46 昼食が終わったら
ブックマーク、ありがとうございました。
「綺美、ただいまー!」
「おかえりなさーい」
川へ遊びに行っていたさくらちゃん達が帰ってきた。
その水着姿は水に濡れると、余計に色っぽく見える。
本当にこれ、小中学生の集団なのだろうか……。
そしてやっぱり私は、川に行かなくて良かった……と、改めて思った。
あの中に私のような小さいのがいたら、悪目立ちするだろうな、きっと……。
むしろ私とそんなに変わらない体型の丹治易さんは、よくあの中で平気だったなぁ……。
その強メンタルは、ちょっとだけ羨ましい。
「あ~、お腹が空いたー!
綺美、お昼ご飯できてるー?」
「うん、これから盛り付けるから、先に着替えてきて」
「分かっ──あ!?」
さくらちゃんの焦ったような声が上がる。
「ん? どうしたの?」
「家から水着を着てきたから……下着を忘れてきちゃった……」
「ぶほぉっ!?」
そんな子供みたいな……。
いや、実際に子供だからいいのか……?
「どうするの……?
家まで下着を取りに戻ってもらう?」
さくらちゃん達は家からキャンプ場まで歩いてきたから、歩いて帰ることもできる。
まあ、さすがにノーブラ・ノーパンのさくらちゃんは無理だけど、こぶしちゃんならばすぐに行って戻ってくることができるだろう。
あの子なら100m走みたいな速度で、フルマラソンを走りきることもできるから、下手な自転車とかよりも早いかもしれない。
「1日くらいなら、下着なんてなくてもいいけど?」
「いやいやいや……!」
こんな夏場の薄着で下着無しとか、エロいなんてものじゃないでしょ!?
絶対に見えちゃいけないものが見えちゃうよ。
その時、こぶしちゃんが助け船を出してきた。
「大丈夫だよ、さくら!
こんなこともあろうかと、さくらの下着の予備を持ってきたから!」
用意がいいな!?
というか……、
「おー、お姉ちゃん、ありがとー!」
……さくらちゃんが納得しているのならそれでもいいんだけど、こぶしちゃんって妹の下着を勝手に持ち出しているんだね……。
私の立場でお母さんにそれをやられたら、ちょっと嫌かも……。
でも、水着で既にそれをやられているから、もしかしたら下着も持ってきているかもしれない……。
ちなみに洗濯は私がやっているから、お母さんには下着を洗わせていないよ。
ともかくみんなの着替えが終わったら、昼食だ。
「昼食はただのカレーだとありきたりだから、グリーンカレーにしたよ」
「それって、結構好き嫌いが分かれない?
ちなみに私はハヤシライスが好き」
久遠さんがそう指摘してきた。
まあ確かにカレーが嫌いという人はあまりいないけど、グリーンカレーは好みが分かれやすい。
それに子供には辛すぎるというのもある。
なお、ハヤシライスは候補に挙がっていたが、これも好みが分かれそうなので、ならばいっそ更に好みが分かれそうな方向へ尖ってみた。
「そう思って、甘いのと辛いのを2種類用意したよ。
それにトッピングも色々とあるから、それで好みの味にしてよ」
いかにグリーンカレーとはいえ、そこに粉チーズや納豆を投入すれば、相当味は変わる。
まあそれが美味しいかどうかは個人の好み次第だけど、おかしな味になってもそれはそれで思い出になるだろう。
ただしどんな味になっても、最後まで責任を持って完食はしてもらうよ。
「それにナンも焼いたからいっぱい食べてね」
ナンは竈の強火力の方が、いい感じに焼けるからね。
「やった!」
「私、グリーンカレーは初めてかも」
「私はナン」
さくらちゃんが目を輝かせる。
それに他の子達もグリーンカレーやナンはあまり食べたことが無いらしく、興味深そうだ。
まあ確かに、カレー屋に行くか、食料品店でレトルトや冷凍食品を買わないと、あまり食べる機会はないかもねぇ。
そして昼食は好評を博し、問題無く終了した。
それじゃあ、片付けをしますか。
食器は紙製の使い捨てだが、鍋などは洗わなければならない。
「あら、調理器具を洗うのならば、私達がやりますわよ?」
「美味しい物を作ってくれたのに、片付けまでさせるのは悪いからね」
丹治易さんと頭映さんが、後片付け役を買って出てくれた。
普段は無駄な行動力だと感じるが、こういう時はありがたい。
食べるだけのさくらちゃんも、少しは見習って欲しい。
「それじゃあ、私は夕食の仕込みをするね」
「はあっ!?
今昼食を終えたばかりですわよ!?」
「でも、暗くなってからだと、灯りに蛾とかの虫が集まってくるんだよ?
料理の中に虫が飛び込むような悲劇を、経験したい?」
「あ……ああ、それは……」
「ちょっと嫌だね……」
みんなも納得してくれたれようだ。
虫が飛び交う中での食事は、私だって遠慮したい。
まあ、昼間でも蠅とかはくるんだけど、蛾の方が鱗粉を飛ばすから嫌悪感が倍増する。
それに暗くなってから後片付けの作業をするのは、ちょっと大変だしね。
「だから夕食は明るい内にするから、みんなもそのつもりでね」
「うん、3時くらいからでもいいよ」
「5時からだね」
常人はさくらちゃんみたいに、そんなすぐに空腹にはならないです。




