39 夏休みの予定
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夏休みが近づいてきた7月のある日──。
「夏休みには、何処かへ行きたいね」
休み時間の時、教室でさくらちゃん達とそんな話題になった。
「さくらちゃんは、何処かへ行く予定はあるの?」
「う~ん、予定は決まってないかなぁ。
こういう休みの時って、うちの神社の参拝客が増えるから、むしろ忙しいし」
「じゃあ、うちと同じだね」
我が家でも長期休暇の時に、旅行へ行くということはあまりない。
休み中でも、お母さんには学校の仕事があるからだ。
あと、お父さんの方のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんは既に亡くなっているらしく、御盆に帰省というものをしたことがない。
それにお母さんの両親は近所にいるのだが、お母さんとは仲があまりよくないらしく、付き合いが少ない。
まあ、あのお母さんの性格を考えると、なんとなく分かる。
絶対に親の言うことを聞くような、タイプじゃないもの……。
実際、お父さんと結婚する時も、一悶着あったらしい。
それにお父さんの遺骨は我が家の仏壇のところにあるので、墓参りというものもしたことがなかった。
でもよく考えればお父さんとお母さんにも、先祖代々のお墓自体はあるはずで、そこに全くお墓参りをしていないというのも変な話だなぁ……と思うのだが、お母さんはその昔──、
「墓地には幽霊が出るでしょ!」
と大真面目な顔で言っていたので、よっぽどお化けの類いが苦手なようだ。
でもそれで墓参りしない方が罰当たりで、余っ程幽霊が出そうなんだけど……。
まあ私も鉢植えの世話があるので、長期間は家を空けられないし、そんなに遠くへ旅行をしたいとも思わないけど……。
それはともかく、他の人の予定を聞いてみよう。
「福井さんは?」
「私は家にいるのが1番落ち着くので、何処かに行きたいというのはあまりありませんねぇ。
ただもうすこし大人になったら、コミカルマーケットというのには行ってみたいですが……」
「ああ、あの漫画の祭典」
確かゆりさんがそういうのに詳しかったような……。
機会があったら、福井さんに紹介してあげようかな。
「私と鮎ちゃんは、スイスへ旅行に行きますわよ!」
……丹治易さんには聞いてないです。
でも海外へ行くって、本当にお嬢様だったの!?
こうなると、「丹治易商店」ってどんな規模のお店なのか、気になってくるな……。
……だけどおかしい。
市内に店があるはずなのに、見たことも聞いたこともない……。
まさか丹治易さん、虚言癖があったりしないよね?
「って、頭映さんも行くんだ?」
県内ならまだしも、海外まで一緒に行くって、随分家同士が親しいんじゃない?
「鮎ちゃんの家はうちの住み込みだから、家族みたいなものですわ」
「うん、もう夫婦みたいなものだよ」
「ちょっ、鮎ちゃん!?」
へ~。
でもそれって……、
「それ、ある意味社員旅行じゃん」
さくらちゃんの突っ込みが入る。
だよねぇ……。
家族旅行とかとは、ちょっと違うような気がしないでもない。
でも、何処かへ旅行に行けることだけは、ちょっと羨ましいような気もする。
「海外と言えば、羽田さんは今まで海外で暮らしていた訳だけど、何処かへ行く予定はあるの?」
「オー、海外へは、もう当分いかないと思いまス。
パパとママはある程度研究が終わったので、これからは論文や本を書くことに集中するって言ってましタ」
「へ~、さすが動物学者だね」
「だから行くとしても、市内だと思いまス。
私、この町で知らないところは、沢山ありますし」
「じゃあ、みんなで何処かに行けたらいいね」
「それでは……ゆりキャンですね」
「え?」
福井さんが、何か言い出した。




