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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1261/1303

1261.蟻対策?

「ちなみに、今日は久しぶりに会う為だけにアフタヌーンティーを準備して招待してくれたの?」

 器用度アップの食材があるかの確認に関してちょっと話し合った後、煌姫がケーキのお代わりに手を出しながら聞いてきた。

 これで3切れ目なのだが、アフタヌーンティーのスタンドにあった他の料理もそこそこ食べていたのに大丈夫なのだろうか?

 此方に来て体の年齢もリセットされたのか、隆一も20代前半ぐらいの頃の様に脂身の多い肉やクリームたっぷりなデザートを大量に食べても胸やけしないようになったが、それでも新陳代謝は普通の人間の範疇だろう。

 多分。

 だからケーキをドカ食いしたらやはり太るし吹き出物が出そうなものだが。

 いや、それもがっつり魔力を使えば大丈夫なのだろうか?

 魔術を使いまくれば太らないというのは女性探索者や魔術師の常識らしいが、職人がスキルで魔力を使いまくっても同じ現象が起きるのかも知れない。


 隆一はそれを口に出して本人に聞くほど身の程知らずではないが。

 誰に聞いたら答えを知っていて、聞いても怒らせないかは微妙に不明だ。まあ、特に知らねばならない情報でもないか。

 それはさておき。

「ああ。そういえば、18階では蟻系魔物の群れが出てきて、中々それのマーキングとかで面白いことが分かったんだ。

 蟻系の魔物って一度接敵するとフェロモンを噴き付けて執拗に追って来るらしくて、うっかり行商人や新米探索者が村に逃げ込んだりすると村が群れに襲われる事態になるらしくてね。

 どうやったらフェロモンが残っているか確認できるかを色々と試したんだが、今度はそのフェロモンをどうやって消せるかの実験をしてみようと思っている。

 で、この際ついでに煌姫が日本で蟻退治の殺虫剤とか虫除けスプレーみたいな物の含有物について何か知らないかと思って、久しぶりに会って近況を尋ねるついでに聞いてみたかったんだ」

 蟻退治の情報メインと言う言い方をしたら煌姫が不快に思うのは分かっているので、ソフトに理由づける。

 ちょっと呆れたような煌姫の表情を見るに、あまりそれが成功していないようだが。


「蟻ねぇ。

 確かお酢が苦手って話だったと思うわよ?

 あと、重曹も。砂糖に混ぜて巣の傍に撒くと食べた蟻がころころと死ぬって叔父が楽し気に話していたわね」

 煌姫がケーキにフォークを入れながら教えてくれた。


 重曹を食べさせるというのはちょっと時間が掛りすぎて人間を一体で噛み殺せるサイズのアーミーアントに対峙している時に使える手段ではないが、お酢が効くというのは使えるかも知れない。


 魔物の場合は魔力も含めているので、単に酢を噴き付けるとか撒くとかしただけでマーキングを無効化出来るとは思えない。だが魔力だけでなく臭いも多分あるのだろうから、魔力だけ、臭いだけを消してどうなるのかを試した上で、出来るだけ効率よくマーキングを無効化する方法を発見出来たら理想的だろう。


 まあ、どうやって臭いを消さずに魔力だけを消すのかは微妙に不明だが。

 魔力感知の術や試薬だけでは反応しないぐらいに微量の魔力なのだ。

 適切な手段を見つけられればごく簡単のな方法でも魔力を落とせそうだが、その方法を見つけるのが難しい。

 しかも魔力だけが落ちて臭いが残っている状態なのかを確認しずらいのが中々微妙なところだが。


 まずは極微細な魔力でも発見できる魔力センサーでも作って、それで魔力だけを消した際にアーミーアントがどう反応するかを確認してから臭いを消す方の実験をするといいかも知れない。


「だけど王都の外では巨大な蟻の群れに襲われる上に延々と追い続けられるなんて、ぞっとしないわね。

 やはり国内でも旅行に行くのは隆一の飛行具が普及してからでいいわ。

 そういえば、ホテルとかってどの程度のサービスを期待できるのかしら?」

 煌姫が聞いてきた。


「……さあ?

 襲撃を警戒して、王都を出た際は毎回護衛に囲まれて野宿しているから。ホテルに泊まったことはないな」

 どうしても野宿が嫌だと言ったら、多分警備上の理由から信頼できる領主の館にでも滞在することになった可能性が高そうだ。

 民間の宿では思う様に警備体制を敷けないだろう。


「野宿?!?!

 ……旅行は諦めるわ」

 煌姫が溜め息を吐いた。


「何といっても誘拐リスクが高いからな。

 貴族と顔合わせして誰かとそのうち結婚したいなら地方領主の館に滞在するのもありかもだが、下手に地方領主なんかと結婚したら伯爵クラスだろうと王都よりも小さな領都ですら出歩くのにかなりの制限が課されるかも?」

 基本的に山脈で大陸中央側の隣国と遮られているヴァサール王国には辺境伯という爵位はない。

 貴族が有する軍事力はそれなりに制限されており、いざという時の突発的な魔物や国防的な対応には探索者が活用される。そう考えると常時招かれ人を守る体勢を地方貴族が維持するのは……国から予算の支援があるにしても中々厳しいだろう。


 それなら同じ籠の鳥になるとしても、王都に住む方がまだ行動の自由がある。

 それに何といっても煌姫はジュエリー製作を楽しみ、それを店で売りに出して正直な世間の評価を知りたいのだ。

 そんな活動は貴族の当主夫人には許されない可能性が高い。


 中々人気者過ぎるというのも困ったものである。


 まあ、それはさておき。

 まずは蟻対策だ。

『久しぶりの招待の狙いが蟻退治……』

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― 新着の感想 ―
>ちょっと呆れたような煌姫の表情を見る 恋愛感情なんてないくせに、何を期待していたのやら
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