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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1255/1303

1255.18階(16)

「うん、これはまあまあ、かな?」

 魔力の痕跡用の試薬とルミノール混合液を混ぜた液体を吹き付けられたデヴリンをブラックライトで照らしたら、淡く光っているのがテントの外でも見えた。

 理想としてはブラックライトなしでも見えるぐらいに発光してくれると良いのだが、多分それは難しいだろう。

 でも、普通に明るい迷宮の階段でも見える程度の明るさならば、悪くはない。

 それに考えてみたら紫外線が混ざっている外の自然光の下ではそのまま光って見える可能性もゼロでは無い。

 まあ、外の自然光の明るさは日中ならば余程天候が悪くない限り迷宮の階段の光度を大幅に上回っているので、見えない可能性の方が圧倒的に高いが。

 もしかしたら陰に入ったら見えるかも?

 あとで今回のシャツを外に持って行って確認してみようと脳裏にメモした隆一だった。


「確かに光って見えるな」

 ダルディールも傍に寄ってきてしげしげとデヴリンの姿を観察した。

「ちょっと次は混ぜる割合を変えてみて、もっといいコンビネーションがあるか調べよう。

 そのシャツはもう脱いでくれていいぞ」

 態々テントに入る必要もない。

 隆一は次のシャツを渡しながらデヴリンから汚れたシャツを受け取り、袋に『成功1、魔力試薬・ルミノール5:5』と付箋をつけて密封した。


 ちょっと諦めた顔をしたデヴリンが大人しく次のシャツを羽織り、ボタンを留めて階段の外の範囲へ出て行く。

 ウロウロしていたアーミーアントの群れが直ぐに反応したので、やはり頭や顔にそれなりにフェロモンが残っているのだろう。

 というか、もしかしたらここら辺一体にアーミーアントのフェロモンが充満しているのかも知れない。

「実験が終わったらちょっと周囲に試薬を噴きつけてどのくらい色がつくか確認した上で、アーミーアントの群れを殲滅したらそれがどう変わるのか確認してみたいな」

 デヴリンが近づいてきたアーミーアントと一回攻撃を受けてスパッと反撃で倒して戻って来るのを見ながら隆一が呟いた。


「なるほど?

 ここら辺の地面にもアーミーアントのフェロモンがついているからあいつらがここから離れなくなったと?」

 ダルディールが隆一の言葉に反応した。


「多分そうじゃないかな?

 これで群れを殲滅した瞬間に地面とかのフェロモンが一気に消えたら中々面白そうだ」

 考えてみたら、群れを殲滅したらフェロモンが消えるとしたら、シャツに着いたフェロモンも密封していても消えてしまいそうだ。

 そうなると、群れを倒した後に、もう一度別のアーミーアントの群れに近づいてフェロモンを吹き付けさせた後に階段まで逃げてそのまま上に行く必要がある。

 中々面倒だが……外で野良の群れでやるよりは数もはっきりしているし、追ってこなくなるラインがはっきりしているのだから文句を言うべきではないだろう。


 隆一は新しく魔力用試薬とルミノール混合液の割合を7:3にした液体を作り、戻ってきたデヴリンに吹き付けた。

「さっきのよりも更にはっきりしている……かな?」

 隆一はダルディールの方に向いて意見を求めた。

「多分?

 ちょっとさっきよりも見やすい気はする」

 ダルディールが頷いた。


「じゃあ、脱いでくれ」

 次のシャツを出しながら隆一がデヴリンに頼む。

 今度は密封する袋に発光している部分が当たるように仕舞う。

 こうすれば比較しやすいだろう。

 先ほどのはうっかり発光している部分を内側にしてしまったので、袋を開かないと確認できない。


 袋に密封しないでそのまま置いておいた場合にどの程度の時間発光し続けるのか、確認するのも必要な実験なので次はそれをやってもいいかも知れない。


 が。

 残念ながら魔力用試薬とルミノール混合液の割合を3:7にした液体はテントに入らないと発光しているのか見えない程度だった。

 まあ、5:5より7:3の方がはっきり見えるのだ。

 3:7が5:5より見える可能性はかなり低いとは分かっていた。


「よし!シャツに付けるのはこれが最後で良いから、頼んだ!」

 受け取ったシャツを袋に突っ込み、新しいシャツを渡してデヴリンに頼む。

「最後なら、戻る前にもう数体倒しちまってもいいか?

 大分と階段付近に寄ってきているせいで動きづらい」

 デヴリンがシャツを羽織りながら尋ねた。


「最後に地面や壁にどのくらいフェロモンがついているか確認してみたいから、複数体殺さずに残しておいてくれれば、ちょっと数を減らしても構わない」

 大分と階段付近に密集してきたアーミーアント達を見ながら隆一が頷いた。

 というか、出来ればちょっと階段間際からは追い払う感じで蹴り飛ばすかなんかしてもらいたいところだが……蹴ってもまた戻って来るか。


 そんなことを考えながら見ていたら、デヴリンが階段間際のアーミーアント数体を切り捨て、更に少し離れた場所まで押し戻してから魔物たちの脚を切り飛ばし始めた。

 なるほど。

 あれで動きづらくしたら少し階段付近の場所が空きそうだ。


 流石一流探索者。

 臨機応変だ。




『臨機応変!それがうちのチームのキャッチコピーです!』

「嘘つけw」

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