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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1291/1303

1291.18階の魔物討伐(13)

 なんとか(と言うか隆一が飛行型運搬具(リヤカー)に乗ってからは余裕だったが)アーミーアントから逃げ切り、適当に18階を歩き回ってオーガとポイズンスライム探知の鍛錬をしばらく続けて3時ぐらいに隆一達は探索を終えた。タルニーナに予約しておいたショートケーキを隆一邸の皆で楽しんだ後、隆一は実験室に戻ってキャリーケースとしても使える背負子の制作を手掛けてみることに。


 取り敢えずまずは背負子を作り、それに半重力魔法陣を付けた上でキャリーケースとしても使えるように変形させればいいだろうと、実験室の椅子の座面及び背もたれと同じような形の枠を作り、自分が座った際に横へ滑り落ちないように肘掛け的な部分も付け加え、裏側に背負うベルトを付けてみた。


 実際には半重力魔法陣で重さをほぼ消すつもりなので背負う時の負担はほぼない筈だが、動きにくかったりしたら面倒だし、長時間運ぶ羽目になって魔石が枯渇したり、半重力魔法陣が破損した時のこと等を考えて一応背負い難さや重さの負荷のかかり方を確認するために、30キロほどのインゴットを縛り付けて背負ってみた。


「胸と腰のあたりにベルトで背負う人間側にも固定できる方が良いかな」

 登山用の本格的なバックパックの形を思い浮かべてみると、確かあれは背負うベルトだけでなく腰と胸辺りでも留められるようになっていた。

 多分ああする方が負担が少ないのだろう。

 腰の所はぴっちり締められるようにして、重さが肩だけに掛からないようにする方が良いだろうし。


「後は……普段はキャリーケースとして使うなら下に車輪を付けなきゃだが、人間が座る時に転がってずれられたら困るな」

 車輪が外れるようにするのは無くしそうだし、弱くなりそうだ。

 それよりはどうせ斜めに引っ張ると想定して、体に近い側は車輪、前方側はストッパーみたいな箱を付けておけば、真っすぐに地面に置いた際には動き出さないだろう。


 座りやすいかを試すために、運搬具リヤカーの車輪と同じものを固定して、ストッパーの箱を前に付けた背負子のフレームの上に座ってみた。

 が。

「うわ、座りにくい!」

 地面から10センチ弱の高さに座るというのはかなりやり難い。

 しかも、これに人間が座った状態で持ち上げるとなったら半重力魔法陣無しだったらぎっくり腰一直線になりそうだ。

 デヴリンやダルディールだったら何とかなるだろうが、少なくとも隆一が誰かを助けなければならないなんて状況になった場合、例え子供や女性だとしても数十キロの重さの人間が座った状態でこの背負子を背負って立ち上がれるとは思えない。


 まあ、考えてみたら半重力魔法陣が壊れている状態だったら隆一が誰かを運んで歩ける距離も時間もたかが知れているので、あまり考えなくてもいいかも知れないが。


 取り敢えず、普通に使い勝手が良い様にもう少し座面部分を高くした方が良いだろう。

 とは言え、臀部まで背負子の一部が来ていると歩いている際に邪魔になりかねない。

 腰の少し下ぐらいまでが限度だと考えると、座る部分を少し上に設置するしかないか。


 邪魔になり難い様に背中側フレームの下面横側に20センチ程度の四角を二つ両側に付け、背中近くに車輪を付けておく。

 そして座席の前側に30センチの四角いフレームを付けて足止め用にした。

 座面の下に半重力魔法陣をと動力源の魔石を繋いだ箱を設置し、オン・オフは横のスイッチから簡単に出来るようにした。


「よし。

 ちょっとここに座っていてくれ」

 隆一がエフゲルトに頼んだ。

 流石に隆一が座ってエフゲルトに隆一を背負わせる訳にはいかない。

 重さをほぼ消すとは言え、バランスとかの取りにくさだってあるかも知れないので、やはりここは片足義足なエフゲルトではなく、隆一が試すべきだろう。


「ええ??

 リュウイチ殿が持ち上げるんですか?

 ヴェルタン殿にでも頼んだらどうです?」

 エフゲルトが微妙そうな顔をして後ずさった。


「まあ、最終的には俺が座っている状態でヴェルタンに俺を持ち運んでもらうが、初期のテストは自分で使い勝手を実感したいからな。

 殆ど感じないぐらいまで重さを軽減するから、単に藁人形を載せているのとほぼ同じ感覚になると思うから協力してくれ」

 何といっても隆一邸に藁人形なんぞないのだ。

 一応飛行具の安全装置の落下実験などに使った陶製の人形は幾つかまだ残っているが、あれを使うよりもここにいる助手を使う方が手っ取り早いし、座る人間側の居心地の悪さや問題点も口に出して言って貰える。


「もしもザファード殿に見られたら、怒られるのは代わって下さいよ?」

 嫌そうに言いながらエフゲルトが試作品の座面部分に座り、自分を背負子へ固定するベルトを締めた。


「どんな感じだ?」

「固いですね。

 平らな板ですし、長時間座っていたら尾てい骨が痛くなるかも」

 エフゲルトがちょっと居心地悪そうに身じろぎしながら言った。


「板じゃなくて網っぽい棒を繋いだ形にした方が軽いし座り心地も良いかな?

 若しくは実際に木の板を使うか。

 いや、いっそ折り畳みの椅子の座席部分を利用してもいいか」

 ちょっと高級な素材を使っているが、あれは確実に破れないし。

 予備の椅子の座席部分をこちらに流用しようと探し始める隆一だった。




雇い主に背負われるのって見習い的な助手には居心地悪そうw

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