表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/91

9-クラス委員の選出

 ブックマークや★での評価、ありがとうございました。

 自己紹介が終わったら、次はクラス委員を選ぶようだ。

 ……私は面倒くさいからパスかなぁ。

 家で色々とやることがあるしね……。


 ……この消極的な姿勢がいけなかった。

 後になって思えば、自分から少しでも楽な委員に立候補しておくべきだったのだ。


 でも他のみんなだって、似たようなことを思っていたと思う。

 実際、仕事量が多いと思われるクラス委員長と副委員長には立候補者がいなくて、なかなか決まりそうになかった。

 この学校は受験とか関係ないから、内申点とかを気にしなくていいというのもあるのだろうな。


 そこでお母さんは、強引な手段に出る。


「……どうやら立候補者がいないようなので、クラス委員長は私が指名しようと思います」


 えっ?


「珠戸さん、委員長をお願いします」


 はあっ!?

 いやいや、やらないよ!?

 なんで私が何も立候補していなかったと思うのさ?


「おか……じゃなくて、先生っ!」


 おっと、家のノリで「お母さん」と呼ぶところだった。

 誰かの「可愛い」って声が聞こえてきたけど、何を言おうとしたのかを悟られたか!?

 うう……恥ずかしい。

 ……ともかく、私は立ち上がって、異議申し立てをする。


「あのっ、なんで私が委員長に!?

 適任者なら、他にもいますよね!?」


 すると、お母さんは、


「私はクラスの担任になるのは初めてで、クラスの皆さんのことはよく分からないからですよ。

 全く知らない人を指名できないでしょ?

 だから知っている子の中から、適正のありそうな人を選んだだけです」


 ええ~っ!?

 じゃあ、昔から知っているさくらちゃんでもいいじゃない!

 ……いや、いい加減なところがあるさくらちゃんに、委員長が向いてるとは思えないけどさぁ……。


 だけど、このまま委員長を押しつけられてたまるものか。


「あ、あの、私には家の手伝いがあるので、辞退したいです」


 そう、私が家に帰れば、炊事洗濯などやることは沢山ある。

 放課後にクラス委員をやるような余裕は、全く無いはずだ。

 しかしお母さんは、


「ああ、放課後の居残りを気にしているのなら、それは大丈夫ですよ」


 と、笑顔を崩さないまま、私の辞退の申し出を却下した。


「委員長の仕事は、主に学級会の司会や授業の補佐などで、殆どの場合は授業時間や休み時間に行います。

 それに学校行事に伴う全校の委員長会議は昼休みに行われるので、放課後にはほぼ影響がありませんし、仮に行事の準備の為に放課後に残るような時も、他のクラスメイトと協力して仕事を行うことになるので、委員長だけが例外ではないのですよ。

 年に数回あるかどうかなので、そこは我慢してください」


「え……でも……その」


 いかん、いきなり辞退の理由を潰された。

 しかしやりたくないものは、やりたくないのだ。

 なんとかして、断る理由を考えなければ。


 しかし──、


「それとも、『嫌だから』以外の理由がありますか?

 特に理由が無いのなら、お願いします」


 あーっ、思いつかない!!

 そして、「嫌だから」という理由では、確実に却下される。

 というか、やっぱりお母さん、怒っているでしょ!?

 なんでこんな意地悪するの……。


「ああ、推薦したい人がいるのなら、それでもいいですけど?」


 いない……。

 このクラスにさくらちゃん以外の友達がいないことを、知っていて言ってるでしょ……。


「………………分かりました。

 やります……」


「ありがとうございます」


 結局、辞退する理由も思いつかず、私は屈服するしかなかった。

 お母さん、なんで満面の笑みなんだよ……っ!


「それでは珠戸さんは前に出てきて、まだ決まっていない副委員長の選出をしてもらいましょうか」


 うわあああああぁぁぁ~。

 面倒臭い~っ!!

 思わず頭を抱えちゃったよ……。


 でも、ここでいつまでも不貞腐れていては、クラスメイトからの印象が悪くなるだけだろう。

 私は仕方が無く、委員長の仕事を始めた。


「え~と、副委員長に立候補したい人はいますか?」


 いないだろうなぁ……。

 いたらとっくに立候補していたはずだし。

 これは私が指名する流れになるのか?

 さくらちゃんしかいないけど大丈夫?


「……わ、私、立候補します」


 ……いたし。

 どういう心変わりなのか、何故か福井蝶胡(ちょうこ)さんが副委員長に立候補してくれた。

 けど、立候補してくれるのなら、委員長の方にしてほしかったなぁ……。

 まあ、仕事がスムーズに進むのはありがたいが……。



 そして放課後、慣れないことをした私は、ぐったりとしていた。

 今まで責任のある立場になることを避けてきた私に、委員長職は荷が重いよ……。


「大変だったね、綺美……。

 おばさんは、結構強引なところがあるからなぁ……」


 私の席に来たさくらちゃんが慰めてくれたけれど、でも他人事だと思っているのか、ちょっとにやけている。

 その証拠に、


「それよりも早く帰ろうよぉ。

 家でお昼ご飯食べたい……」


 タイミング良くさくらちゃんのお腹が鳴った。

 うん、今日は給食が無いからね……。

 そして私の苦労については、もう意識の外に追いやっていると思う。


「さくらちゃん、相変わらず燃費が悪いね……」


 さくらちゃんは凄く食いしん坊で、いつもお腹を減らしている。

 目の前に食べ物があったら、いくらでも食べてしまうほどだ。

 それなのに全然太らないのだから、不思議な体質だよ……。

 

 でも、食べた栄養は身長と胸に行っているのかな……。

 私もさくらちゃんくらい食べれば……いや、子豚さんになるリスクの方が大きいな……。


「んじゃ、帰ろっか」


 と、私が帰る準備をし始めた時、私達に話しかけてくる人達がいた。


「委員長、少しよろしいかしら?」


 あ、今朝教室に入った直後に、私達の方を見て何かを話していた2人組だ。

 なんだか厄介事の予感だよ……。

 副委員長に立候補した福井蝶胡については、いずれ閑話で書きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ