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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1297/1303

1297. 18階の魔物討伐(19)

「おお~~!

 イチゴのショートケーキ!!!

 招いてくれてありがとう!!

 これは人気だから16階まで下りて自分でイチゴを採取してこないと中々買えないんだ!」

 お茶に呼んだアーシャが、ティーポットや他諸々と一緒に出てきたショートケーキを見て歓声を上げた。


「ここ数日は俺の持久力アップのために毎回1時間16階で走り込みをやっていて、その間にデヴリンがイチゴ狩りをしているからそれなりに採取量が多いと思うぞ?」

 だから自分でイチゴを採りに行かなくてもイチゴ系のデザートを買える可能性はそれなりにあると思われるが。


「迷宮内での走り込みねぇ。

 学生の頃や騎士団に入ってすぐのペーペーの頃は8階で良く走り込みをしていたが、16階というのは盲点だったな。

 走って疲れたら休憩がわりにイチゴを集めるなんて、理想的じゃないか!

 今度体が鈍った感じがしたら是非それを真似させて貰うよ」

 アーシャが笑いながら言った。


「ベテラン騎士でも走り込みなんてするのか?」

 隆一としては基礎体力が上がったらあとは武器を振り回して戦う鍛錬をしているイメージを持っていたのだが。


「そりゃあ、当然。

 戦う時の体力と持久力は瞬発力的な面が強いからね。

 遠征なんかで長時間移動する羽目になる場合の持久力とはタイプが違う。

 定期的に重装備と食料や消耗品を担いで早歩きや持久走をやっているし、その際に倒れないように個々でも走り込みはやっている」

 蕩けそうな目で、切り分けられるショートケーキを見ながらアーシャが答えた。


「へぇぇ。

 走り込みは自己責任的なトレーニングなのか?

 だったら16階で走ってイチゴを途中や最後に集めるのもありかもだな」

 あまり騎士団の人間に16階に来て隆一がひーひー言いながら走っている所を見られたくはないが。


「まあ、要検討というところだな。

 頂きます!」

 アリスナに仕込まれた隆一が3分待った紅茶をカップに注いで渡した。

 それを受け取ったアーシャが早速一口飲んだ後、ショートケーキの皿へ手を伸ばす。


「ちなみに18階のアーミーアントの群れって騎士だったら一人で殲滅できるものなのか?」

 自分のショートケーキに手を伸ばしながらふと隆一が尋ねた。

 元々、探索と言うのは一人でやるものではない。

 特に魔術師系は盾役がいるのが一般的には前提条件として考えられているが、もしかしてフリオスのような魔術師系の騎士だったら一人であの群れを殲滅できるのだろうか?


「魔術師系だったら近づかれる前なら遠距離で範囲攻撃魔術を叩き込んで一撃か2撃で終わりかな?

 接近されるのに何らかの理由で気付かなかったら結界を張ってちみちみやることになるから、微妙だな。

 近距離戦闘タイプはベテランだったら魔術師の範囲攻撃よりは時間が掛かるが、一人で何とでもなるね。

 新米だったら……出来るのと出来ないのとがいるかも?」

 じっくり時間をかけてショートケーキを一口ずつ味わっていたアーシャが合間に答える。


 魔術師系は『遠距離で範囲攻撃』が群れる魔物と対戦するときのデフォルトらしい。

 それに失敗したら結界を張ってちみちみやる、と。

 隆一の場合は結界の代わりが足止め用魔道具になる。

 自力で結界を張れなくはないが、そうすると攻撃魔術を放つのはかなり厳しくなるのだ。


「俺だと結界を張って更に攻撃魔術を放つのって難しいんだが、魔術師のギフトを持っているとそういうのも簡単に出来るのか?」

 マルチタスク的に魔力を使うのが苦にならないのだとしたら、何とも羨ましい話だ。


 まあ、隆一だって魔法陣が読み取れたり、菌を好きなように調整出来たりと十分チートなスキルはゲットしているが。

 迷宮探索はあまり神の想定にはなかったのか、そちらに向いたスキルはあまりないのだ。


「魔術師のギフトがあると一気に放出する魔力の出力を上げやすいってだけで、一度に複数のことが出来るようになるのは鍛錬の結果だって話だね。

 だから魔術師のギフトがあると羨ましいですね~なんていうと、ものすごい勢いで言い負かされる羽目になる。

 まあ、流石にリュウイチ相手だったらそこまで苛烈に反撃しないだろうが」

 苦笑しながらアーシャが言った。

 どうやら鍛錬の結果を『ギフトがあると羨ましいですね』的な安易なコメントで流すのは嫌がられるらしい。


 確かに、隆一だってそれなりに頑張ってきたのに『招かれ人は色々と出来るように調整されてこちらに来るんですから、楽でいいですよね~』なんて言われたらかなりむかつくだろう。

 実際に召喚された際の神の調整という面もあるが、それなりに頑張って鍛錬してきたのだ。

 特にここ数日は。

 走り込みと言うのはインドア頭脳派な隆一としてはかなりきつい鍛錬なので、それを無視した言動は許しがたく感じるだろう。


「そういえば、魔術師も走り込みするのか?」

 やる、とどこかで聞いた気もするが。


「ああ。

 魔術師はこっそり身体能力増強とか、風での推進力アップとか色々ずるをするんだ。だから少なくとも指定距離を走り終えた時にちゃんと攻撃魔術を放てるようにならないと更なる走り込みをやる羽目になるんで、毎年新米騎士が配置される時期になると中々笑えるんだ」

 アーシャが暴露した。


 なるほど。

 身体能力増強の術を走りながら掛けるのはイマイチ難しそうだが、考えてみたら足の筋肉を増やすとか、疲労時に何が筋肉から減り、蓄積されるかをじっくり鑑定で見極めて、それを元に戻すような回復ヒールっぽい術を使えないか、今度実験してみてもいいかも知れない。


 ずるをする気はないが、折角貰ったスキルで何か近道が出来るなら、ショートカットは活用するべきだろう。



新たな実験対象?

自分で走るとなるとかなりハードそうですがw

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― 新着の感想 ―
日本式ショートケーキは偉大な発明ですよね たまに無性に食べたくなります
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