表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半妖精の錬金術師ですが、どうやら義弟が運命のツガイのようです。  作者: ぷり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/90

63 就任、そして婚約のご挨拶

 

 私達が会場に着くと、談笑しながらお待ちいただいていた来賓の方々が、静まり、私達に注目した。


「おまたせ致しました。いまからご挨拶を申し上げます」


 リオネルが、風魔法を使って自分の声が会場の隅々まで届くようにして、第一声して始まりを告げる。


 心の準備を整える間もなく、二人で壇上に上がると――さらに視線が集中する。


 うわあ、とても緊張する。


「皆様、グラスは行き渡りましたでしょうか」


 リオネルが会場を見渡しながら笑顔を浮かべる。

 その姿は、いつも見慣れている姿とは違い、領主としての落ち着きと風格を感じた。

 胸の奥に、静かな驚きが広がる。


 ――ちょっと、知らない男性ひとみたいだ。


 普段の姿とギャップを感じて、見惚れる。


 いけない、しっかりしないと。

 

 しかし。私は黙って横で微笑んでればいいけど、リオネルは大変だなぁ。


「本日は、私、リオネル=リシュパンの伯爵就任を祝うこの場にお集まりいただき、心より感謝申し上げます。国王より賜ったこの地の繁栄をさらに発展させるべく、皆様のお力を借りながら全力で努める所存です。――そして、ここで皆様にご報告がございます」


 リオネルが一瞬、私を見て、私も彼を見上げて微笑み合う。そして彼は、再び会場へと目を向けた。


「私とここにいる姉、マルリースですが、婚約いたしました。血の繋がりこそありませんが、長年共に育ち、彼女は私の人生において欠かせない存在です。共に歩むことが私の望みであり、決意でもあります。皆様、どうか温かい目で私たちを見守っていただければ幸いです」


 私達にたくさんの視線が集中していて、なんか恥ずかしい。

 前の婚約発表パーティの時は、心持ちが違う。

 こ、こんなこと……なんでもなかったのに。


 相手に気持ちがあるのとないのとで、全然違うんだなあ。

 なんていうか……嬉しい。


「これからは将来の妻・マルリース、そして皆様と共にこの領地の未来を築き、繁栄へと導いていくことを誓い、この杯を掲げます。シルヴァレイクの発展と、皆様の幸せを祈って――乾杯!」


 将来の妻……なんだかくすぐったい。


 私、本当にリオネルと結婚するんだなぁ。

 現実のような気がしないのは、壇上に上がって緊張してるせいだろうか、それとも幸せでフワフワしているせいだろうか。

 

「乾杯!!」


 会場が乾杯に沸く。


 私にとって、一番大事なパートが終わった。

 私は立ってただけだけど!!


 あとは個々で会話したり、ダンスしたり、食事したりのフリータイムだ。


 壇上から降りてリオネルに、私からもおめでとうを伝える。


「リオネル、おめでとう。立派だったよー」

「ありがとう、マルリース。さて、今度は個別の挨拶まわりだよ~」

「ああ、そうだった! 忘れてた。食事に行くところだった!」

「ふふふ」

 

 音楽も始まり、早速踊り始める人達もいる。

 歓談している来賓客のところへ行き、挨拶して回る。


 ほとんどのお客さまが、リオネルが剣聖の称号を得た時の、ウィルフレドさんとの試合の話を聞きたがった。

 あとは、王家やその他上位貴族の縁談を断った話とか。


「いえ、本当にギリギリでだったので。おまけで勝たせてもらったようなものですよ」


 また、リオネルに対して、貴婦人たちからのダンスの申し込みが殺到。

 私という婚約者が目の前にいるっていうのにー!!


 キラキラ王子の前では、そんな遠慮は吹っ飛ぶようだ。

 まあ、これは仕方ない。

 リオネル格好いいから。うん、格好いいからしかたないな。


 でも……これは他のパーティでも、私、ヤキモチ焼いてしまいそうだなぁ。


 わ、私のツガイが私以外と踊るなどー!


 くう、我慢我慢。忍耐だ。

 

「リオネル、一度私達踊ってこようか。そうしないと令嬢たちのダンスの申し込み受けられないでしょ」


 1番に踊るのは婚約者や配偶者でなければならないという、謎の暗黙ルールが貴族の世界にはある。

 なので、私達が早く踊らないと、主賓としての勤めがですね。


「駄目。まだ踊らない」

「え、なんで」


「マルリース。気づいてる? マルリースと踊りたそうにしてる令息がチラホラいるの」

「へ? でもそんなものじゃないの?」

「駄目だよ。……前の婚約者はひょっとしてマルリースのこと放置してたの?」

「放置? よくわからないけど。クレマンと踊ったあとは適当に誰かと踊ってたよ」


 リオネルが額を抑えた。


「……やっぱり、まだ踊らない。この無自覚美人め……」

「何を言ってるの。令嬢ってそんなもんでしょ?」


「マルリース……」

「!? リオネル、なんで怒ってるの!?」


「僕以外と踊ったら許さないからね……」

「なぜそんな、ドス低い声を!? 招待客に求められて踊らないとか失礼では!?」


「駄目ったら駄目。踊ったら許さないからね」


 ……な、なんなんだ。

 たまにリオネルのほうが、ツガイ級に執着をしている気がする。

 でも、そのふてくされた顔は可愛いな!


「しょ、しょうがないな。わかったよ」


 とは言ったものの。

 やはり、主賓としてはサービスもしなくてはならない。


 そ・し・て。


「今日だけ、今日だけだからね!?」


 自分以外と踊るなと言ったリオネル本人が、貴婦人たちの群れにさらわれていった……。

 私と一度踊ったあとではあるけれど。

 

 ただ、たくさん群がってくるぶん、踊ると良くない相手……未婚の令嬢などは逆に断りやすいようだった。

 既婚女性とばかり踊っている。


 ……それでも、やはり、嫌だ。

 ……私のツガイがー!! 私のツガイ持ってくなぁああ!! 取り返したい!!


「くぅ……っ」


 しかし、ここは妖精ルールを発動してはならない場所だ。そして私達は主賓だ。サービス提供側だ。

 我慢しよう。我慢……!



お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


同作者のマイページ(20作品以上!)
☆☆■こちらマイページです■ ☆☆
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ