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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1253/1303

1253.18階(14)

「で、どうすればいいんだ?」

 テントを設置し終わったところでちょうどデヴリンが階段へ戻ってきた。

 後ろにアーミーアントを多数引きつ入れていた。


 考えてみたら、17階から降りてくる人がいたらこの状態はかなり迷惑かも知れない。

 まあ、20階まで下りられる人はそちらまで転移門で行っているはずだから、ピンポイントに20階まで行っていなくて18・19階に用がある探索者が来ないことを期待しよう。

 20階から転移門で19階に上がって貰うために余分に費用がかかる分は隆一が補填しても良いが、流石に20階の転移門をまだ使えない人間の場合は18階・19階に用があったら今日はちょっと休みにしてもらうよう、金で交渉するしかない。


 迷宮内の狩場の独占は探索者ギルドからも睨まれる行為なのだが、独占する気が無くても階段を使ってアーミーアント関係の実験をしていたら足止めになってしまうことに今になって気付いた隆一だった。


「よし、急いでガンガン実験を進めていこう。

 まずは普通のルミノール混合液だ」

 ルミノールと過酸化水素を1:5で混ぜた液体をしゅわっとデヴリンの体全体に吹き付け、テントの中へ押し込む。


「うわ、何をしているんだ?」

 暗くなったテント内でブラックライトを照らされたデヴリンが自分の体を見回しながら尋ねる。


「今吹き付けた液体は人間の血とかその他の体液と反応すると、この紫外線ブラックライトで青く発光するんだ。

 アーミーアントのフェロモンも同じような反応をするんだったらどこにフェロモンを掛けられたか分かりやすく手良いだろうと思ったんだが……駄目なようだな」

 溜め息を吐きながらテントを開けて、隆一は外に出た。

「あ、前もって変えのシャツを着てもらうの忘れていたんだが、がっつりクリーンを掛けた後にこれを着てもう一度アーミーアントにちょっかいを掛けてきてもらえないか?

 ルミノール混合液が変に反応していたら次の実験結果を汚染されかねない」

 5着ほど持ってきた大きな薄い長そでのシャツをデヴリンに差し出して頼む。

 毎回クリーンを掛けまくるよりはシャツを変える方が楽だ。


「それって一度アーミーアントと接敵した後にシャツを脱いだたらアーミーアントが追わなくなるかも確認してくれないか?」

 隆一がクリーンを掛けた後にシャツを羽織ったデヴリンを見て、ダルディールが頼んできた。


「確かに、捨てても惜しくないシャツを上に一枚羽織ってそれを捨てる方が、魔術師を連れ歩いたり何らかの魔道具でフェロモンを落とそうとするより安上がりだな」

 デヴリンがシャツのボタンを留めながら頷いた。

 一応最大サイズのシャツなので太ももぐらいまでカバーされている。

 とは言え、靴やズボンの下の方に掛けられたらどうしようもないが。


「戦い方次第でどこら辺に掛かるかもしっかり目視できるようになったらどんなカバーだったら捨てて逃げるという手法が有効か、確認しやすくなるな。

 靴に掛かるようだったらかなり面倒だが」

 塗装するときのようなオーバーオールっぽく靴までカバーする上着もあるだろうが、流石に靴の外側をカバーするとなるとそれなりにしっかりした素材でないと直ぐに破れてしまう。

 しっかりした素材ならばそこそこ高くなるので、費用対効果が徐々に悪化するだろう。


 まあ、まずは薄いシャツ程度でフェロモンを遮れるかも試す必要がある。


「そんじゃあ試しますか」

 ボタンを留め終わったデヴリンが階段から降りていく。

 デヴリンがテントの中に入っている間に少し離れ始めていたアーミーアントの群れが、デヴリンが出てきたのを見て再び引き返してくる。

 とは言え、先ほどのような殺気マシマシという感じよりは、敵もしくは餌がいるのか?というもう少しゆっくりとした動きな感じがする。

 これがフェロモンが消えている時の状態なのだろう。


 再び接敵したデヴリンが、アーミーアントの一体の脚を切り飛ばし、さっと素早く階段に戻ってきた。


「じゃあ、次はこれ」

 錬金術ギルドからゲットした魔物の痕跡を見つける試薬をスプレーしてみる。

 フェロモン程度だと量が微量過ぎるのか、殆ど何も反応は見えない。


「ちょっとこっちに入ってくれ」

 テントの中に再度デヴリンを引き込み、ブラックライトで確認。

 特に何の変化も無いようだった。

「これもダメ、と。

 じゃあ、取り敢えずまずはその上着を脱いで、階段の外に出たらどうなるか確認してくれ」

 シャツを突っ込むごみ袋用の袋の口を開けてデヴリンの方に見せながら頼む。


「顔にも何か掛った感覚があったから、シャツを脱ぐだけじゃあダメなんじゃないか?」

 デヴリンが言った。

 流石に首の上だけクリーンを掛けるなんて言うのはちょっと難しいので、そこだけ自分で水洗いしてもらう方が早い。

「よし、これに頭を突っ込んで髪の毛と顔をちょっとざぶざぶ注ぐ感じで洗ってみてくれ」

 水球ウォーターボールを出してデヴリンに頼む。


 考えてみたら、顔に掛かったらダメなのだったらシャツを捨てれば作戦も結局ダメな気がする。が、取り合えず出来ることは順番に色々試していけばいいだろう。


 まずは実験だ。









「18階?

今日は何の依頼もありませんね〜」

By 受付

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― 新着の感想 ―
あれ~? あいつってさっきも見た気がするんだけど 臭わないから別の奴なのかな
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