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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1283/1303

1283.18階の魔物討伐(5)

 アーミーアントの群れの解体を終えたところでそれなりの時間になっていたし、隆一も疲れを感じていた。馴染みのない魔物相手に実質初めての戦闘を繰り返したのだ。魔力がかなり減っただけでなく、精神的にも疲労していた。

「今日はこれまでにしよう。

 明日は……低圧洗浄機モドキを運搬具リヤカーに載せて来ても良いかな?

 俺が実際に外でアーミーアントの群れに遭遇するような状況になるとは思いにくいが、一応開発者として実戦で一度は使ってみたい」

 デヴリンとダルディールを見ながら確認する。


 低圧洗浄機モドキがあったら隆一でも盾役一人がいれば群れ全部と戦えるか、試してみたいところだ。

 ダルディールはそこら辺にいる探索者とはレベルが違うので一般的な状況とはちょっと違うだろうが、一応多少は使い勝手に関する参考にはなるだろう。


「まあ、ここで試す分には良いんじゃないか?

 将来飛行具で出かけることになった際に持ち歩く意味があるかどうかは微妙な気がするが。

 あの飛行具の外装ってアーミーアントの攻撃に耐えられる筈だし」

 デヴリンが肩を竦めながら言った。


「え、俺はアーミーアントに噛みつかせるとかいう実験はしていないが。

 騎士団の方でやっているのか?」

 一応隆一の開発した飛行具の発展形として騎士団の小型飛行機を開発しているとは聞いてるが、外装がそのままではないだろう。

 軍用と隆一個人の飛行具では求められる機能が違うのだし。


「隆一があれで飛び回るという想定で、どんな襲撃や事故にあった際にあれの中で安全かというテストを色々とやっているらしいぜ?

 アーミーアントの巣の上に不時着しちまうなんていう状況も一応想定して、中に籠っていれば安全なのかも調べている。

 森なんかの上で不具合が起きた時に、開けた場所に降りたら湖や沼みたいなところで水没するか、アーミーアントの巣の上だったなんてことがあるからな。

 まあ、今までは飛竜乗りがそういう被害にあっているだけで、飛行具はこれから色々と事故が起きて知見が増えていくんだろうが」

 デヴリンが教えてくれた。


 なるほど。

 森の中で不自然に開けている場所は、何かの巣だったり、沼っぽいところな可能性が高いのか。

 態々木を倒してしまうなんて巣の秘匿性を損ねてダメな気がするが、根が邪魔だからとそれをブチブチ食いちぎっているうちに木が枯れてしまうのかも知れない。


 まあ、どちらにせよ。

 アーミーアントの巣の上に落ちても飛行具がなんとか耐えられるというのはいい知らせだ。

 ずっと延々と襲われ続けた場合でも耐久度がもつのかは微妙に不明だが、そうなっても外装が破壊される前に修理が終わると期待しておこう。

 魔石が切れている場合は、いくら待っても隆一の魔力を注ぎ込んでアーミーアントの群れのテリトリーから離れられるほど飛べるかは微妙な気もするが。


 まあ、どうしようもなる前に救助が来ると期待しておこう。

 隆一が一人で飛行具に乗って出歩ける時が来る可能性はかなり低そうだし。


 25階の宝箱探索が出来るように取り敢えず今は鍛錬を重ね、それが終わってから国内飛行は希望を出していく形になるだろう。


「そんじゃあまあ、取り敢えずちょっと浮かんで現在地を確認しようか」

 運搬具リヤカーに乗り込みながら隆一が言った。


「私が肩車してもいいぞ?」

 ダルディールが提案する。


「高さ的にはダルディールに肩車してもらって見回すのと大して差がないと思うが、この年齢で肩車してもらうって言うのはちょっと微妙なんでね。

 まずはこれで浮かんでみるよ」

 苦笑しながら隆一が断る。

 迷宮の階層の天井の高さは階によって違うが、ここはオーガがジャンプしながら棍棒を振り回しても問題がない程度な可能性が高い。

 なのでダルディールに肩車された高さでも飛行型運搬具(リヤカー)で上がれる限界とそれ程違いはないだろうが、ちょっと微妙だし、周囲を見回す際のバランスのとり方なんかも考えると運搬具リヤカーの方が良いだろう。


 という事で、妖精の手(ブラウニーズヘルプ)にがっつり魔力を注いで運搬具リヤカーを浮かせる。

 周囲の地形を把握し、目隠しをした後に歩き回りながら戦った魔物のテリトリーを思い出しながら18階のマップと重ねたら、直ぐに自分たちの現在地が分かった。

「うっし、17階への階段はあっちだ」

 運搬具リヤカーを下ろして重量軽減だけ魔力を流し、階段へ向けて歩き始める。


 今日はオーガとアーミーアント魔石と外殻しか剥ぎ取りしていないので、そこそこ軽い、

 アーミーアントの外殻はそれなりにかさばっているのだが、軽いのだ。

「そういえばあの低圧洗浄機モドキのテストでアーミーアントが討伐されまくっているから、外殻の買取価格は下がっているのか?」

 ふと思いついてダルディールに尋ねる。

 数が多いだけに、アーミーアントの解体はそれなりに面倒になってきたのだが。


「いや、アーミーアントの外殻の需要はそれなりにあるし、値崩れする程とれたら数か月倉庫に保管しても劣化しないからな。

 大丈夫だ」

 ダルディールが応じた。


 どうやら明日もアーミーアントの解体はさぼれないらしい。





『大丈夫』は語弊があるかもw

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― 新着の感想 ―
万が一の事を考えると 手軽に持ち歩けて威力が凶悪な化学兵器も こっそり準備しておいた方が良いかも
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