【 時の為政者は猛獣使い 】(投稿作品)
OZ_PARKS
『【オズの魔法使い】をモチーフにしたアパレルショッピングのバーチャルパーク』
そんなショッピングパークがネットに登場したのは今から10年前
最初のうちは
「そんなものは今までに山ほどあるし、ほとんど失敗してるじゃ無いか?」
と業界全体から冷たい対応を取られていた時期もあった
だが意外もに独特のスタイルが大衆に受け入れられた
アパレル業界特有の裏表、建前と本音のエグいコアな部分にメスを入れるような斬新な改革案を組み込んだ戦略が、ズバズバと面白いように当たったのも、彼らの運の良さを認識させた
本当なら一周遅れのランナーが、偶然、周回遅れになりそうなシーンを写真に切り取れば、まるでトップ集団がゴール前のデッドヒートの駆け引きを演じているかのような
カリスマ代表者が仕掛けた奇抜なオーダーメイド戦略も多いに大衆に受け入れられた
見るからに、チビでダサめな彼の語る垢抜け無い朴訥な大言壮語な野望論、それが逆に今の若者代弁者であるかのように
「親しみ易さ」 と勘違いさせたのも分からない
ともあれ、彼が代表を勤めるアパレルショッピングネットの販売会社は爆発的成長を遂げて行った
そして今や若者のアパレルネットショッピング事情は『オズパーク』が代名詞になるほどのブレイクをした
今や、旬の芸能人との熱い交際さえ隠さない彼の成功を羨ましく思わ無い者はいないかも知れない
ただ彼が名付けた『オズバーク』の真の意味を知る者は彼自身しかいないかも知れない
「所詮、馬鹿な大衆など動物園の見世物だ、会社名の本当の意味はOZじゃねえ、ZOOだ、まったく頭の悪い奴らは俺、みたいな利口なカリスマに搾取されて守られているのが幸せなのさ」
ここは海に近い埋め立て地
深夜の高層ビル最上階の社長室で彼の呟きは闇に紛れていく




