47 夜のキャンプ場
ブックマーク、ありがとうございました。
夕食は無難に、バーベキューをすることにした。
奇をてらうのもいいけど、王道も大事。
……というか、暗くなってから後片付けするのは大変なので、片付けが楽なものにした。
食器は紙皿で使い捨てだし、調理も石で組み上げた竈の上に網を置いて、食材を焼くだけだ。
あとは羽田さんが竈の火力調節に大活躍してくれたので、肉とかを焼くのも楽だったよ。
彼女がいれば、無人島に流れ着いても生き抜けるような気さえする。
そして夕食が終わると──、
「肝試しをしよう!」
「駄目です」
「え~っ!?」
さくらちゃんの提案は、お母さんに即却下された。
「夜の林は危ないですからね」
キャンプ場の近くの林には、遊歩道がある。
さくらちゃん達は、そこで肝試しをすることを計画していたようだ。
しかしお母さんが言うように、夜の遊歩道は危ないと思う。
舗装されていない道なので、何かに躓いて転ぶということも有り得るし、物凄く低い確率だろうけれど、遭難や獣との遭遇ということも皆無ではないだろう。
私もお母さんの判断には賛成かな。
ところが、久遠さんがお母さんに近づいていき、
「おばさん、おばさん。
例のことを心配しているんでしょ?
でも、私がいるからそれは大丈夫ですよ?」
何事かを話しかけている。
「ああ……そうか、久遠さんがいたわね?
でも、実力的には大丈夫なのかしら?」
「その辺の相手なら、私の敵ではないですよ。
それにおばさんも、そろそろエネルギーが……」
「……!
う~ん、色々とお見通しな訳ね。
分かりました。
私も参加するということで、許可しましょう」
「みんな~!
肝試しをしてもいいって!」
「やった~!!」
え、なんで?
なんでお母さんは意見を翻したの!?
「それじゃあ、二人一組で行きましょう。
綺美ちゃんは、私とね」
「……なるほど」
ああ、お母さんは私と二人きりになりたかったから、肝試しを許可したのか。
今日は他の子供達もいるから、ずーっと先生モードだったし、私とベタベタする隙も無かったから、エネルギーが切れかけているんだね……。
じゃあ、仕方がない……とは思いたくないのだけどなぁ。
頼むから一人でも大丈夫なようになってほしい。
なお、組み合わせは──、
・私とお母さん
・啓内姉妹。
・丹治易さんと頭映さん。
・福井さんとゆりさん。
──ということになった。
羽田さんは残って竈の火を守るそうだ。
どうせ就寝時には火を消すんだし、それは必要なのか?──という疑問もあるが、大自然の中で生きてきた彼女の習慣みたいなものらしいので、ここは任せることにする。
「火は猛獣よけに使うデース!」
たぶんいないけどね?
熊や猪が出現する可能性はゼロではないけれど、この辺で現れたらニュースになるレベルで珍しいことだ。
まだ変出者が出現する可能性の方が高いと思う。
そして何故か久遠さんも残ることになった。
「私は儀式を行うんで」
ちょっと何を言っているのか、分からないです。
まあ、自称霊感少女の言うことだしね……。
それと──、
「うう……私も珠戸さんと一緒が良かったです……」
福井さんが何やら不満そうだ。
「ごめんね、お母さんが私を心配しているみたいで……」
私がそう言うと、福井さんはハッとしたような顔をした。
「そ、そうですか!
仲睦まじいのは良いことですよね!」
……なんで嬉しそうなの?
「懐中電灯は1つしか無いから、最初に行ったチームが遊歩道を一周してここに戻ってきたら、次のチームに懐中電灯を渡して出発……ということにしましょう。
最初はさくらちゃんとこぶしちゃんね」
「おー!」
そして肝試しはついに始まった。
始まってしまった……。
正直だるい……。
ただ、肝試しとは言っても、脅かし役はいない。
暗い林の中で、茂みに潜むのは事故を誘発させかねないからね。
だから実質的にこれは、ただの夜の散歩──ということになる。
まあそれでも、実行することに意味があるのだろう。
少なくともさくらちゃん達は、取りあえず経験することができれば、それで満足なんだと思う。
なんだかんだで思い出にはなるのだろうしね。
ただ、やりたくない私には面倒臭いことこの上ないけどさ……。




