45 川遊び
ブックマーク、ありがとうございました。
私、倉守ゆりは、子供達の付き添いで、川へ行くことになった。
ちなみに先輩は、火を使う綺美ちゃん達を監督している。
まあ、綺美ちゃんが料理に関することでヘマをすることはまずないので、ただ見ているだけだと思うけど……。
でもあの人は綺美ちゃんを見ているだけでも幸せなんだろうから、たぶんそれで満足だろう。
で、これから行く川は、キャンプ場から徒歩5分もしないので、子供達はテントで水着に着替えて、その格好のまま川まで歩いて行く。
まあ、私は泳がないので私服のままだけど、水着の集団と一緒だとなんだか恥ずかしいな……。
というか、キャンプ場に水着の女の子がうろついているのって、結構異様な光景だよね……。
これが幼女ならまだマシなんだけど、さくらとこぶしはJKやJDに見えなくもないし、あの胡詠美って子は、大人でもあんな胸の大きな人はなかなかいないよ……。
というか、智って子以外は、全員実年齢以上に見える。
こりゃ、男性キャンプ客には目の毒で見せられないな……。
「みんな、せめてタオルか上着を羽織って!」
「え~、どうして?」
「どうしてもっ!!」
なんだか川に着く前から疲れる……。
しかも小中学生な年齢の娘達に、スタイルで負けているよね、私……。
いかん……ちょっと闇堕ちしそうだ……。
そして川に着くと、子供達の水遊びが始まった。
「あ、今カエルがいた!」
「えっ、どこですの!?
私、苦手ですわ……」
「え、美味しいデスよ?」
「「「え……?」」」
……今の子供達の会話って、こんなものなのか?
で、川の水深は深い所でも精々30~40cm程度だし、流れもそんなに速くないので、事故が起こるということはまず無いと思う。
それでも保護者役としては、目を離す訳にはいかない。
あ~締め切り明けで寝不足だから、眠たいのにぃ……。
しかも凄く暑い。
こんな炎天下の屋外で日光に炙られるって、何の罰ゲームなのだろうか。
日傘があってもキツイぞ、これ……。
救いはさくらの水着が見放題だってことだね。
これが男性ならば、無遠慮な視線を向けただけでも通報案件だけど、同性ならば保護者のフリをして──いや、実際保護者だけど、堂々と凝視できる。
しまった……ビデオカメラを持ってくれば……。
いや、さすがにヤバイかな、それは……。
それにしてもさくらは、小学生でビキニって、ちょっとエッチ過ぎじゃない?
揺れてる……凄く揺れているよ!
下手をしたらこぼれ落ちそうだ。
ポロリもあるかな!?
……って、あれ?
さっきからさくらの前にこぶしが映り込むんだけど?
ちょっと、邪魔でしょ!
さくらが見えないじゃないか!
あっ……こぶしがチラリとこちらを見て笑った。
そして私に見せつけるように、さくらと密着する。
こ、これは……偶然では……ないな?
また嫌がらせか!
なんでこぶしは、私とさくらの仲を邪魔するんだよぉ……!
結局、こぶしが邪魔で、さくらの水着姿はあまり堪能できなかったよ……。
まあ、さくらと双子のこぶしはほぼ同じ体型だから、同じように目の保養にはなるのだけど、でもそうじゃない……そうじゃないんだ……。
やっぱり好きな娘のそれとは、何かが違うのよ……。
ともかくさくらの水着姿を充分に楽しめないまま、川遊びの時間は終わってしまった。
そして川から上がってきたこぶしは、勝ち誇ったように意地悪い顔で笑う。
「ぐっ……!
な、なんで私の邪魔ばかりするのよ……!?」
「あたしはさくらを守るって、決めているし。
危険な叔母さんから守るのは当然でしょ?」
なっ!?
ただ見ているだけの私の、どこが危険だって言うのさ!?
「こぶしだって、重度のシスコンじゃん!
常に一緒にいる分、あんたの方が危険よ!!
いつもさくらと一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たりして、欲望を満たしているんでしょ!」
「叔母さんの言っていること、よく分かんなーい。
そんなの、姉妹なら普通にやっていることだし」
「ぐっ……!!
それなら、私だって叔母として、姪っ子を可愛がっているだけだし」
「じゃあ…………んで……だけなのよ?」
ん? こぶしが小さく何かを呟いた。
「えっ、何?」
「じゃあ、なんでさくらだけ可愛がって、あたしには何もしてくれないのよ!
不公平じゃん!!」
んんっ!?
あれっ、もしかしてこぶしって妬いているの!?
私がさくらばっかり構うから!?
ええっ、でもこぶしはさくらが好きで、だから私が邪魔だったんじゃ……!?
それでも姉妹で差を付けられることが、嫌だったってこと!?
まさかさくらとは姉妹愛の範囲で、本命が私ってことはないよね!?
「え……と、その……なんというか……」
こぶしに対して、なんて答えたらいいのか分からない。
そんな風に私がしどろもどろになっている隙に、こぶしは背を向けてこの場から去ろうとする。
その際に、
「……ちょろい」
と、こぶしがぼそりと呟いた。
「え、今なんて!?」
私は問い返すが、こぶしは振り向きもせず、そのままキャンプ場の方へと歩いて行った。
え……?
今の私、からかわれたの?
それともこぶしは本気だったけど、最後で照れ隠しの為にあんなこと言ったの!?
どっちなんだ、一体……。
でもこれからはこぶしにもちょっと優しくしてあげよう──と、思ってしまった私は、やっぱりちょろいのかもしれない……。




