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私、みみっちい仕返しをいたします  作者: 明。
番外・マカラ編
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いろんな意味で怖かった

 いつものようにイチャイチャして眠りにつく。夜中…いわゆる草木も眠る丑三つ時にマカラちゃんが動いた。最近どうも眠たいと思ったら、軽い睡眠薬が食事に混ぜられていたらしい。あの男に色々されたせいで大半の薬物に耐性があるので、効きが悪かったらしい。それでも多少とはいえ効果があるモノを調合しちゃう辺り、流石はマカラちゃんとしか言いようがない。


「…行ったね」


 マカラちゃんが出ていったのを確認してから音をたてないようにゆっくりと起きあがり、あらかじめ用意していた魔具を身に付ける。フードつきのマントには消音・隠蔽・結界無効の術式が刺繍されている。つまり、歩いたりドアを開けたり何かにつまずいても音がせず、姿も見えない。結界もすり抜けちゃう優れものだ。さらに集音…つまり盗み聞き機能もあり。クレストさんに絶対に市販はするなよ!でも諜報部で使うから何枚か作ってくれと言われました。お仕事ゲット!どこにビジネスチャンスがあるかわからないものだね。


 マカラちゃんは屋敷の近くにある森へ入った。踏み入れた途端にわきあがるようなこの感覚…覚えがある。神隠し…神が住む異界に招かれた時と同じ感覚だ。


 そこには、懐かしい魔力と気配。清廉な空気、注連縄、鳥居……ああ、僕がかつて過ごしていたあの神社だ。いつの間にか涙がこぼれていた。


 いけない。感傷にひたっている場合じゃない。マカラちゃんを見失わないようにしなきゃ。マカラちゃんの後をおいかける。マカラちゃんは、神社の御神木前で立ち止まった。


 何やら荷物を置いて、お社に入り戻ってきた。それは、漫画で見かけた事のある姿だが現実で見ることはなかったもの。一目でその目的が知れるほど、日本ではポピュラーな姿だった。


 真っ白な単衣の着物を着て、髪は結わずに乱れた状態。足元は一本歯の下駄。頭には鉄環。そこへ鬼の角を模したかのようなロウソクが3本。胸元には魔除けの鏡をぶら下げ、懐には護り刀かな?口には櫛をくわえている。さらに、顔全体におしろい?歯は鉄漿おはぐろで染められ、唇には赤い口紅。手には金槌と藁人形と五寸釘。賢明な皆様にもご理解いただけたかと思います。

※リヒャルトは混乱している。






 まさかの超本格的な丑の刻参りスタイルでキタアアアアアアアアアアアアア!!






 あ、でもコレ確か誰かに見られたら無効なんだよね。いや、そういう問題じゃないか。ええええ…操られたりしてる様子はない。そもそもうちのマカラちゃんには夢魔さんという超高位の悪魔さんが憑いて…じゃなかった、ついてるから大丈夫なはず。視る限り、そういった術式もない。


「よく来たな、娘」

「相変わらず、禍々しい魔力だな」


 そしてマカラちゃんを出迎えた二人?を、全力で叱るのだった。


「湊様!白雪!マカラちゃんにナニをさせてるんですかああああああああああ!!」


 マントを脱ぎ捨て、神とその眷族に怒鳴りつけた。不敬だとかもうどうでもいい。ダメなことはダメええぇ!!


「リヒャルト!?」


 驚くマカラちゃんだが、とりあえず今は放置!湊様達によぉぉく話しておかないと!


「湊様、白雪、そこに座りなさい」


「利人…いや、リヒャルト」

「名前なんてどうでもいいです。座りなさい」


「「は、はい……」」


 素直に座る二人。まあ、白雪は蛇だからとぐろを巻いてるだけだけど。湊様は半竜形態だからちゃんと地面に座っています。


「いいですか!神様が呪詛に手を貸すってどういうことですか!?もしうっかり湊様が穢れたら、僕が泣きます!「いや、水神だから自浄できるし多少なら大丈夫「大丈夫じゃありません!号泣です!僕が泣きます。超泣きます!!神様なんだから知ってるでしょ!?人を呪って良いことなんてひとっっつもありません!!自分も穢れて堕ちるだけです。それを僕の世界一大事な妻にさせるってどういうことですか!?彼女が穢れて死んだら、僕は泣いて泣いて泣いてやつれて自殺しますよ!!いいんですか!?本気で死にますからね!!間接的に湊様達が僕を殺したことになりますよ!いいんですね!?湊様達は僕がそんなに嫌いなんですね!?」


「り、リヒャルト…悪かった」

「すまない……」


 二人?はこれでよし!

 キッとマカラちゃんを睨む。僕の言葉が足りなかった。今が話すべき時だろう。


「マカラちゃん、お願いがあるんだけど」


「え?ええ……」


「呪術はもう使わないで。解呪や研究はしてもいい。ただし、もう『仕事』で使うのはやめて」


「……………知っていたのね?」


 マカラちゃんはどこか疲れたような…諦めたような表情をしていた。


「うん。といっても、お義父様が教えてくれたんだけど。僕も手伝うから、違う方法にしようよ」


「……え?」


「やり方は呪殺以外にもあるでしょ?難しいけど、原因を除去しちゃえばいいんだ。手伝うよ。だから、もうしないでいいんだ。ううん、やめよう」


「…………………うん」


 マカラちゃんは静かに頷いた。手から落ちた藁人形を手に取る。そこに僕の矢を突き立てた。黒い魔力が霧散する。あの男への呪詛だったらしい。


「帰ろう」


「うん!」


 最愛の妻は浮気ではなく夜な夜な呪詛をしていました。なんというか……マカラちゃんらしいです。

普段温厚な人ほど、キレると誰も逆らえません。リヒャルト最強説が急浮上です。

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