41 夏休みに突入
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終業式が終わり、お母さんから通信簿が渡された。
その通信簿を帰宅後に再びお母さんに渡すというのは、なかなか意味不明な儀式だと感じる。
「家庭科と国語と理科以外は微妙な成績ねぇ……。
これはもっと勉強を頑張らないと……。
いえ、私と遊ぶ時間が無くなるから、やっぱりいいわ」
「教師がそれじゃ、駄目でしょ!?」
「え? 綺美ちゃん、勉強したいの?」
信じられない、という顔をするお母さん。
おい、教師……。
「ぐっ……したくはないけど、お母さんの言う通りにしていたら、駄目人間になりそうだからするよ……」
「え~?」
これも反面教師って言うのかな……?
まあ、お母さんが意図してそれをやっている訳ではないというのが、問題だけど……。
とにかくこの夏休みはキャンプもあるし、夏休みの宿題は早めに進めておこう……。
「……って、なんだか去年よりも宿題の量が少なくなっているような気がするんだけど、まさかお母さん……」
「うん、必要最低限にしておいたわよ!」
そして「褒めて褒めて」と言わんばかりの顔である……。
「いいの、それで……?」
「うちの学校は中学受験をする人が殆どいないから、小学生最後の夏休みを楽しんだ方がいいんじゃないかしら?
勉強したい人は、自分で塾の夏期講習とかに参加するのだろうし」
そうかな……そうかも……。
「でも、宿題をする時間が減ったからって、お母さんと遊ぶかどうかは別の話だからね」
「ええっ、なんで!?」
「むしろこっちが、なんでだよ……」
お母さんは驚愕するけど、予想していて当然の答えだろうに……。
そんな感じで私は、小学生最後の夏休みに突入したのだった。
数日後、キャンプに参加する予定の子供達が図書館へ集まって、計画について話し合うことになった。
あ~、クーラーが効いていて涼しい。
「じゃあ、キャンプは来週の水曜日と木曜日でいいね」
土日はキャンプ場が混むのでそれは避けて、全員の都合を聞くとこの日が1番良さそうだ。
今日は月曜日だから1週間以上準備に時間をかけられるし、問題は無いだろう。
「委員長、テントなどはレンタルできるとしても、各自の着替えなどの荷物や食材などは、結構な荷物になるのではなくて?
私の家から車を出してもよくてよ?」
丹治易さんが珍しく建設的な発言をした。
そっかぁ……確かにあった方が便利だね。
でも、お母さんもゆりさんも免許は持っていたはずだけど、あまり運転しているところは見たことがないな……。
万が一の事故のことを考えたら、大丈夫なのだろうか?
「それは運転手付なの?」
「ええ、行き帰りに送迎してもいいですわ」
それなら問題無いか。
「うん、お母さんに聞いておくね」
「あ……車が使えるのなら、私の家にもテントや寝袋があるので、持って行った方がいいでしょうカ?
さすがに人数分はないですが、レンタル料が半分くらいにはなると思いまス。
他にも使えそうなキャンプ道具があれば、持ってきまス」
「ありがとう、羽田さん。
助かるよ」
羽田さんがありがたい提案をしてくれた。
大自然の中で動物の研究をしていたという彼女の両親が使っていたキャンプ道具なら、本格的なものが期待できそうだね。
だけどこの提案に、違う反応をする者がいた。
「じゃあ浮いたレンタル料で、買い込む食材を増やそう!」
「さくらちゃん……それは後で考えよう」
食材を増やしても、普通の人は食べきれないだろうし、大食いのさくらちゃんしか得をしないからね……。
というか食材を増やすぐらいなら、食材を高級な物にグレードアップさせた方がいいんじゃないかな。
それならばみんな公平に楽しめるし、私としても作りがいがあると思う。
まあ、お金を出すのは親達なので、その親達次第だけどさ……。




