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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1267.蟻対策:魔力(6)

 創水クリエイトウォーターの魔法陣をじっくりと読み込む。

「ここが水分を呼び込む範囲の指定。

 こちらが生き物から水分を奪い取らない排除指定。

 で、ここが出す水の量の制限と……場所か」

 紙に描き出した魔法陣に赤ペンでざっと丸を付けながら魔法陣の内容を分解していく。


「凄いですね、初めて見る魔法陣なのに、さらっと目を通すだけで分かるんですか??」

 エフゲルトが感心してコメントする。

 そういえば、こちらの世界では魔法陣は基本的に魔力を通して何が起きるかを観察することで中身を把握することが多いのだった。

 良く知られている紋様は何を意味するか解明されているものも多いが、どうやら創水クリエイトウォーターはそこまで研究されていないらしい。

 まあ、エフゲルトが知る範囲ではなのかもだが。


「異世界言語理解は魔法陣の紋様にも及ぶんだよ。

 便利だろ?」

 それこそ日本語だってこちらの人間にとっては魔法陣の紋様と同じぐらい理解を超えるぐにゃぐにゃな線の集まりだろう。

 そう考えると、魔法陣の紋様の意味が異世界言語理解で翻訳されても不思議はない。

 非常に便利だが。

 どうせなら異世界言語理解を使って魔法陣の紋様の辞書を作るべきなのではという気もしないでもないが、魔法陣は誰も彼もが理解して利用できるようになると危険な武器として利用される可能性も高い。

 あまり安易に魔法陣を大衆が簡単に改造して使える道具としない方が良いのかもとも思える。

 少なくとも、今までの招かれ人が辞書を作らなかった、もしくは作った辞書が歴史の中で失われてきたことを考えると、手を出さない方が無難な可能性は高そうだ。

 面倒でもあるし。

 それよりは、日本語で魔法陣を作れないか実験する方が面白いかも。

 『火』を火、炎、焔などと言った漢字で変えたり、他にも動詞や形容詞も漢字一文字で色々と置き換えは出来そうだ。ただ、魔法陣の紋様は魔法の行使に特化した言語であり、日本語で書き換える方が文字数が減るとは限らない。どうせ魔法陣をこちらの人間は読み解けない事を考えると、態々魔法陣に日本語を使ったところで機密性が大幅に向上する訳でもないので、自己満足の世界になりそうな気もする。


「凄いですねぇ」

 エフゲルトが慌ててノートに魔法陣の大雑把な形を書き、隆一の赤丸とコメントした内容を書き写しながら言った。


「神の奇跡ってやつだな。

 さて。

 魔法陣から直接勢いよく水を出すのはちょっと難しいかな?

 ホースを繋いだ適当な容器の中に水を作り出して、風でも入れる形で圧力をかけて水をホースから出す形にするか」

 シャワー的に水を細いスプレーにして広い範囲をカバーできるようにするべきか、水の量を多めにして物量で魔力とフェロモンを洗い流す形にするのが良いのか。

 どちらもやってみなければ分からないが、一応まずは魔力を上書きするのにどちらがいいのか、実験してみるべきだろう。


「出来るだけ軽いバケツが良さげだから……これでいいか」

 実験室の掃除道具がしまってある棚の扉を開き、そこに入っていたバケツを取りだす。

 どうせ水掃除用のバケツやモップなんて殆ど使わないのだ。

 この実験が終わるまで、バケツを流用しても構わないだろう。

「ホースは庭だったな……あっちは流石になくなったら困るかもだから、スライムジェルを錬金して作るか」

 スライムジェルの箱が入っている引き出しを開きながら隆一が呟く。


「バケツとホースをちょっと買ってきましょうか?

 安いですし、普通の一般用の品で大丈夫なのか、確認した方が良いかも知れませんよね?」

 エフゲルトがそっと提案してきた。

 確かに、魔法陣だけ提供して残りは工房に任せるのだったら、バケツやホースが特別製の方が良いか否か、はっきりさせておく方が無難だろう。

 隆一が錬金したホースでやれば大丈夫なのに、一般的に売られているホースだと魔力が抜けるとか何かの理由で効果が下がるのだったら現時点で知っておく必要がある。


「じゃあ、頼むよ」

 その間に隆一は水を噴射させるための空圧を足す魔法陣と、それのコントロール機能を考えておけばいいだろう。




日本語ってきっちり全ての要素を定義づけるのには向いていない気も?

主語が抜けても大丈夫な事が多い言語ですからね〜

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― 新着の感想 ―
日本語の良さは曖昧な思いを曖昧なまま伝えられることかも知れませんね 思いは言葉にした瞬間に変質してしまいますから
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