丹治易さんだった。
『皆さんと一緒に、夏休みの宿題をやりたいと思うのですが、委員長のご予定はどうでしょう?
我が家にご招待しますわよ?』
「あ~宿題かぁ……」
夏休みの宿題は、一応コツコツと進めてはいる。
でも私は勉強が得意ではないので、1つの問題を解くにも時間がかかるし、まだ全体の半分くらいだ。
今年はお母さんが遊ぶ為に宿題の量を減らしているけれど、それでも終わりが見えない。
う~ん、勉強のことなら、天才の丹治易さんに頼った方がいいかな?
キャンプでは後片付けとかには結構協力的だったし、少しは仲良くなれたような気がする。
前は面倒臭い人だと思っていたけど、今ならこのお誘いは受けてもいいかも……。
「いいけど、さくらちゃんとかも誘っていいの?」
『よろしいですわよ。
何人でも連れてきてくださいな』
と、丹治易さんの許可も下りた。
どうせさくらちゃんは宿題を殆どやっていないだろうから、この機会にやらせよう。
そのことをゆりさんに話すと、
「あ~、さくらのこと、ありがとう。
よろしくお願いね」
と、頭を下げられた。
それと……、
「福井さんも行く?」
「是非に!」
これでメンバーは決まったかな?
そんな訳で、丹治易さんの家で、勉強会を開くことになった。




