42 郷土資料館
ブックマーク、ありがとうございました。
キャンプの計画については、ある程度固まった。
「さて……キャンプに関しての話し合いは終わったけれど、これからどうしようか?」
折角みんなで集まったのに、このまま解散というのもなんとなく勿体ないしね……。
「それならばこの図書館に併設されている、郷土資料館に行きませんか。
羽田さんにこの町を知ってもらう為にも良いかと」
「おお!」
福井さんが、いい案を出してくれた。
郷土資料館には、この百合ヶ島市の歴史に関する物が展示されている施設だ。
歴史的な文献の他に、過去に作られていた工芸品や、工事現場から出土した土器や化石なども展示されている。
ただ、子供が見学して楽しい場所かというと微妙で、私も何年か前にお母さんと一緒に見学して以来、一度も来たことがない。
そしてその時の記憶は、もう殆ど残っていなかった。
「そういえば、あたしは行ったことがないな」
「そりゃ、さくらちゃんとこぶしちゃんの家の方が、古い資料とかが残っていそうだしね……」
さくらちゃん達の実家である神社は、一説によるとここに町ができる前からあったとも言われている。
最初に聖域と呼ばれる場所があって、そこに神社が建てられ、そしてそこに参拝しに来た人々がこの土地を気に入って周囲に住み着いて、村ができたのが始まり……だとか。
あ、資料館にもそんなことが書かれたパネルが展示されていた。
凄いな、啓内家……。
マジで土地の名家じゃん。
「あれ……この刀、うちの倉で見たことがある。
貸し出していたんだ」
「あ、そういえば、あれも見たことある」
と、こぶしちゃんと、さくらちゃん。
マジで凄いな、啓内家!?
「そういうことならば、我が家も寄贈したものがありましてよ!」
「丹治易さん、そうなの?」
「ええ、こちらですわ」
丹治易さんの後に付いていくと、その先には我らが通っている学園の校舎があった。
正確にはその模型だ。
「144分の1スケール、百合ヶ島学園初等部ですわ!」
いや、144分の1スケールは適当でしょ?
それならば、もっと大きなサイズになっていると思う。
お母さんの部屋にあるガ●ダムのプラモデルを基準にすると、この数倍は大きくなるはずだ。
実際にその模型は、直径が30cm程度しかない。
「でも、これは凄く完成度が高いね……」
「でしょー!」
いや、ドヤっているけど、丹治易さんが作った訳ではないでしょ……?
だけど本当にできはいい。
私達が通っている校舎は古いので、いくつかの傷や汚れもあったりするのだが、そういうところまでもがしっかりと再現されている。
これ、引きの画の写真を、「航空写真だよ」と言われてみせられたら信じてしまいそうだ。
それに怪獣映画の背景に混じっていても、違和感が無いと思う。
「鮎ちゃんが、3日でやってくれましたわ!」
「えっ、これ頭映さんが作ったの!?」
しかも3日って……。
なにその技術力!?
「鮎ちゃんは、手先が凄く器用なのですわ」
「父さんが職人で、その真似をしていただけだよ……」
お父さんが職人って、確か丹治易商店では住み込みで働いているんだよね……?
一体どんな業務形態なんだ、丹治易商店……。
まあ、聞いたら丹治易さんが延々と自慢話をしそうなので、聞かないけれど。
ともかく土地の歴史にはさほど興味が無かったけれど、自分達と関係がある人達に由来する展示物があるのを見ると、自分達も歴史の一部だということが実感できて面白いかもしれない。
「で、羽田さんは、この町のことはよく分かった?」
「ノー、展示物の説明をしている文字が難しくて、よく分かりませんでしタ」
「あ」
そういえば日本語の読み書きは、苦手なんだっけ。
結局もう一周して、私達が説明文を読み上げて羽田さんに説明することになった。




